ファニ編1
ケータから三日間の休息期間を貰った儂は丸々2日間寝続けていた。何故そんなに寝るのかと言われれば寝るのが好きだからとしか言えない。もはや寝ることが1つの趣味となりつつあるのが儂、ファニ・アルバンスという人物、いやドラゴンである
特に予定も無いため三日目も惰眠を貪ろうとウトウトしていると頭に少女のような声が響いた。しかし眠ることが好きなドラゴンはそんなことでは動じることなく意識を徐々に沈めていく
『・・・ニ、・・・・ニっ・・・ば、・・・う・・』
ウトウトし始め遂に意識を手放すタイミングで頭の中に怒声が響いた
『さっさと起きてってばぁ!!!!』
「頭が痛いのじゃぁァァァァァ!?」
突如響いた怒声に痛みを感じ頭を抑える。ゴロゴロとベッドからは転げ落ちてしまいダブルで痛い
『全く、いつまで寝てるんですか』
頭に響くこの声には聞き覚えがある、というより少し前までは聞き慣れていた声である
「オ・・・、オルティ様であったか、どうされました?」
声の主は、我が主でもある万能の神オルティ様だ。オルティ様とはこうして頭の中で話す念話というのが出来、こうして話してるわけだが
一体何の用だろうか?
『忘れたんですか?圭太君についての定期報告!』
「あっ…」
忘れていた、オルティ様には月に一度の報告を命じられていたのだがすっかり忘れていた。申し訳ありませんと謝罪すると、オルティ様はため息を、それはもう長い溜息を吐き許してくれた。
『とにかく、報告を聞きたいから今からこっちに来てもらえませんか?』
「念話ではダメなのかの?」
『こっちに来れるときは出来るだけ来てほしいんですよ』
「了解なのじゃ、それでは今から向かいます故」
『はいはい、待ってますよ』
そこで念話が終わり、儂はさっそく外出の準備をする。隠蔽魔法を自身に纏い宿の窓から飛び降りる。人間の姿のまま背中に竜の翼を生やして空へ羽ばたく。ラタルの街が一望できる高さまで上昇し目的地の方角を向き一気に加速する
オルティ様の言っていた場所とは大陸から離れた位置にある離島のカグラという場所だ。そこはオルティ様の住処になっている場所である。カグラはオルティ様曰く圭太に加護を与える際に覗いた圭太の記憶から創成したようでこの世界にはない植物や建物などがあり、そこだけ別の世界のような島になっているため上空からだと意外にも目立つ。今こうして視認できるくらいには
冷たい風に当たりながらカグラに向かう途中でオルティ様から念話が来る
『あっ、ファニ。お願いがあるんですけど』
「どうしたのじゃ?」
『少し魚を取ってきてほしいんです』
「承ったのじゃ」
進路から少し離れ人の気配のない海上に浮かぶと、手元に魔法陣を展開する。発動する魔法はウインドボム、手元に風を集め球状の、風のボールを作る。程よい大きさになった所で真下の海に投げつける
ドオォォォォォォォン!!
海面と風の球が衝突し爆音が鳴り響く。周囲には爆発による衝撃波が広がるが特に気にすることもあるまい、と判断し少しの間その場に留まると
プカー・・・
爆発の衝撃で気絶した魚が次々と浮かんできた。魚をちまちま取る時間もなくめんどくさいのでこの方法で取ってみたがやはり楽である
「楽なのはいいんじゃがあの方にバレると怒られるのが難点じゃのう・・・」
あの方とはオルティ様と同じ神の一人である水神のポセイア様である。昔からこの魚の取り方をすると怒られてしまうのだ。まぁ、バレなければいいのである、うん
そういえば、魚を入れる籠がないがどうしようか・・・
「オルティ様、申し訳ないのじゃが大きめの籠を転送してはくれないかの?」
『大きめの籠ですか?ちょっと待ってね・・・』
言われた通り待つこと数秒、周りの虚空に両手で抱えるぐらいの大きさの籠が出現した。それが海に落下する前にキャッチしオルティ様にお礼を言う
早速籠の中に浮かんできた魚たちをポンポン入れていき、ようやく籠いっぱいになったところで籠をブラさげながらカグラへと飛翔する




