暗殺者との戦い
「ちっ・・・」
「流石に浅いか」
槍を同じように避けようとした所突如穂先のリーチが伸び脇腹を浅く斬られてしまう。痛みはあまりないがこのような傷が増えてくと面倒である
「驚いたな、いきなりリーチが伸びる槍なんて聞いたことないぞ」
「ただの槍じゃないって言っただろう?」
「そうだな、だが仕掛けが分かれば問題ない」
「ほう、ならば凌いでみせろよ?」
何度も繰り出される攻撃を避け続けていると気付いた事があった
(今尚、伸び続けているのか・・・)
相手の槍は攻撃する際に穂が伸びる槍で、その後はすぐ戻るようだが、再度伸ばした攻撃が襲ってくる。何かトリガーがあると思われるがまだ分からない
ふと、ある仮説が思い立った。それを確信に変えるために先程からの相手の挙動を思い出す
そして次の攻撃を躱した所で遂に、何をトリガーにしているのかが判明した
「なるほどな、槍を回せばリーチが伸びるのか」
「その観察眼や見事。商人の護衛に見破られたのは初めてだな」
「意外と動じないんだな」
「はっ、一体何人の奴と戦ってると思ってんだ。こっちは仕事柄多くの猛者と戦ってきたんだ。これくらいで動じるはずも無いだろう」
「なるほどな」
さて、これからどうやって目の前の敵を倒そうか思案する。俺と相手とは経験の差が違いすぎる。いくら小細工や小手先の技をした所で簡単に凌がれてしまう。今この敵を倒すには、技術も知識も劣るのなら力押ししかないだろう
つまり、正面から突っ込むだけだ。余計な事は無くとても簡単な事。力押しをする前にちょっとだけ工夫するだけの事はするが、簡単な事なのは変わらない
相手が槍を突き出すのと同時に、避けながら縮地で相手の目前まで移動して剣を振るうが槍を回し防がれる。今度は瞬動を何十回も繰り返し使用し連撃を繰り出す。その全てが防御で構えた槍に防がれるがそれでいい。合間合間に来る反撃を鷹の目で一挙一動を視覚して見切りで全ての攻撃を最少の動き、紙一重で躱しながら連撃を繰り出す。自分の攻撃一挙一動に常に瞬動、鷹の目、見切り、忍び足を発動しているためMPがごっそりと減っているがまだ半分以上残っているため余裕はある
そして、MPが半分を下回った所でちょうど狙い目が来る。先程から相手の体制が崩れた所、槍で受けれても少し負担が掛かるタイミングを狙っていた。それがようやくここで訪れた
(この瞬間を待っていたんだ)
ようやく訪れたチャンスをものにするために、剣を構え袈裟斬りをする。しかしまだ工夫はする、空間操作でほんの少し右に離れた地点と俺の間の空間を消す。すると離れた空間通しが接続され、これにより俺の位置が微妙にズレる。突然目の前にいた俺が視界外に移動すれば反応も遅れる。慌てて防御しようと槍を不安定な体制で構えたが、それを俺は狙っていたんだ
ロングソードに魔力を流し込み強度を上げる。不意打ち、剣技、効果付与で自分に腕力、剣に威力増加を付与し、それを全力で振るう。
全力のひと振りを受けた槍は、度重なる攻撃を受けた後の全力の攻撃を防ぎ切る事は出来なかった。槍は折れそのまま一閃するが、相手の腹部を斬り裂いた、が手応えに違和感を感じた
「ちっ、届かなかったって事か」
「なるほど、槍を壊そうとしているのは気付いていたがしてやられたな。位置がズレたのは空間干渉系の魔法か。流石にこれは予想していなかったな」
そう言いながら腹部に隠していた切り傷の入った鉄のプレートアーマーをこちらに見せてくる
「結局無傷なのかよ・・・」
「いやはや今回ばかりは驚いた。ここまで多種多様なスキルを持ってる奴とは思ってなかったからな。しかもこうしてアーマーにダメージも受け槍は折れた。若い冒険者と思って無意識的に侮っていたと思わざるを得ないな。認識を改める必要がありそうだ」
「武器は破壊した、まだやるか?」
「それは遠慮しよう。当初の目的は果たせたしな。名前を聞いてもいいか?」
「ケータだ。ケータ・カガミ」
「ケータか。俺はグライ、また会えるといいな」
「俺は会いたくはないがな」
俺の言葉にグライが笑いながら、胸ポケットから笛を取り出した
「連れないことを言うなよ、まぁ今日は退かせてもらおう」
「逃がすと思うのか?」
「逃げさせてもらうよ」
ピィィィィ、ピィィィィ、ピュゥゥゥゥ、ピィィィィーーーー・・・・・・
グライは笛を何かのリズムで鳴らす。仲間への合図で鳴らしたのだろう。会話からすると撤退の知らせか
リア、ファニ、銀狼の方を見るとそれまで戦っていたグライの仲間が戦闘を止めてこちらに向かってきている。銀狼の方は煙が充満していた、煙幕でも使ったのだろう。ファニは・・・あいつ追撃する気ないのか、退いた敵を追うこと無く欠伸をしている。リアの方は、おっとこっちに遠距離攻撃みたいな炎が飛んできてるじゃないか
魔力で円形の障壁を張り、飛んでくる炎をを防ぐ、これは羽か?
(グライを追いたいが、テイマーが動いてない事も考えるとリア達と合流した方が得策かな)
今尚炎の羽を放ち続けるシオ、と呼ばれていたグライの仲間の攻撃を障壁を張り防ぎながらリアの元へと走る。リアにも攻撃をしており、リアはそれを両手剣を地面に刺して陰に隠れて防いでいる。そのままリアと俺を、半円のドームのように障壁で囲み安全地帯を作り合流した




