ケータ編3
店に入り店内を見渡す。中は木造で道具屋と言われるだけあって、様々な雑貨が棚に並べられており、更に剣や弓矢なども売られてあった。おそらく武器に関してはごく普通の物しかなく、職人の弟子などの出来のいい練習作をこうして売っているのだろう。護身用など継続的に使用するものでは無ければこういった普通の剣で事足りる。手持ちのお金が少ない、お金に余裕が無いものでも買えるように値段もお手ごろである
流石に戦闘用として買ったりは出来ないものだが、こういった売り方は良いものだと思う
「いらっしゃいませ」
剣を物色していると、店の奥から来店を歓迎する声とともにこちらに近付いてくる足音が聞こえてくる。剣の物色を止めそちらを振り向くと、そこには栗色の長髪の身長はやや低めの女性がいた
見た目や雰囲気からして年齢は同じくらいだろうか、
「こんにちは、俺はケータと言います。ここの店主に用があって来たんですがいらっしゃいますか?」
「はい、私がここの店主のユフィ・パルマスンですよ」
見た目で判断してはいけない、学んだ瞬間であった
気を取り直し用件を説明し手紙を渡す
「またギルドからですか」
差出人を見て溜息を吐くユフィさん。また、ということは以前にも同じことがあったのだろう。手紙の内容は分からないがギルドがそうまでしてユフィさんに執着する理由が気になる
詮索しずきるのは良くない、しかし好奇心が抑えられない。どうしたものか
この気持ちを誤魔化すためまたしても店内をキョロキョロと見渡すと興味のある物が視界に入った
「あれってポーションですか?」
視線の先には普通のガラス瓶に黄色い液体の入ったポーション。ユフィさんもそちらを見ると俺の問いに肯定する
「あれは筋力上昇ポーションですね」
ステータス上昇のポーションなんて存在していたのか。もし作れるようになれば戦略の幅が広がるだろうか。少なくとも生存率は高くなりそうではある
「あれってどうやって作るんですか?」
「材料とスキルがあれば誰でも作れますよ。スキルは調合で必要レベルは3です」
調合レベル3なら大丈夫だな。現在の俺の調合レベルは4だからギリギリ間に合っている
「あのポーションはユフィさんが?」
「はい、というかここに置いてるので私が主に作ってるのはポーションぐらいですので。こうしていろんな雑貨を置いて道具屋とか言ってますけど私としてはポーション販売が主みたいなものなんですよ」
話を聞くとそれ以外にもちょっとした小道具を作ったりもしているそうだがポーションのほうが出来が良く、需要もあるので小遣い稼ぎ程度に留めているそうだ。ポーション作りに関しては趣味という感覚もあるようだ
この人は器用値が高そうだとふと思ったが鑑定はしないでおく。必要な時以外での鑑定は控えるべきだと決めたからだ
「ケータさんはポーションにご興味が?」
「そうですね、前に何度か作る機会がありまして。その際にスキルも取得したのでどうせなら色々と作ってみたいなと思いまして」
「それは良いですね、ちょっと待ってくださいね」
そう言ってユフィさんは嬉しそうに店の奥へと戻っていった。ユフィさんが嬉しそうなのは、同じ趣味を持ってる人がいると分かると嬉しくなるのと同じことだろう。確かに同じ趣味を持った人と話せるのは嬉しいものだと思う。日本でも同じアニメを見ている人と話すのは楽しいし好きなキャラも一緒だと語り合ったりも出来るので尚更楽しいので気持ちは分かる
「お待たせしました」
奥から戻ってきたユフィさんの手には5冊程の本があった。聞くとポーションについて記された本らしく俺のために用意してくれたみたいである。これを読めばポーションの作り方が基礎から学べるらしく今までスキル依存だった俺にとってはとても興味深い内容だ
「これを読めばある程度のポーションは作れますよ。私にはもう必要ないのでよろしければ差し上げますよ」
「流石にただで貰うのはちょっと抵抗が」
「それなら銀貨1枚でどうでしょう?売買する形にすれば多少抵抗感も無くなると思ったのですが」
確かに買う形で本を貰うのなら抵抗も無いな、ここは素直に受け取るべきだろうか。個人的には物凄く気になるので買わない理由もない
買うことを決め、ズボンのポケットに手を入れてさもそこから出したかのように無限収納から銀貨1枚を取り出しそれをユフィさんに渡す
「はい、お買い上げありがとうございます。何か教えて欲しいことがあればお教えしますのでいつでもいらっしゃってくださいね」
用件も済んだのでユフィさんに例を言って、本を両手で抱えた状態で店を出る。ここで本を無限収納に仕舞っては怪しまれるので無限収納は使わない。別段バレても問題はないのだがあまり公言することではない追求され説明するのも面倒、と考え出来る限りは人前で無限収納は使わないようにしている
帰りは図書館に寄らずに小型地図を使い帰ることにした。3の鐘がなるギリギリ前にフツフツ亭に帰ることが出来たが、小型地図が無かったら迷子になっただとか考えると意外と怖いと感じた。マリーさんは何か俺に恨みでもあるのだろうか?
そんな考え事をしながら部屋に続く階段を上っていると上からリアが声を掛けてきた
「お帰りなさいませご主人様」
「うん、ただいま。リアはどうしたんだ?」
「ちょうど私も帰ってきた所でして、今から食事を取ろうかと思っていました」
「そういえばお腹空いてきたな、なら一緒に食べようか」
色々とバタバタしていて空腹感すらも忘れていたため、思い出した途端急激にお腹が空いてくる。リアも夕食を食べるとの事なので一緒に食べないかと誘いテーブル席に着く
夕食を口にしながらリアと会話をする
「リア、明日は暇かな?」
「特に予定はありませんが」
「なら俺と一緒に図書館に行こう。1人で行くのも良いかと思ったけどどうせならリアにも知識をつけて欲しくてな」
リアに明日図書館に行くのに一緒にどうか、と誘い了承を得たので明日はリアと共に行動する予定が出来る
夕食を食べ終えたあと部屋にいたファニも誘ってみたが今更図書館で得る知識が無いということなので断られた
寝る前に少しだけユフィさんから買ったポーションの本を読んでその日は就寝する
こうして俺の休日1日目は終わるのであった
次回はリア編となります




