リア編3
書かれているのは200年前の大戦の話である
昔、世界は魔族率いる魔王軍と戦争をしていた。各地で常に小規模ながらも戦闘は止むことが無く人々は日々疲弊していた。そんな中ある国に5人の勇者が降り立った。勇者の力はとても大きくその力で各地の魔王軍を次々と倒していき遂に魔王軍に侵略された領土全てを奪還することが出来た。しかしここで止まってしまったらまたもや悲劇を繰り返す。そう考えた勇者達は魔王を討ち倒すために魔族達の生息する魔族領域へと進軍していった。襲いかかる魔族達を次々と殺していき、ようやく魔王のいる城へと辿り着いた勇者一行。力の全てを振り絞り魔王と戦うが、魔王の力は遥かに大きく勇者達は次々と倒れていく。やがて勇者は2人だけとなり魔王の猛攻にただ耐えることしか出来なかった。しかしそんな勇者達に好機が訪れた。魔王が魔力切れを起こして隙を見せたのである。それを見逃さず勇者は最後の力を振り絞り最強の光属性魔法の『エクスカリバー』を発動し魔王を斬り裂いた。しかしそれは魔王に致命傷を与えることは無かった。隙を見せたのは魔王の罠だったのである。しかし勇者の手にはなにかを確実に殺めた感触があった。勇者は恐る恐る魔王の下にあるものを見る。そこには
上半身と下半身を両断され血溜まりに沈んだ仲間の姿があった
勇者は発狂した。その叫び声が魔王の城をこだまし、その姿を見ていた魔王は笑みを浮かべる。やがて声が止み勇者は目の前の魔王に全てを出し尽くし猛攻を仕掛けた。既に全力を出した後の全力、それは命を削るというものであった。命を削っただけあって勇者は魔王を討伐することが出来た。勝利の余韻に浸ることなく仲間の死に再度泣き崩れる勇者に突如異変が起きた
体から魔力が止めどなく湧き、体が変質していってるのである。しばらくして落ち着いた頃にはそこにいた勇者は
先程戦っていた魔王と同じ姿をしていたのだ
勇者は泣き叫んだ、魔王を倒すべく討伐したのに今度は自分が魔王になってしまったことに
そして魔王となった勇者は自身に多重の封印をかけて深い眠りについた
ここで話は終わっている。まるでおとぎ話か何かのような話に見えるが妙に現実味がある不思議な話だった。それこそ現場にいたかのように。これをケータ様に見せてみると何やら思案顔でブツブツと呟いていた
「勇者が魔王化?そうするとあいつらは……、そしてこの場合でのお約束がもしもあったら下手したら……、いやまさかな」
「ご主人様どうかなさいましたか?」
「あぁすまない。少し考え事をしてたんだ」
深刻そうな顔をしていたので心配しましたが無用だったようです。やがて外も暗くなり始めた所で「そろそろ帰ろうか」と言うケータ様と共に本を返却した後図書館を出る。すると出入り門の近くにシノアさんが居るのが見えた。
「こんばんはシノアさん、こんな所でどうしたんですか?」
「どうも、実はギルドから通達があるのでそれのお届けに」
「ギルドから俺にか?」
「はい」
ギルドからの通達、となるとギルドマスター経由から来たものでしょうか?
ご主人様はシノアさんから封書を受け取り封を切り中の書類に目を通す。全て目を通したあと私にもそれを渡され目を通す
「なぜこんなものがご主人様に来たのでしょうか?」
「分からん。そんなに目立つようなことはした覚えが………」
(そんな覚えしかないのですが)
と口には出さずに心の中で思う。現にご主人様が今までしてきた事は正直規格外過ぎるものばかりだ。肺血病の治療による上級ポーションの製作、魔物大量発生をほぼ一人で解決、迷宮の封印、これだけでも注目される理由になるだろう
「正直気乗りしないな」
「私もですね」
「しかしこれをケータ様方が断るとこれからの冒険者活動に支障が出るかもしれませんよ」
「どういう事でしょうか?」
シノアさんの説明では手紙に書いてある内容、宛名が真実ならギルドとしてもフォローしきれないという見解であった。ご主人様もそれは理解しており
「まぁ、なんとかするよ。届けてくれてありがとうシノアさん。とりあえず明日1日はまだ休みにしてるんだしゆっくり考えとくよ。それじゃあ帰ろうかリア」
「はい」
手紙の件については明日また考えると決めるとシノアさんは役目を終えたので帰っていった。返事については仕事に入ってなかったようだ。
シノアさんを見送りその背中が小さくなった頃、私達は帰路に着く。ご主人様のケータに続くように夕陽が照らされオレンジ色になった街道を歩いて帰っていった。こうして私の休日2日目は終わりを迎えた
次回からファニ編です




