ファニとの出会い
「ご主人様これって」
「ドラゴン種の鳴き声だろうな」
先程の声を聞き俺に質問してきたリアに答える。リアはその返答に肩を震わせる
「え、だって、その、ドラゴン種ですか?いや、そんな、まさか、流石に私でもドラゴン種と戦おうと思いませんよ……せめてワイバーンであって欲しいなぁ……」
「何故ワイバーン?それにリアはドラゴン種のこと知っているのか?」
何やら現実逃避気味のリアにドラゴン種についての説明を求めるとリアが怯えている理由が分かった
まずドラゴン種はこの世界の生物の最強格に入る種族だそうだ、これはファンタジーの王道みたいな設定だから驚きはしなかった
しかしその強さが凄まじかった
ドラゴン種はワイバーンと仔竜を除いてほとんどがSS級配置の魔物を凌ぐらしい
そもそも○級配置とは何なのかと言うと、魔物などには危険度として一般的なものにはA〜Dレートが付けられており、それより危険度が高いのはS、SSやSSSとなっている
A級配置なら特に特記することもないのだがS級以上の配置だと基本討伐隊が編成されるぐらいの規模である。この場合は軍の兵士なども討伐隊に組み込まれるらしい
閑話休題、リアがこんなに怯えているのはたった2人で相手を出来る敵じゃないということだからだと思う
しかしLv.50代2人で敵わないのか、とあるゲームではドラゴンは氷に弱いから氷魔法で一撃とかなんないのだろうか
「今から逃げ隠れするには遅いか、段々こっちに近付いてくるから気づかれてるし……」
どうにか逃げ出せないか方法を考えているうちにドラゴンがゴブリンの巣の前に着地した
ドラゴン種の見た目は灰色の鱗を纏い日本の鋭い牙が特徴のいかにもファンタジーのドラゴンって感じだ
しかもデカイな、何mあるんだろうか
『ミつけたぞ』
「は?」
突然頭に響いた声に素っ頓狂な声を挙げてしまう
この場にいるのは俺とリアと目の前のドラゴンだけだ、頭に響いた声はリアのでも俺のでもない
まさか目の前のドラゴンが?
『キこえているか、バンノウのカゴをウけしコよ』
「あー、えっと、まず質問には答えよう、聞こえているよ。それでこっちからも質問をしたい、頭に響いているこの声は目の前のあんたのか?それと受け答えはこうやって声に出せばいいのか?」
『それでヨい、カゴをウけしコよ』
とりあえず会話方法と声の正体は分かったな、それにしても加護を受けし子ってなんだろうか
やはり万能神の加護のことか?
「それであんたは何の用があってきたんだ、俺たちを食いにでも来たのか?」
『フハハハハ、オルティサマのミツカいのワレがニンゲンシュ、それもコドモなぞクうわけがないだろう』
知らねーよ、と心の中でツッコミをいれドラゴンの目的を推測する
俺たちを食料として食らうつもりも戦闘する意思すら感じないこのドラゴンは何のために俺のところに来たんだ?
とにかく今は情報を集めたいのでドラゴンに鑑定をする、がそれは静電気が発生したような小さな火花を散らし無効化された
まさか鑑定が無効化されるとは思わなかった。このドラゴンは鑑定を無効化する何かがあるのか、レベル差がありすぎるのかのどちらかを持っている
「鑑定が効かない……か、あんた何者だ」
『イっただろう、ワレはオルティサマのミツカいだ』
御使いか、つまりこのドラゴンは誰かの使者、後ろに誰かがいるということか
そんなやつがここに来るということは俺とその後ろにいる、オルティ様とドラゴンが言っていたか、そいつとの何かの繋がりでもあるのか、はたまた他の目的があるのか
そういえば万能の加護と言ったな、俺がステータスで確認しても何もわからなかったこの称号の情報を知ってる可能性が高いな。まさか俺はこの世界の最強格と出会ってるわけじゃないよな、うん、そんなはずはない
「それで結局何の用だ」
『オルティサマにキサマのチカラになれとイわれたのだ』
「力?何の理由があって……」
『キサマのチカラになるからにはこのカラダではフベンだな、ふむワレもニンゲンシュのカタチにシバラれるとしよう』
そう言うとドラゴンが徐々に縮んでいき、俺の肩ぐらいの高さまでなった時その姿を徐々に変えていき人間、それもかなりの美形の少女の姿に変身した
変身するものだからてっきり服を着ていない可能性も考えたがそんなことは無かったようだ、灰色の浴衣を着こなしており長い銀髪も相まってよく映えている
「ふむ、こんなものか。やはり人間種の体は小さいのう、ケータよ何か髪を留めるものはないかの?」
「なんで俺の名前を知ってるんだ……ほらこれでいいか」
名乗ってもいないのに名前を呼ばれたことに驚きつつ、リア用に作っていた髪留めの水色のリボンを渡した
それを受け取り、ドラゴンの少女は銀色に輝く綺麗な長髪を二つに纏めおさげにした
「感謝するケータよ。そういえば自己紹介がまだじゃったの、儂はファニ・アルバンスじゃ、よろしくの」
「ご、ご主人様、ドラゴンが人になりましたけど……これは夢でしょうか?」
「落ち着けリア、ちゃんと現実だ」
目の前で起きた状況を呑み込めないあまり現実逃避したリアをなんとか落ち着かせる
それを眺めていたファニがケラケラと愉快そうに笑いながらリアの服を眺め話し掛けてくる
「ほぅ、その娘、リアと言うのか。そちも面白いものを持っておるのう」
「このメイド服のことですか?」
リアに近づき、着ているメイド服を眺めて楽しそうな顔をしている。そして見終わった後に間近でリアの顔を見てニヤリと笑った
「この服も、作ったケータも面白いが、そちも面白い」
「私……ですか?」
「うむ、リアよ。お主……だ……じ……は…な」
ファニがリアの耳もとで何かを話していたが後半の部分が聞き取れなかった、何を話したんだ?
「さてケータよ、お主の拠点に案内せい。お主たちが気になっていることや儂の目的をそこで詳しく話そうではないか」
確かにこんな所で話すよりかは宿のほうがマシだが……
俺たちは依頼を受け達成したことをギルドに報告しなければならない
今日2人でパーティー申請して依頼を受けたのに帰ってきたら一人増えてるって怪しまれそうだな
しかもそれをデューク達に見られると説明が面倒だ
依頼の達成を報告するにあたってついでに情報をリアとともに集めたかったが今日は無理そうだ
「分かった、それじゃ街に戻ろうか。リア、刈り取った耳を俺に寄越してくれないか?報告は俺1人でするからリアにはファニを宿まで連れて行って欲しい」
「かしこまりました」
リアからゴブリンの耳が詰まった麻袋を受け取り、それを無限収納に入れる
帰り道、特に何もなく俺たちは街へ無事帰還した




