ケータ編2
遅れてしまい、申し訳ありません
お待たせいたしました
カランカラン
ギルドに着いた俺は中に入るため扉を開ける。扉に付けられた鈴の音が室内に鳴り響く、それと一緒に向けられる幾多の視線を受けながらカウンターまで進む
「こんにちは、今日はどういったご用件で?」
「ちょっと聞きたいことがあってな、マリーさんかアルフレッドはいるか」
「マリーさんがいらっしゃいますね、お呼びしますね」
受付の女職員がマリーさんを呼ぶため席を外す。およそ3分程だろうか、経った頃にマリーさんがやってきた
「こんにちはケータさん。何かありましたか?」
「こんにちはマリーさん。ちょっと聞きたいことがありまして」
「それはちょうど良かったです。場所を変えましょうか、案内します」
マリーさんの案内のもと辿り着いた一室はかつて利用した部屋と同じ応接室だった
妙に慣れ親しんだソファに座りマリーさんと対峙する。いつの間にか机には紅茶があった
本当にいつの間に出したんだ?
「では今日はどういったご用件でしょうか。聞きたいことがあると仰られてましたが」
「あぁ、この街に図書館ってあるか?本とか書物が保管されている場所とかでもいい」
「ラタル国唯一の図書館がこの街にありますが、ちょっと待ってくださいね」
そう言ってマリーさんは何ポケットから紙とペンを出して何かメモを書き始める
書き終えペンを置くとそのメモを2つ折りにし俺に差し出してきた
「受付にそのメモを渡してくれれば職員が図書館にご案内します」
「それは助かる」
この街の土地勘があまりないためこれは凄く助かる。メモを受け取りコートのポケットに入れる。無限収納に入れても良かったが折角のコートの機能を使わないのは勿体無い
目的は達したしよし帰ろう
「教えてくれてありがとうございます。それじゃ俺はここで失礼」
ガシッ
その場から立ち去ろうとした俺の肩をマリーさんが掴む
指が肩に食いこんでとてつもなく痛い
「なんで逃げようとしてるんですかケータさん?ちょうど良かったって私言いましたよね」
「嫌な予感するからお断りする!絶対厄介事持ち込んだでしょ!?」
「察しが良くて助かります」
嫌がる反応をする俺を見てマリーさんはニッコリと微笑む。とても可愛く惹かれる顔だが、今は逆にその笑顔が怖い
「情報を教えたんですからここはギブアンドテイクで行きましょうよ」
「えぇ……、はぁ、分かりましたよ。それで何をやらせたいんですか」
諦めて要求を飲むのが賢明か、と思い了承の意を示す
再度ソファに座り直しマリーさんに向かい合う形で対談を再開する
「ケータさんには会ってほしい人がいるのです」
「会ってほしい人ですか」
「はい。この街の外れの工房区で道具屋を営んでいるユフィ・パルマスンという方です」
「道具屋?それが俺と何か関係あるのか」
今までで道具屋と関わりそうな事をした覚えはない。その人物と会わせたい理由は一体何だろうか
「関係は特にありませんね。彼女に会ってこの手紙を渡してもらいたいだけです。ケータさんなら大丈夫かと思うので」
「直接ギルドから渡せばいいんじゃないのか」
「それが無理なんです。彼女の性格上こちらから直接というのが出来なくて……」
それって性格に難のある人物に俺を押し付けるという事じゃないか、単に面倒くさいだけなのでは、と思ってしまう
しかしマリーさんがそんな考えだけというのは有り得ないだろう。何か狙いがありそうだ
ただ図書館の情報を貰った手前断ることも出来なさそうであるが、どうせ図書館に行く以外の用事がないのだから受けても問題はないか……
「分かりました。その依頼受けますよ」
「ありがとうございます。ではこちらが例の手紙となります」
マリーさんから差し出された手紙を受け取り、これは無限収納に仕舞う。流石にこういった大事なものを無くす訳にはいかないからだ
「目的地までは私の転送で送りますね」
「分かった」
転送で移動すると言われ了承した瞬間に、周りの景色は既に応接室から工房区と思われる鍛冶屋の密集した風景へと変わっている。目の前にはスペロシィビィと店名らしきものが書かれた看板を掲げた店があった
「ここが例の道具屋です。それでは後は任せました」
「えっ、帰りどうする……ってもういないし」
帰りはどうすればと聞こうとした時には既にマリーさんの姿はなく俺1人取り残されてしまった
「仕方ない、さっさと終わらせるか」
帰りの事は後で考えることにして、俺は店の扉を開き足を踏み入れた
カランカラン
扉を開けるとともにおなじみの鈴の音が鳴り響いた。その音で俺の存在を確認した店員が奥からやってきた
「いらっしゃいませ〜」




