青の指輪のお買い物
街に帰還した俺たちは事前に決めたとおりに二手に別れた
リアとファニはフツフツ亭に、俺はギルドに向かっている
ギルドの入り口を開けチリンチリンとベルを鳴らす。そのまま依頼を受注したカウンターまで行き職員に話し掛ける
「今朝方受けた依頼の達成報告をしに来たんだが」
「かしこまりました、ギルドカードをお預かりしても?」
ああ、と頷き無限収納から手元にギルドカードを取り出しそれを渡す
職員はそれを受け取り何かの箱の上にそれを置いた
「それって何をしているんだ?」
「これはギルドカードに登録された受注した依頼を読み取っているんです。この箱の上面にある魔法陣にかざすことで読み取れるという仕組みです」
受注する時にエルフのライラさんが何か作業していたのはそれか
「読み取りが完了したのでギルドカードをお返ししますね。ゴブリン討伐の依頼ですが討伐確認部位はありますか?」
ギルドカードを閉まって入れ替わりのようにゴブリンの耳が入った麻袋を取り出し職員に渡す
それを受け取った職員が中を見て数を数える
「全部で20匹分ですね、追加報酬が銀貨2枚になりますので合計5枚になります」
トレイに銀貨5枚を重ねて差し出してきたのを受け取る。追加報酬が2枚か、基準はなんだろうか
聞いてみると5体ずつで2枚 端数は1枚という区切りらしかった。だから20体だと追加報酬は2枚だったのか
「あ、ケータ様。言伝を預かっているのですが今よろしいでしょうか?」
「分かった聞こう」
「“明日の2の鐘がなる時にフツフツ亭でお話がある”とマリーさんからです」
マリーさんから話があるか、何の話だろうか。それと2の鐘ってなんだ?
それを質問してみると、この世界では朝昼夜の合図に鐘がなるらしく、それぞれ朝を1の鐘、昼を2の鐘、夜を3の鐘と呼ぶようだ
つまりお昼にフツフツ亭にいればいいのか
「了解だ、マリーさんに了承の意を伝えといてくれ」
「かしこまりました」
マリーさんへの返事を頼みギルドから外へ出る。今は陽が落ち掛けておりオレンジ色の夕陽が空を照らしている
フツフツ亭に帰るためにそちらに足を進める。道の途中にバザーがあり、少しだけ物色する。
その中で気になるアクセサリーの小さな青い宝石のネックレスがありそれを手に取ると店主に話し掛けられた
「おうあんちゃん!そのネックレスが欲しいのかい?今ならサービスするよ!」
「うーん、なら貰おうかな」
サービスという言葉に日本人は弱いと言われるが俺もそう思う、なぜなら現にこうしてサービスという言葉に負けて買おうとしているのだから
まぁ元から買おうと思っていたが……嘘じゃないぞ!
「いくらだ?」
「あー待ちなあんちゃん、それネックレスだけじゃないんだ。ほれ」
店主がネックレスのあった付近を探りそこから指輪を取り出し投げ渡してきた
キャッチはしたが商品を投げていいのかよ……
手を開き掌に乗った青の宝石の付いた指輪を見る。微かにだが魔力を感じられる
「なぁこの指輪って何か魔法の効果とかあるのか?」
「特にないぞ、ただのアクセサリーだ」
確かに魔力が感じられるのだが……気のせいだろうか、この指輪には何か能力があるように思える
しかし今は帰宅するのを急ぎたいため調べるのは後にする
店主に値段を聞くと銀貨1枚というサービスにしてはお買い得な値段すぎだ
流石にそれはどうかと思うため銀貨2枚で買わせて貰い帰路についた
ーーー
「これで良かったのか?」
ケータが視界から消えたのを確認した店主は後ろにいるフードの男に話し掛ける
「あぁ、助かったよ。彼は指輪の効果に感づきそうだったが状況に助けられたね。これで彼もあの組織からの襲撃も乗り越えられるだろう」
「全く……こんな役俺には合わないんだからもう勘弁してくれ」
「案外様になってたよ?ククッ」
フードの男の発言に怒りを浮かべる。しかし長い付き合いのある人物なのでこんなことで怒っていてはキリがない
「それじゃあ撤収しようか、あまり長居もしてられない」
「分かったよ、お前も片付けぐらい手伝えよ」
「僕にはまだやることがあるからね、1人で頑張りたまえ」
その返事に店主の怒声が夕暮れの街に響き渡った




