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万能使いの巻き込まれ異世界冒険記  作者: シャミュナ
第3章 王都前の騒動編
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暗殺者との戦い ファニ編

ファニ視点です

ちょっとファニ視点での書き方を変えたので違和感あったらごめんなさい




 ケータに指示された通り商人の護衛をするため、商人全員を中央の馬車に集合させ盗賊との間に自分が壁になる形を作る。盗賊の数は多いがこの程度なら一人で問題なく片付けられる、のだが

 商人を一箇所に集めたという事は銀狼のメンバーであるロウとミミも合流することになる。ケータから好きにやれとは言われたが、あくまでも銀狼の援護をしなくてはいけないのだ


「俺が前に出るからミミは援護を頼む」


「・・・はい、補助魔法はどうしましょうか?」


「じゃあ防御を頼む」


 ミミがロウからの要望で魔法をかける。ミミが今やったのは補助魔法という、対象の人物にステータス補助の効果をかける魔法である。ロウには防御力が上昇する補助が付いたという訳である


「儂は適当に援護でもしとるぞ?」


「あぁ、それで構わない。ケータから聞いていたからな、ファニは好きに動かした方が活きるってさ」


 あやつ、そんなこと言っておったのか。どうやら先程の心配事は杞憂で終わったようで安心する。ならばご相伴に預かって好きにやらせてもらうとしようかの

 指を鳴らし、自分の周りに先端の尖った、まるで牙のような物を十個ほど展開する。これは得意技でもある、ファング、という魔法だ。これは自分の思い描いた通りの動きをして相手を切り裂く遠隔操作をする魔法で、魔力の消費は激しく単体での威力は低いが数を増やせば問題なく魔力についても当てがあるため、使い勝手がいいのもありよく使っている

 再度指を鳴らし、弓で狙撃をしようとしていた盗賊に向けてファングを飛ばし全身を斬り裂いて絶命させる


「周りの奴らは儂がやっておくから安心して目の前の敵に集中するとよいぞ」


「ありがとう、助かるぜ」


 ロウが近くにいる盗賊を狙い、盾で突撃して相手を怯ませる。そこを狙いミミが炎魔法で攻撃してトドメを刺す。その一連の流れを見てこの銀狼というパーティーは強いと感じられた


(連携がしっかりとしておるの、阿吽の呼吸とやつか。若い癖に中々やるのぅ)


 ロウとミミの連携に関心しつつもファングで次々と盗賊を殺していきその数を減らしていく

 それから数分後、商人を狙った盗賊が全滅する所でそれは襲ってきた


 ガキィィィン!


 突然子気味の良い音が鳴る。その原因はすぐそばにあった。黒装束を身に纏った子供が二人、不意打ちを察知し両腕に龍の鱗を纏わせると、そこに両サイドから剣を当てていたのだ。


「その格好、主ら盗賊じゃないな?」


「スイ、こいつ強いよ」


「ソア、八番と十一番で行くよ」


「K」


 こちらの問いかけに答えることなく襲撃者のスイとソアと呼ばれた二人が連携し攻撃してくる。スイと呼ばれた白髪の少年はクレイモアを二本持った二刀流で、ソアと呼ばれたこちらも白髪の少女の方は少し刃の長いダガーを使用している。片方は完全なパワータイプ、もう片方は手数の多いテクニカルなタイプだろうか。連携されると厄介なタイプなのは間違いない


「ファニ!」


「こっちは大丈夫なのじゃ、だから主たちはパーティーメンバーの援護にいくがよい」


 こちらの状況を察知したロウが声を掛けてくるが、無用の心配だと言う。ここ以外にもケータの所にもこの襲撃者の仲間がいるようで銀狼の所も例外ではない。ケータ達は問題ないだろうが銀狼はあの二人だけでは不安である、そのためロウとミミにはそっちへ行くように言う

 ファングを手元に戻し、相手の出方を伺う。こちらから攻めることはしない、何故ならそうしてしまうとすぐに終わってしまうからだ


「さぁ舞台は用意したのじゃ、楽しませてくれよ?」


「楽しませる事なく殺してあげるよ」


 ファングを横に弧を描くように配置させそれを真正面から突っ込んでくるスイに向けて放つ。それを二刀のクレイモアで減速することなく斬り落とされたのでファングを追加で生成し再度放つ。しかしそれも今度はソアが防ぎ同じ結果で終わってしまい、ついに間合いに入られてしまう


「しまっ・・・」


「はい終わ・・・」


「スイっ!!」


「・・・っ!」


 攻撃のチャンスであった今、勝負を決めるために攻撃をしようとしたスイ。ここまで簡単に進んだ流れから余裕の表情を浮かべた彼は、剣が儂の体に到達する寸前で、ソアからの声もあり険しい顔になってすぐさま後ろへ跳んで距離を取った。着地したところにファングを飛ばすがソアに防がれる


「今のを躱すか。なかなかいい眼を持って居るようじゃのう」


「簡単に間合いに入らせたのは罠だったか」


「その罠の正体も分からないのが面倒ね・・・」


 スイの言う通り一連の流れは罠だった。もしもあのまま距離を取らなければ、仕込んでいた糸がスイを両断していたのだが残念ながら察知され避けられてしまった。この糸は自分の龍の髭を加工したもので、鉱石でも綺麗に切断出来るような威力を持ち、なおかつ龍の魔力が染みたこれは強靭でもある。武器としての性能は非常に高い

 こうして近づいてきた相手に罠として使うのが多いが、勿論離れた敵にも攻撃ができる。指で糸を軽く振動させしならせる。すると糸は地面を走り目標へ向かい襲い掛かる無色で細いそれは、不可視の斬撃となる


「スイ、受けずに避けないとまずいよ」


「不可視の斬撃に加えて飛んでくる牙がうざいな。これじゃ近づけない」


 糸とファングで絶え間なく攻撃する中でファングを防ぎきれずにスイが姿勢を崩した。それを見逃さず糸を飛ばし、避けることが叶わないスイを切り裂いた。まず一人・・・と視線をソアに移したところで違和感を感じ視線を戻すと・・・腕を交差させ、腕に切り傷を残しながらもダメージを追っていないスイの姿があった


「なんでまだ生きてるのじゃ?」


「死んでないからだよ」


「まぁそうじゃろうな、しかしその仕組みはなんじゃ・・・とその腕、お主獣人か?いや獣人ではないの、普通のハーフでもなさそうじゃが、何者じゃ?」


 スイの腕を見ると先ほどまでの人間の腕とは違った、砂色の外皮を纏った腕に変貌していたのだ。そこから分かるのは人間ではない事。獣人なのだろうが、獣人とは違うようにも思える


「別に何者でもない、ただの紛い物」


 紛い物という単語に少し聞き覚えがあり記憶を辿る。確か昔。森王ディミテルからそのような事を聞いたような聞いてないような、ダメじゃ、思い出せない。今度聞いてみることにしよう


「ふむ、紛い物か。お主のその腕を見るにアルマアジロのようじゃが、儂の攻撃を防いだのを見るとオオアルマアジロか?」


「随分詳しいんだな」


「伊達に歳は取ってない、ということじゃよ」


 オオアルマアジロとは寒冷地帯で生息するアルマアジロ種に分布されている生物である。アルマアジロ種は外皮が硬く魔法耐性もあることから盾の材料として使われることも少なくないのだが、オオアルマアジロは一際違う特徴があった。簡単に言えばとても外皮が硬いのだ。これは鉱石を食料としていることが要因であると言われているが、問題は外皮が硬すぎて加工できない事である。魔法耐性も高いため魔法による加工も出来なければ、物理的に加工することも不可能なのだ。では何故スイがそれを使用しているのか、前述の紛い物という言葉も併せて導かれた答えは・・・


「なるほどの、主らは人工的に作られた半獣人(ハーフ)か」


「本当にすごいな、そこまで行きつくなんて」


「大方、アルマアジロの臓器や体細胞を自身の中に取り込んだんじゃろ?」


 あぁ、思い出した。昔ディミテルが言ってたのは、危険度の高い生物を使用して兵隊用の獣人、紛い物を作っている異端の組織がいる。

 その組織の名前も思い出したが、そこで笛が鳴った。これはケータの方からか


「スイ」


「分かってるよ、退くよ」


 笛は撤退の合図だったようで、それを聞いた二人が逃げようとしていたのでファングを飛ばすと、ソアの全身から針が飛び出し全て落とされてしまった。


(あの針はハリネズミのやつじゃな)


 冷静にソアの獣人の生態を当てるが、ファングも全て無くなり急激にやる気が削がれたためにそれ以上の追撃はしないで退いていく彼らをただ見送った


(結局、不完全燃焼で終わってしまったのぅ・・・)



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