青の草原
「分かった、その指名依頼受けるよ」
「ありがとうございます。マリーさんはギルド関係者でしたよね?申し訳ないですが手続きのほうを任せても宜しいですか?」
「構いませんよ」
とりあえずマリーさんに指名依頼の手続きを任せる。ひとまずこれで依頼の話は終わった
ラミアの乱入で変わってしまった話を戻す、このドラゴイーターのことである
「マリーさんドラゴイーターの件についてですが、この剣の機能についての情報をお教えしてもいいです。ただし条件があります」
「条件……ですか、それはお金とかでしょうか。どれ程要求するかは分かりませんが情報次第では白銀貨5枚は出せますよ」
白銀貨5枚、日本円にして50万か。確かに金は欲しい、だが今はそれ以上に欲しいものがある
「金はいらない、その代わりこのドラゴイーターを少しの間貸してくれないか。まだマリーさんが出していない物も含めてね」
「……ドラゴイーターと付属品の貸し出しですか、分かりました。しかし今すぐは無理なことをご了承ください。私の判断だけでは難しいので、貸し出し出来ないか上に話をします」
やはりすぐには無理か、予想はしていたから問題はない。流石にギルドマスター秘書でも何でも決められる訳ではないだろう
とりあえずカートリッジシステムの事を分かりやすく説明した。マリーさんは聞いた内容を1字1句忘れないようにするが如く記憶し顔を俯きながら内容を吟味している。やがて情報の整理が出来たのか顔を上げる
「カートリッジシステム、非常に興味深い機能ですね。ケータさんありがとうございます、これで長年停滞していた研究が進みそうです。ドラゴイーターの件につきましては追って連絡をいたします」
「それは良かったです、ドラゴイーターの件了解しました」
マリーさんはこういう話だと中々食えない人のようだ、結局最期まで隠していた物は明かされなかったし、それに情報料の話でも何か試されていたように感じた。
これからマリーさんと話をする際は色々と気を付けたほうが良さそうだ
「ではそろそろ失礼します。手続きについては任せてください、それでは」
俺たちに一礼をしマリーさんは帰った。仕事が出来て気遣いも出来る人って本当にありがたいな、異世界に来たばかりで知識もあまりない俺にとって貴重な人脈とも言える。この事だけにはアルフレッドに感謝するケータであった
「さて、迷宮にはいつ向かうんだ?」
「お兄さん達の準備が出来てからでいいですよ」
「なら今すぐ行こうか」
「へ?」
先程の大人びた様子と打って変わって素っ頓狂な声をラミアが上げる。意外と年相応な反応もするのだなと関係ないことを考え、ラミアが疑問に思ってるであろう事を説明する
まず俺達には荷物がほぼ無い、それは勿論無限収納のおかげであり中には先の戦いでの魔物の素材が豊富にある。食料も食べられるであろう魔物の肉があるため問題なく、水もフツフツ亭の井戸で汲んだものがすでにある
だから迷宮探索をしようと思えばすぐに行けるのである
「無限収納ですか、レアなスキルをお持ちなんですね。分かりました、すでに私も準備が整っているので早速向かいましょうか」
「移動手段はどうするのですか?」
リアが迷宮に向かうための方法を尋ねるがラミアはそれに返事をせず、代わりにポケットから石を取り出しそれを俺達に見せた
「それは転移石かえ?確か記録した地点まで一瞬で移動できるやつじゃったな、儂の記憶ではかなり高価なものだったはずじゃが」
「えぇ、これは転移石です。ファニさんの言う通り高価な物で市場に出回ることはほぼないアイテムですよ」
「そんな物を使うほど迷宮封印ってのは重要視されてるんだな」
おそらく転移石はラミアが手に入れたものではなく国から支給されたものだろうな
国がそれを支給するってことは迷宮封印は急を要するような案件と推測できる
「それじゃあ皆さん準備はいいですね?ブレイク」
ブレイクという単語に転移石が反応し青白い光を放った。光の眩しさに目を閉じてしまい、光が収まったタイミングで目を開けると目の前の光景はフツフツ亭の食堂から草原に変わっていた
この感覚はマリーさんの転送にそっくりであった
「ここが青の草原か」
「草木が全て青色ですね……どうしてでしょうか」
リアがこの草原の異質な部分に疑問を浮かべる。この草原の草木は全て青色になっており、まるで草の海みたいだ
興味本位に足元に生えている背の低い草をむしり取って観察する
「これは……透けてるのか?」
自分の目線の高さに取った草を合わせるとうっすらと向こう側の景色が見えた
そんな疑問を抱いている所にラミアが解説をしてくれた
「ここの草木は実は青色ではなく透明なんです。だからここの草原が青く見えるのは空の色を反射しているからなんです」
海の色が青く見える原理と一緒か、合点がいった
一応透明の草を無限収納に入れてラミアの引率のもと俺達は森の中を進んでいった




