検問前の懸念
「三人共お疲れ様。最後の連携凄かったな」
戦いを終えた三人にねぎらいの言葉を掛ける。なんとか全員無事に生還出来たようで何よりだ。アレックス達や商人が麻痺毒で動けない状態にはなったが致死性は無いようなので安心だ。馬車に戻る俺達に麻痺で動けなかった者たちを守っていたロウ達が近付いてくる
「ロウとミミもお疲れ様、もう平気なのか?」
「あぁ、おかげさまで魔力も回復したし大丈夫だ。悪いな最後まで戦えなくて、任せきりにしちまって。助かったぜ」
「・・・ありがとうです」
「いえ、むしろ商人達の護衛をしてくれて助かりました。おかげで戦闘に集中出来たので、手打ちってことで」
二人が最後まで戦えなかったことに謝罪するが、こちらも助かっていたので互いに謝罪は不要だろう。今は同じ依頼を受けている仲間なのだから
「そうか、だが感謝は受け取ってくれ。助けられた仲間に感謝するのは当然だろう?」
「・・・ケータさん、そちらの方は?」
ミミがロウの背中に隠れながら俺の隣に居た魔女について質問する。戦闘で助っ人してくれた優しい魔女、としか答えられないのだがどうしようか
「自己紹介はやってなかったからね、今からするよ。私はヘクセリューゼ、長いからセリューと呼んで。見た目通りの魔女だよ」
「俺はケータだ。よろしく、改めてセリューが来てくれて助かったよ、ありがとう」
「お礼なんていいよ、ただ私からちょっとお願いしたいことがあるの」
だいぶ遅れた自己紹介をセリューと済まし、戦闘中での援護にお礼を言うと、セリューが何かこちらにお願いしたい事があり訪ねてくる。どんなお願いだろうと思うとセリューは右手に持った杖を箒に変化させてそれを指差し願い事を言う
「私旅をしているのだけど、魔力が少なくなって移動手段のこれが使えなくてさ。できればあなた達の馬車に乗せてもらいたいのだけど」
「一応行先はこの先にある王都だけど良いのか?」
「あ、なら余計都合がいいや。私もそこ行くところだったから」
「たぶん大丈夫だとは思うけど俺の一存で決められないんだ。決定権持っている商人と銀狼のリーダーは麻痺で動けないからな。毒が抜けるまでのしばらくは待ってもらうことになるが」
一応このグループでの方針決定権はアレックスと商人にある。しかしその肝心の人物らは先ほどの戦闘での麻痺毒で今は動けない。だからしばらく待ってくれと言うが、ふとそこである考えが浮かんだ
(ヘルプ先生、今の俺の手持ちにアレックス達を解毒できる物はある?)
(解 該当するアイテムは無限収納内に存在しません。しかし該当するアイテムについての情報が記載されているアイテムが存在します)
困ったときのヘルプ先生、流石というべきか解毒剤は無いにしてもそれについての情報はあるみたいだった。詳しく聞くとどうやら先日ユフィさんから貰ったポーションの本に調合方法が書いてあったようだ。早速それを見て作れるかどうかを確認する。うん、これなら問題ないな。材料も肺血病の治癒のために使った薬草の残りで人数分作れる。調合レベルも足りているため調合する。そうして出来上がったのは柑橘系の香りがするオレンジ色のポーションだった。それを麻痺に罹った者全員に飲ませる。するとふらふらとした足取りながらも立ち上がるぐらいには効果が出たようだ。この様子を見るに麻痺した感覚までは解毒できてもまだ消えないといった感じか、そこは時間が直してくれるものなので心配はいらない。ロウ達が仲間に肩を貸して姿勢を支える、リアも商人に肩を貸して支えている
「すいませんケータさん、解毒剤まで作ってもらって」
「気にしないでくれ、仲間なんだから当たり前だ。それじゃあ少し体調が落ち着いてきたら話したいことがあるんだがいいか?」
「そこのセリューさんの同行についてですよね、倒れながらも話は聞いていました。もちろん大丈夫ですよ。商人さんの方には私が話しておきます」
「悪いな、世話掛ける」
そのままアレックスは商人と共に馬車まで行き、俺たちは再度出発するまでの時間を戦闘の疲れを回復するべく休憩となった。そして激動の一日はこれにて幕を引き、その後日何かが起きることも無く俺達は規定の日数を掛けて目的の王都にたどり着いた
ーーー
王都に到着した俺達は今、検問の列に並んでいる。検問はこれで3回目か。テラークから出る時も、ラタルに入国する時もちょっとした騒動があったが今回はどうかな、と若干フラグじみた事を考えながら馬車の中で順番を待つ
待っている間に俺はふと、初日に交戦した盗賊に加担していた暗殺者達について考え始めた。あの暗殺者達は何者だったのだろうか、なぜ盗賊と共に行動していたのか、そしてグライの盗賊達に死なれると困るという言葉。何か引っかかる、予感だがあの暗殺者達とはまた戦う気がする。今のうちに対獣人の戦い方を考えた方がいいかもしれない、というより俺はもっと戦い方を覚えた方がいいな、このままだとレベル差があっても技量の差で喰われるなんて事もありそうだ。現に1度アルフレッドにも負けている事からも必要性が窺える
「どうしたんじゃ?」
「ファニか、ちょっと前の戦いの事で悩んでたんだ。どうにかして短期間のうちに強くなれないかなって思って。今回戦った黒服のあいつらとはまた戦うと思うんだ、その時俺は殺す技術を極めているあいつらに勝てるのかなって」
「・・・ふむ、まぁ厳しいことを言うと無理じゃろうな。お主には力があってもそれを扱うための技術がほとんど無い、戦いの場で力押しだけで勝てるような敵なんてのは少ないからの。ケータの今の戦い方はどちらかというと対人よりも対魔獣に優れているからの、技術を持った人間相手よりも動物的な動きをする魔物や獣にこそ力押しというのは通じるじゃろう。しかし人間というのは獣と違い学習能力が高くそれをすぐに活用する事が出来る、だから1度剣を交えた相手との再戦で何も進歩してなければやられるだけじゃ」
「手厳しいな」
ファニからごもっともな意見に苦笑しながらも納得する。人間の進歩は目覚ましいとはその通りで、人は常に進化する生き物というのも聞いたことがある。だからこそ次に暗殺者と戦っても負けないように強くなる必要がある
さて、どうしたものか




