魔法の制御は難しい
グボァァァァァァァァ!
マザートレントから放たれる枝を見切りを使用して紙一重で避けつつ縮地を使用してマザートレントに近づいていく
一方リアは枝を足場にして飛びながら距離を詰めている
このまま挟み撃ちで……!
「効果付与切れ味増加」
ガキィン!!
効果付与で刀の切れ味を増加させ本体へと切りかかる
しかしマザートレントの体は硬く刃が通らなかった、すぐさま後退して態勢を立て直す
「効果付与しても刃が通らないか。対物理耐性でも高いのか?」
今の攻撃から敵の特徴を分析する。実はこの戦いでは鑑定を使わないのが目標だったりもする、この先鑑定を使えない時も出る可能性も考えると今のうちにこういったことに慣れておきたいのだ
ガキィン!
ガキン!
キィン!
キィン!
今度はリアが攻撃を仕掛けるも同じく刃は弾かれ跳躍して後退するが、空中に飛んだリアに枝が襲いかかる
一つ目の枝は双剣を交差してガードするが態勢を崩してしまう。そこに更に追撃が来るが全て剣で弾くことで態勢を立て直し着地する
「2人ともそこから前に出るでないぞ、ウインドランス!」
ファニが魔法で援護をする。手に風を集め槍状にし放つ、追風を掛け加速させることで威力を底上げもしている
風魔法にはあんな使い方もあるのかと感心し、ウインドランスの放たれた先を見るとマザートレントの脇腹を綺麗に貫いていた
「やはり魔法は効くのか……リア!風魔法の効果付与をするから上手く使ってくれ!」
仲間に効果付与をするのはこれが初めてなため、どれほどの効果があるのか分からないが、ものは試しということで早速風魔法の効果付与をする
スキルは正常に発動しリアの双剣に風が纏う
「ありがとうございますご主人様。何だか手に馴染みますね、カマイタチ」
カマイタチ、と魔法を詠唱するとリアの双剣から無数の風の刃が発生しマザートレントに襲い掛かる
マザートレントは枝を何重にも張り巡らせることで防ごうとするがいくつかのカマイタチはそれを突破しマザートレントを傷付ける
「ご主人様、枝は私が何とかしますのでトドメを」
「分かった」
すぐさまリアが周りの枝に向けてカマイタチを放ち、更に撃ち漏らしを自分から切り落としていく
マザートレントを守っていた枝は徐々に無くなり遂に無くなった
「ご主人様今です!」
違う防御手段を取る前にトドメを刺すべく縮地と先程のファニの魔法を参考にした追風で自分の移動速度を上げマザートレントに肉薄する
(確かこうだったかな……)
ファニの放ったウインドランスを真似て右手に風を収束させ槍状の形にする
そして銃の引き金を引くようなイメージをして魔法を放つ
「ウインドランス!」
ドゴォォォォォォォォォォォン!!
放った魔法は標的に命中したが予想を超える威力によってマザートレントの体は全て吹き飛んでしまった
予想外の出来事に固まる俺にファニが呆れた顔をする
「ケータよ、お主は加減というのを知らぬのかの?」
「反省はしてます」
こうしてマザートレントとの戦いは幕を閉じた
ーーー
マザートレントとの戦いを見ていたラミアはただ呆然としていた
迷宮の40層辺りで出るボス級の魔物だ。普通なら私達のような迷宮探索班が30人で戦ってやっと勝てるような魔物をこのお兄さん達はたったの3人で倒したのだ、驚かないはずがない
「怪我はないかの?」
「あ、はい。大丈夫です」
私を護衛してくれているファニさんが私の身を心配してくれ大丈夫だと答えておく。一応身体的な外傷も疲労もないのだがやはり驚愕したためか気が動転してるように感じる、問題があるとしたらそれぐらいだ
「ファニさんのウインドランスも凄かったですがお兄さんのはもっと凄かったですね」
「全くじゃ、こんな迷宮でウインドランスをあんな大威力で放つなど阿呆にも程があるわい」
確かにあの威力で魔法を発動され続けるのは困る。ここは迷宮であるのだから万が一天井が落ちた場合最悪生き埋めになってしまう。それにこの迷宮は至るところに蔦が蔓延っているので火魔法が使えない。トレントなどの魔物は火魔法に弱いのだがそういった理由から使うことが出来ない、その点は分かっていたのかお兄さん達は使っていなかった
お兄さんはマザートレントの死体が消えるのを確認するとその場に落ちたアイテムを拾った
「お兄さん、マザートレントからは何が取れましたか?」
「神木……というやつだ」
神木、確か私の記憶ではエルフ、ハイエルフが使用する最高級の弓に使われる素材のはずだ。そんなものがいきなり手に入れるとはやはりこの迷宮は何かがおかしい
私が今まで探索してきた迷宮では神木などといったレアアイテムは迷宮の主であるボス級の魔物を倒さないと手に入らない代物だった。それが最初から手に入るなんて……
「探索を急ぎましょう、おそらくこの先に階段があるはずです」
実はマザートレントは一つの道を塞いでいたのだがそれも居なくなったため通れるようになった
その場所を指差し進むよう提案する
「そうだな、もうこの階層には用がないしさっさと次に向かおう」
少し進むと階段を発見する
お兄さんを先頭にリアさん、私、ファニさんという配置を維持しながら私達は次の2層目へと進んでいった




