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ノイレン〜黒の純真  作者: 山田隆晴
第七部『そして伝説へ』

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86/88

86「どゆこと?」

 街道の向こうに立派な城壁が見えてきた。王都だ。それはこの国第二の都市であるアデナのものよりも美しく堅牢だ。

「すげー、なにあれ。」

 ノイレンは右手を目の上にかざしてそれを眺めた。

「あれが王都の城壁。私も初めて見たとき驚いて父に同じことを言ったわ。」

 サフィアは御者の横に顔を出すと、馬上で背筋を伸ばし腰を浮かして見入っているノイレンに城壁の堅牢さを説明した。

「ほえ~。さすが王様のいるところは守りも堅いんだな。」

「お城を見たらもっと驚くわよ。」

「そんなすごいのか?」

「もちろん。諸外国から羨まれるほど美しい意匠のお城だもの。」

「へえ、早く見たいな。」

「城壁をくぐれば嫌でも見えるわよ。」

 王の住まう、他国の王も羨むという城は街全体を見下ろせるように小高い丘の上に建てられている。だから街の中にいればどこからでもお城を眺めることができた。

「そうなんだ。それじゃあとは酒場だな。」

 ノイレンは王都の酒場にも大いに興味が湧いている。きっと今まで見たこともないすごいお店があるんだろうと想像している。店内も広くてカバレの何倍もの収容力があって、給仕も何十人もいないと回しきれなかったりするんだろうな、なんて考えていた。

「またそれ? あなた本当に酒場のことしか頭にないのね。この10日間その話ばかりじゃない。」

 アデナから王都まで10日の道程。ノイレンは王都の酒場への期待を毎晩語っていた。

「えへへ、だってダンス楽しいからさ。」

「どうせなら経営のほうに興味を持って頂戴。私の相棒なんだから。」

「へっ、そんなの知らないね。わたしは踊れればそれでいい。」

 ノイレンは馬の背でショルダーシミーをしてみせた。


 城門に着くとサフィアは門番と何やら親しげに話をし、小さな布包みをそっと手渡した。

 城門をくぐって街の中へ入ったあとノイレンは馬を馬車に近づけてサフィアに囁くように訊いた。

「ねえサフィア、さっき門番に渡したのって”鼻薬”とかってやつ?」

 チャプリの城門でトレランスが門番に渡していた時のことを思い出した。

「いやね、心付けと言ってほしいわ。」

「どっちでも同じだろ? そんなの渡さないとなんないくらいこの街ヤバいことあんの?」

 ノイレンは周りを警戒するようにひそひそと訊いてくるものだからサフィアもそれに合わせてひそひそと教えた。

「ここは王都よ。王様や王族に害をなす”もの”を街に入れさせないよう、街を出入りする人は身体(からだ)から荷物までしっかり調べるのが決まりなの。」

「調べるって、わたしらなんもされてないじゃん。」

「そのための心付けでしょ。」

「どゆこと?」

 ノイレンはまだ合点がいかない。サフィアは一つため息をつき、ひそひそと続けた。

「今回私たちは監査だけだから身軽だけど、うちの商会は普段たくさんの荷物を運んでるの。それをいちいち調べられてたら面倒でしょ。だから便宜を図ってもらえるようにしてるってわけ。あれは私たちの顔を覚えてもらうためよ。いわば信用してもらうための対価ね。」

「なんだよ、やっぱりヤバいんじゃんか。」

 ノイレンはぷうと頬をリスのように膨らませた。

「違うわよ。」

 サフィアはあははと笑った。

「???」

 ノイレンはまだよく呑み込めていないようだ。頬を膨らませたままサフィアを横目に見たがサフィアは笑うだけだった。



 街の中へ入るとどこからでもお城が見えた。秀麗でとても美しい。お城に性別があるとすればあれはまちがなく女性だぜとノイレンは思った。

「ねえサフィア、王様って女なの?」

「違うわよ。どうして?」

「いや、あのお城を見てたらなんとなく。」

「あなた面白い感性してるわね。着眼点が人と違うのは商人にとっていいことよ。」

 サフィアは何がなんでもノイレンを商人にしたいらしい。

「そんなんどうでもいいよ。」

 それよりも街の家々の向こうに見えるお城を眺めていたらさっきまでの警戒心がすっかり薄れて、ノイレンは好奇心がくすぐられ始めた。そうなるともうじっとしていられない。馬さんの背の上できょろきょろしすぎて通りすがりの人たちから「ぷっ」と笑われる始末。すっかり”お(のぼ)りさん”になっていた。

「ちょっとノイレン、恥ずかしいからやめて。置いてくわよ。」

 馬車の幌から少しだけ顔をのぞかせてサフィアがノイレンを睨んでいる。

「いいじゃん、すっげぇんだもん。アデナもすごいけどここはそれ以上じゃん。」

 その視線をよそにノイレンは馬から落ちるんじゃないかと心配になるほど(せわ)しなく頭をあちこちに振りつづけた。

「うわっ、あのパン屋すげーな。いろんな形のがあるじゃん。何種類あんだあれ?」

 パン屋の店先に並べられた様々な形のパン。ノイレンが知っているのは固い黒パンとそれよりは柔らかい白パン、それと少し前に知ったクルミパンの3種類だけ。

「あれはパンの中に練りこんである物によって形を変えてるのよ。そうすれば一目で何パンかわかるでしょ。」

「そっか、頭いいなぁ、王都のパン屋。」

「ノイレンももっと頭使いなさい。」

「頭なら剣とダンスによく使ってるよ。」

 馬の背でノイレンは自慢げに笑った。

「商売に関して使いなさいって言ってるの! 私とコンビなんだから。」

 サフィアは呆れた目でノイレンを見た。

「へっ、そんな暇あったらもっと剣とダンスのこと考えたいや。」

 ノイレンは呆れ顔のサフィアにニカっと笑顔を向けた。


 カーツォ商会王都支部に着いた。その佇まいは王都にふさわしいように意匠を凝らしている。しかしこのときはいつもと様子が違っていた。

「どういうこと? なんでこんな物々しいバリケードがあるのよ。」

 馬車から顔を出したサフィアは御者台に手をかけたまま固まってしまった。ノイレンはそれまでの”お上りさん”顔から真面目な顔つきになってあたりの様子を窺っている。

 支部は建物の周りをバリケードで囲っている。その中には数匹の犬までいる。

 サフィアは気を取り直して馬車から降りるとバリケードをすり抜けた。バリケードと建物の間にいる犬たちがやかましく吠えたり、牙をむいて威嚇してきた。

「うるさいっ!」

 サフィアが睨みつけると犬たちは(ひる)んだ。彼女の鬼気迫る目力に恐れをなしたらしい。

「ふんっ、だらしない。」

 サフィアは支部の玄関を力強く叩いた。

「開けなさい!」

 しばらくするとドアに付けられているのぞき窓が開いた。

「誰だ?」

 支部の者が訝しむ視線を向けてきた。

「私よ、サフィアよ。早く開けなさい!」

 のぞき窓の向こうに顔を見せた者が驚いてドアを開けた。

「サフィアお嬢様! 失礼しました。到着はもう2、3日あとになるかと。」

「アデナでは順調に済んだのよ。」

「それはなによりでした。長旅お疲れ様です。」

 ドアを開けたのは支部の中ではまだ下っ端の商人。近々サフィアがくるという連絡は聞いていたもののこんなに早く来るとは思っていなかったらしい。

「そんなことはいいわ、それよりあれ何? なんでうちの周りにあんなものがあるの?」

 サフィアは表のバリケードを目で示してその下っ端に訊いた。

「バルタザールです。あいつがうちに嫌がらせしてきたんですよ。」

「バルタザール?」

 下っ端が説明しようとしたのをサフィアは遮った。

「いいわ、それは支部長(ベシェフェ)から聞くわ。いるわよね?」

 今度は廊下の奥を見つめて訊いた。

「はい、おります。」

「行くわよノイレン!」

 サフィアは表にいるノイレンを連れて支部長の部屋へ行った。



 その一時間後。カーツォ商会の支部から馬で30分ほど行ったところにノイレンはいた。

「ここだな。」

 目当ての建物を横目に見ながら通り過ぎて、少し離れてからノイレンは馬を降りた。馬さんの首筋を優しく撫でるといつものように「ここにいて」と声をかけてそっと目当ての建物に近づいていった。

 大した意匠でもないどこでも見かけるいたって普通の二階建ての建物。一つ他と違うのは表の目立つところに下げられている看板がやたら凝った作りだということ。看板に彫られているマークは武具屋を示している。そしてそのマークの周りに施されている飾り彫りがただの武具屋ではないことを主張していた。

 ノイレンはドアに手をかけると臆することもなく中へ入っていった。中に入ると目の前に受付カウンターがあった。周りの壁には、宣伝のためだろうか、様々な武具が飾られている。

「いらっしゃいませ。当ギルドにどのようなご用件でしょうか。」

 カウンターの中にいる受付嬢が声をかけてきた。

「腕のいい職人を探してるんだ。剣作りの得意な人を紹介してほしい。」

 ノイレンは涼しい顔で答えた。受付嬢はノイレンの姿を上から下まで観察した。

「剣をご所望ですか?」

「いや、こいつの刃が欠けちまったんで直してもらいたいんだ。」

 ノイレンは腰のネオソードをぽんと叩いた。

「それは難儀ですわね。少々お待ちください。そういうことでしたら、」と、受付嬢は左上に目を向けて考え込んだ。

「ギルマスのバルタザールはいるかい? 彼に紹介してもらうのが一番だって聞いたんだけど。」

 受付嬢はムっと不満そうな表情になった。

「ギルドマスターはご多忙でして。職人の紹介は私が承ることになっています。それではご不満でしょうか。」

 ノイレンはカウンターに両肘をついて受付嬢を真っ直ぐに見つめ笑顔を作った。

「これは師匠にもらったとても大事な剣だからね。一番腕のいい人に直してもらいたいんだ。」


 受付嬢は不満そうに奥に姿を消してからしばらくすると一人で戻ってきた。

「そのご用件でしたら、西の地区にいるアマクランが最適だとバルタザールが申しておりました。」

 つんけんした態度でそれだけ言うと受付嬢はぷいとそっぽを向いた。

「なんだよバルタザールは会ってくれないのか。釣れないやつだな。」

「ギルマスはお忙しいんです! さっきも言ったでしょ。」

「ふ〜ん。自警団にとっぽい連中を集めさせてカーツォに嫌がらせするヒマはあるのにか。」

「なっ、」

 受付嬢は口を開いたまま固まった。ノイレンはそれを見てニヤリと口角を上げる。そして受付嬢にぐいっと顔を近づけると耳許で囁いた。

「今すぐ()めないと痛い目を見るぜ。」

 受付嬢は自分が何かされるかと内心ヒヤヒヤして顔が引きつった。

「バルタザールに直接言いたかったんだけど、出てこないんじゃ仕方ないからな。ちゃんと伝えてくれよ、お姉さん。」

 ノイレンはニカっと笑って武具屋ギルドから出て行った。


 ノイレンが帰ったあと、奥へ通ずるドアが開きバルタザールが姿を表した。

「ギルマス、あの剣士・・・」

 受付嬢は青ざめた顔でバルタザールを見た。

「安心しろ、どこのねずみか知らんが所詮は女だ。荒くれども相手に敵うわけがなかろう。」

「なんだか立派な剣を持ってましたが。」

「見てくれと腕が一致するとは限らない。それはお前もよくわかっているだろうが。」

「でも・・・」

「案ずるな。それより(自警)団長を呼べ。」

「かしこまりました。」


 ノイレンは馬に乗り街の中をあちこち歩いた。王都の道を覚える目的もあるが、自警団の本部を探していた。

「この辺りのはずなんだけどなあ。」

 カーツォ商会王都支部長のベシェフェから教えてもらった場所へやってきたはずなのだが、肝心の本部らしき建物が見当たらない。

「剣と盾を模した風見鶏ねえ。」

 ノイレンはベシェフェの話を思い返した。



「バルタザールって誰なの?」

 支部長の部屋へ入るなりサフィアはベシェフェのあいさつに重ねるようにして尋ねた。

王都(ここ)の武具屋ギルドのマスターです。」

「武具屋のギルマス? そんなやつが何でうちに嫌がらせすんのよ。」

 少々息が荒くなっているサフィアに落ち着いてもらおうと、整えられた口髭を蓄えた支部長のベシェフェは彼女にソファを勧めた。そして彼女が腰を下ろすのを見届けてから卓を挟んでサフィアの向かいに座ると話し始めた。

「シェヒルとフォクサルの武具屋が協働することで近衛師団の御用達になったことはお嬢様もご存じでしょう。」

「もちろんよ。そのおかげでうちで扱う武具類は近衛師団お墨付きの一級品てことになったんだから。」

「聡明なお嬢様ならもうお気づきになるのでは?」

 サフィアは口を大きく開けた。

「あ〜、そういうわけ。」

 サフィアはこれだけで状況が全て飲み込めたようだ。しかしサフィアが座るソファのうしろに控えているノイレンは全然わかっていない。ソファ越しに彼女の耳許で尋ねた。

「どゆこと?」

「ノイレンはここの状況を知らないものね、無理もないわ。ベシェフェ、彼女に教えてあげて。」

「はい。今まで近衛師団に武具類を納めていたのは王都の武具屋です。お膝元と言うだけで長年御用達の肩書きを(ほしいまま)にしていました。それが突然他の街(よそ)の武具屋どうしが協働して性能の高い武具を納めるようになったのですから、当然この街の武具屋連中は面白くないわけです。とりわけ全てを取り仕切っていたギルマスのバルタザールは自分の顔をつぶされたと怒り心頭です。」

「あ〜、なるほど。そういうことか。」

 ようやくノイレンも納得がいった。サフィアはソファの背もたれに仰け反るように背中を預けて顔を天井に向けた。ちょっと煤けた天井が今の王都支部の状況に見えた。

「ですがお嬢様、問題はそれだけじゃないんです。」

 サフィアは姿勢を戻して苦々しい表情のベシェフェを見た。

「バルタザールが自警団を抱き込んだんです。」

「どゆこと?」

 今度はサフィアがそのセリフを発した。

「彼は御用達の看板をなんとか取り戻したいと画策しています。ですがこの街の職人の作る武具ではシェヒルとフォクサルの共作には敵わない。一度は武具を納められないように妨害してきました。しかしその時近衛師団が彼に釘を刺したんです。それでバルタザールは手出しができなくなった。下手するとますます自分の首を絞めることになりかねないですから。」

 サフィアは身を乗り出してきた。

「それで?」

「シェヒルとフォクサルの武具屋に直接手を出せなくなったものだからうちを狙い始めたんです。」

 そこまで聞いてノイレンは素朴な疑問を呈した。

「カーツォ商会の邪魔をすると御用達に戻れるのか?」

 ベシェフェはニコリと微笑んだ。整えられた口ひげが笑顔によく似合う。

「それはありません。近衛師団への納品にはうちは絡んでいませんから。」

「じゃあなんで狙われるんだ?」

 ノイレンはまたまた頭がこんがらがってきた。腕を組んで首をかしげ考え込んでいるノイレンの姿にぷふっと吹き出しながらもベシェフェは教えてくれた。

「協働の武具は、近衛師団に納めるものを除いて、うちとフォクサルにあるフォクシー商会が独占して各方面へ販売しています。ですが、フォクシー商会はフォクサルにしか拠点がない。その点うちはアデナとキニロサにもありますからね。ご存じかと思いますが、アデナはこの国第二の大都市、キニロサは東方への隊商(キャラバン)の拠点となっている交易都市です。つまりうちを潰せば近衛師団お墨付きの武具はほとんど流通しなくなる。彼らはそれを狙ってるんです。売り先をなくした彼らの製品を売りさばくために。」

 ノイレンは非常にわかりやすい説明に何度もこくんこくんと頷いた。

「でも、そんなの商人同士の競り合いじゃない。自警団が口を挟むことじゃないわ。」

 サフィアが卓に片手をついて腰を浮かした。

「もちろんです。私らはなにも法に触れることはしていませんからね。」

「それじゃなんで?」

「バルタザールは騒ぎを大きくして近衛師団に目を付けられるのを恐れています。そこで自警団に愚連隊を集めさせて、そいつらがうちに嫌がらせをするように仕向けたんです。」

 サフィアはちょいと眉をしかめた。

「言ってることはわかったわ。でも一ついい? ここは王都よ。王都の自警団と言ったらほかの街のとは違ってそれなりに意識の高い者たちが集まっていると聞くわ。それが愚連隊を取り締まりもせず逆に利用するなんて有り得ないと思うんだけど。」

 ベシェフェはふうとため息を一つついた。整えられた口ひげがふわりと揺れた。

「バルタザールは納め先をなくした近衛師団向けの武具を自警団に提供したんですよ。それまで彼らが使っていたのは中程度のものですから上等なものを貰ったら、そりゃ気分がいいわけで。」

「それでバルタザールの言いなりってわけ?」

 ベシェフェは無言で頷いた。

「はっ、”意識が高い”が聞いて呆れるわ。」

 サフィアも苦虫を噛み潰したような渋い表情になった。

「表向き自警団は直接手を下せないんで愚連隊にやらせてるんです。裏で奴らをどう懐柔したのかは分かりませんが。」

「ちょっと待って! そこまで分かってるなら近衛師団か騎士団に訴えればいいじゃない。」

「もちろんしましたよ。でもどちらも取り合ってくれません。いわゆる証拠がないってやつです。うちの調査だけでは公平な証拠として不十分だと言われました。」

「だったら、」

 サフィアが言いかけたのを遮るようにベシェフェは続けた。

「騎士団にも調べるようお願いしました。それでバルタザールと自警団長が一度追及を受けたんですが・・・」

「ダメだったの?」

 ベシェフェはまたも無言でうなずいた。

「なによそれ!」

 サフィアは悔しそうにバンっと卓を叩いた。

「バルタザールと愚連隊が自警団を介して繋がっている証明ができればいいのですが。」

「なんだそんなことか。」

 ノイレンは自信ありげな笑みを浮かべるとソファの背に手をついてサフィアの頭越しに口髭のベシェフェをまっすぐに見た。

「バルタザールと自警団、愚連隊が繋がっている証拠があればいいんだろ。」

 サフィアはさっきのように顔を上げてうしろにいるノイレンを見上げた。

「わたしに任せてくれ。ちょいとバルタザールと自警団のところへ行ってくる。」

 なにか思いついたようで、場所を教えてもらうとカーツォ商会の支部を飛び出してきて今に至る。


「あ! あった剣と盾の風見鶏。あそこか。」

 ノイレンは目的の自警団本部を見つけるとそちらに馬の鼻先を向けた。

「よしっ、今度はこっちに種まきだ。」

 ノイレンは意気揚々と自警団本部に乗り込んだ。

次回予告

初めて訪れた王都にすっかり浮かれてしまったノイレン。カーツォ商会へ嫌がらせをするバルタザールと自警団、それから愚連隊がつながる確たる証拠をつかむためノイレンは彼らに揺さぶりをかける。そのさなかサフィアは一人でどこかへ出かけて行った。

君は彼女の生き様を見届けられるか。

次回第八十七話「厄介なやつが現れた。」

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