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万能使いの巻き込まれ異世界冒険記  作者: シャミュナ
第2章 ラタル入国・冒険者活動編
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夢とラミアの苦悩

 カタカタカタカタッ


 照明が付いていない部屋に小気味のよいキーボードを叩く音が響く

 この暗い空間で唯一光を発しているのは机に置かれたパソコンの2つのディスプレイのみである

 それをヘッドホンを装着し食い入るように眺めている人物がいた


「おっ、今のシーンの作画神ってるな。掲示板の方は……やっぱり今の作画についてで盛り上がってたな」


 その人物はディスプレイに映るアニメを見て独り言を呟きながらもう片方のディスプレイでネット掲示板での感想を眺めている

 そのいつもの光景に呆れながらも声を掛ける少女がいた


「圭太、もう学校だよ。早く用意しないと置いてくよ」


 肩を揺すられヘッドホンを外し声の主の方を向く

 腰まで伸びた青いリボンで二つに結われた黒髪、大きくくりんとした瞳、身長は俺よりも小さく140cmぐらいだろうか、着ている制服はSなのに少しばかり裾が余っている

 こんな特徴を持つ彼女は弓塚透子ゆみづかとうこと言い俺の幼馴染である


「もうそんな時間か、飯を食べる暇は………無さそうだな」


「とにかくほら早く着替えて!私下で待ってるからね」


 透子が事前に用意していたと思われる制服を受け取り、透子が部屋を出るのを確認しすぐに着替える。時間ギリギリで学校に登校することが多いせいか早着替えスキルが身に付いてるようで1分で着替え終わる

 パソコンの電源を落とし、鞄に教科書を入れてそれを持ち階段を降りる。玄関に向かうと透子が髪を櫛で整えて待っていた


「それじゃ行こうぜ」


「早かったね、これなら少し走るだけで間に合いそうだよ」


「それでも走るのか……」


 靴を履いて外に出ると掃き掃除をしている母さんがいた。慌ただしくしている俺達を見ていつものことだと苦笑しながら「いってらっしゃい」と手を振り見送ってくれる

 それに返事をし透子と一緒に学校までの通学路を走っていく


「はぁはぁ、後どれくらい走れば間に合う?」


「えっと、あの信号を渡れば歩いても間に合うと思う」


「了解だ、それならラストスパートかけるぞ」


 200メートル程先にある信号を目指して一気に駆け抜ける。ちょうど歩道が青信号だったため渡り切ることが出来た

 膝に手を付き乱れた呼吸を整える


「うん、これなら間に合うね。お疲れ様」


「あー、朝からこんな運動しなきゃいけないんだ」


「圭太がギリギリまで遊んでるからでしょ」


 ジト目で正論を言われ何も言えなくなる。しかしアニメ鑑賞と言う趣味については仕方ないと思うのだ。深夜アニメを見た後にこちらで放送されないアニメや過去作などをネットで見たりもすればギリギリの時間になったりもするだろう


「全くもう、毎朝起こしにくる身にもなってよね。はいこれ、朝ごはん」


 透子がこちらに銀色の塊を投げてきたのでそれをキャッチするとそれがアルミホイルに包まれたおにぎりだと気づく


「わざわざ作ってきたのか?」


「どうせ朝ごはん抜きだと思ったからね。それに圭太は朝食べないと昼まで持たないでしょ?」


「そうだな、そのせいで休み時間に購買でよく買い食いしてたから助かる。有難く頂くよ」


 アルミを剥がしておにぎりを食べながら歩く。学校の門が見えた所で食べ終わり再度透子に礼を言う

 通学路最後の横断歩道を渡ろうとすると透子の友達の女子がこちらに気付き学校の校門前から手を振ってくる


「あ、恭子ちゃん、おはよー」


 その恭子の所へ向かうため透子は駆け足で横断歩道を渡ろうとする



 そこで景色が暗転した


 ーーー


 ユサユサと体を揺すられる感覚に目を覚ますと目の前にリアの顔が映る


「うなされてたようですが大丈夫ですか?」


 リアがこちらを心配そうな顔で見ていたので何事かと思ったがどうやらうなされていたらしい

 恐らく夢を見ていたからだろうがどんな夢を見たのかはもう覚えていない

 部分的に覚えている所はあるがそこから分かるのは日本での記憶ということだけである


「心配かけて悪いな、俺は大丈夫だ」


 心配してくれた事に感謝しリアの頭を撫でる。手に感じる柔らかい髪の感触と猫耳の感触に気持ち良さを感じつつ撫で続ける。リアも嬉しいのか尻尾を左右に揺らして気持ち良さそうな顔をしている


「ケータよ、そろそろいいかの」


「あぁ悪い。もう出発するんだよな?」


 全員が寝たので探索を再開するのである。最後まで寝てたのは俺だけで他の皆は既に片付けをしていたようなので1人で寝具を片付ける


「お兄さんこれどうぞ」


「これは……お茶か?」


「はい、心が落ち着く作用のあるハーブティーです。リラックス出来ますよ」


 片付けを終えるとラミアから声を掛けられハーブティーを渡される。説明だとリラックス効果があるようだが

 試しに1口飲んでみると身体が温かくなる感覚がする。風味によるものなのか強ばった身体の筋肉から力が抜け解れていく

 どうやら先程の夢が無意識のうちに相当堪えていたようだ、こうして力が抜けるまで気が付かなかった


「気を使わせちゃったな、ありがとな」


「戦闘では皆さんに守られっぱなしでこれぐらいの事しか出来ないので……」


 どうやらラミアは戦闘で護られ続けているお姫様って立ち位置を気にしていたらしい

 しかしラミアはこの中で1番レベルも低く依頼者でもありこの迷宮を封印出来る唯一の人物だ。もしものことを考えると中々戦わせることは出来ない、どうしたものか




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