盗賊達との戦闘
戦闘は静かに始まった。盗賊達はバラバラと散り馬車を包囲するように展開している。それをさせない為にアレックスが手前の盗賊目掛けて一瞬で間合いを詰めて双剣で喉元を切り裂いた。アレックスはそのまま次の盗賊を狙うと共に銀狼に指示を飛ばした
「ロウとミミは馬車を守れ!リンは僕と一緒に遊撃、予想以上に数が多いからまずは減らすよ!」
「「「了解!!」」」
流石先輩冒険者達だな、動きに無駄がない。俺達もそれに続くとしよう。早速リアとファニに指示を飛ばす
「ファニはそのまま商人の護衛、リアは俺と一緒に銀狼とは別に盗賊の数を減らそう」
「まぁ仕方ないかの、今回も暴れられなさそうじゃのう」
「なら適当に魔法で援護してくれ、生死は気にしなくていいから銀狼の援護で我慢してくれ」
「おぉ、流石ケータ、話が分かるのう」
ファニが毎回暴れられなくて不満を感じてるのは分かっていたがこの3人だとどうしてもファニは後ろにいてくれた方が良かったりするため、こうするしか出来ない。あと二人程メンバーがいれば解消する問題なのだろうか、と思案している間にも盗賊達は容赦なく襲い掛かってくる。死角からの攻撃だがこちらは気配察知でそちらを向かなくても迎撃出来る。
ロングソードを一振りしまず一人目の盗賊を殺した
(もう吐き気すらしないな)
死体を見ても、執事を殺した時のような状態にはならなかった。人を殺したのに何も思わなくなってしまっていると実感した
よく異世界転生物の小説や漫画では慣れてしまうとあったが、当時はそんな事ないだろうと否定していたがいざ自分がその立場になると納得出来てしまう。これは一種の心の防衛機能なのかもしれない、心が壊れないようにするためのだ。逃げと思われるかもしれない、命を詰んだ業を背負い切れずに目を背けた逃げ、そう思われても仕方ない。しかし、そうしないと心が潰されてしまうのが分かっている者が果たして背負い続けることが出来るだろうか?答えは否だ
NOという答えが出れば後は、自分が殺されないように敵を殺すしかない。あの日王国の執事を殺してからもう覚悟は決まっている
アレックスと同じように近くにいた盗賊を防御に構えた武器ごと剣を振り両断した。それを見ていた他の盗賊達は一歩後退る
「・・・来いよ、そのために来たんだろ?」
「舐めやがって・・・っ!」
俺の煽りに反応してか次々と襲い掛かる四人の盗賊を冷めた目で見つめ剣を構える。上からの盗賊の攻撃を躱して空いた横っ腹の隙を剣で斬り、低姿勢のまま両サイドから攻めてきた二人の攻撃を跳んで避けて無限収納から槍を二本取り出し頭を串刺しにする。宙に浮かんだ所を狙う弓を構えた盗賊に狙いを定め、今度は短剣を投擲する。同時に矢を撃たれるがそれすら切り落とし短剣は命中した。死体を眺めていると何人かの盗賊を既に討伐したリアが話し掛けてくる
「流石ご主人様ですね、ほぼ一瞬で終わったじゃないですか」
「いや、まだいるよ」
賞賛の言葉に否定を入れ、精密に隠された殺気に反応して剣で防御の構えを取る
「シオ、五番」
「り」
ガキィィィン!
襲撃者は二人、先行し俺と槍でかち合い金属音を鳴らした、口元を布で隠した男と、リアの背後から短刀二本で襲い掛かった同じく口元を布で隠した少女。その両方が盗賊とは思えない全身黒装束を着ていた。見た目は完全に忍びって感じだがこの世界では暗殺者って方が当たってそうだ
「おいおい、なんで盗賊の中に忍者みたいな暗殺者が紛れてるんだ?」
「悪いな、お前達にはここで死んでもらう。今盗賊達に必要以上に死なれると困るんだ」
盗賊に死なれると困る?暗殺者が盗賊を助けて何のメリットがあるのだろうか。盗賊達が集まっているのもこいつらの仕業か?だとしたら何の目的があってそんなことをする・・・、考えても情報が足りなく答えが出てこない
「リア、そっちは頼む。俺はこっちのおっさんをやる」
「畏まりました」
情報が足りない時に考えても無駄と考えリアに指示をすると、リアが暗殺者の少女と戦闘を始め徐々に離れていく。おかげで目の前の男との一対一の状況を作れた。まだ少し残っていた盗賊はアレックス達の方に向かっているようだが、ファニが見逃さず倒してくれるだろう
目の前の敵に集中し剣を構える。先程から何度か鑑定を試しているがステータスが見れないため、何かしら対策をされているのだろう。相手の武器は槍、リーチは当然俺の剣よりも長く広い。槍の気を付けるべき点は穂と石突は当然の事、柄の長さを利用したリーチの延長も警戒しなければならない。槍は投擲する事も出来るためそれもだな
「・・・」
「・・・」
沈黙の中最初に動いたのは相手の方、槍を構え突きを繰り出され、それを躱し剣を振るうと槍を回し縦に構え柄の部分で受け止められた。意外にも相手の武器は硬いようだ、手に衝撃がビリビリと伝わる
「その歳で、この剣の重さ・・・、少し警戒すべきか」
「その槍細工でもしてんのか?すっげー硬いんだけど」
「そりゃあ只の槍とは違うから・・・なっ!」
相手が槍を回し、受けていた剣を流し、槍を横薙ぎする。両手持ちしていた剣を左手だけで持ち、右手に無限収納から短剣を出して薙ぎを防ぐ
「驚いたな、まさか武器二持ちか。しかも両手持ちのロングソードを利き手じゃない方の片手で持つとは何たる腕力」
流石暗殺者といったところか、分析力が並じゃないな。これは短剣を使ったのは失敗だったか?手を見せ過ぎるのは危険そうだ。幸い相手はまだ二持ちと思ってるみたいだからそれを利用させてもらおうか
「今度はこっちから行かせてもらう」
忍び足、縮地を発動し短剣で斬り掛かる。初動の唐竹を誤魔化すが躱される。そこから袈裟、切り上げ、袈裟、切り上げ、短剣を逆手に持ち、薙ぎ、薙ぎ、連続突き、ロングソードで一閃と続けて攻撃するが全て躱される
反撃とばかりに槍で同じような連撃が襲い掛かるが全てヒラリヒラリと躱していく。お互い攻撃が当たらず決めきれない状況が続いていく中、均衡を崩したのは暗殺者の方であった




