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万能使いの巻き込まれ異世界冒険記  作者: シャミュナ
第2章 ラタル入国・冒険者活動編
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双剣使い達による舞踏の終演

遅れてしまい申し訳ありません

いつもより少し長めになってしまいました




「ははっ!こんなに対人戦で本気を出せたのは久しぶりですよっ!良ければこの後僕らのパーティーに入りませんか?」


「私はご主人様の奴隷ですので謹んでお断りします」


「それは残念ですね」


 互いに双剣をぶつけながら相手より一手多く攻撃しようとしているが中々それが叶わずにいた。アレックスは本気を出すと宣告してから終始笑っていた


(それにしても実力は五分五分に見えますが実際まだ手加減されていますね……私は今ので精一杯だというのにアレックスさんは余裕そうだ)


(リアさんの戦い方は経験の少なさが目立つ初心者のような動きだ、だけど獣人としての能力の使い方をとても理解している。初心者故に行動が読めず、更に獣人としての能力を発揮した一撃は重く、非常に戦いづらい……)


 同じ武器種通しの戦いではお互い長所を活かしきれた方が勝つ。双剣の戦術のセオリーは相手の戦闘スタイルを理解し素早く対処することである。それでいて双剣の特徴である手数の多さを活かす必要がある

 今回戦っている相手であるリアさんは命中率の低い重い一撃に思えるため一撃必殺系だろうか、双剣にしては珍しいしリアさん本人もそうしているつもりも無いだろう。なにせまだ戦闘においては初心者に近いのだから


(リアさんは将来刀や大剣を使うと化けそうですね)


 そんな事を思いつつも手を動かすのは止めない、手を止めてしまっては自分が負けてしまう。流石に模擬戦といえ負けてしまうのはA級冒険者としてのプライドが許さない

 少しばかり大人げないだろうけどギアを一つ上げて決着をつけよう

 ちょうどもう1組のほうの戦いも終わったみたいだ


「そろそろ終わらせますか、この攻撃を防ぎきれたら私の負けでいいですよ。ただし防御に専念しないと死ぬかもしれませんよ」


「舐められたものですね、ですがアレックスさんのその気を見るに冗談ではなさそうです」


 リアが双剣を防御の型に構え、アレックスの攻撃に備える。アレックスは魔法の詠唱をブツブツと唱える。徐々にアレックスの体をオレンジ色のオーラが纏い、詠唱するごとにオーラの輝きが増していく

 やがてオーラが光の玉5つに変化しアレックスの周りをクルクルと回り始める


「それでは行きますよ、ルフェルブレイド・アインズ!」


 光の玉の一つがアレックスの双剣に吸収され、光の刃が刀身に纏った。防御の体勢になっているリアに向けて息すら付かせぬ連撃を決めていく。模擬戦でこれ程の威力の攻撃では生身に当てることは出来ないため相手の獲物だけを狙い攻撃を加えていく


「くっ、うぅ、なんて力………」


「まだ終わりじゃないですよっ!ツヴァイ!トライ!」


 残り光の玉4つの内2つが片方ずつ双剣に吸収され今度は刃がロングソード並の長さになる


「なっ、刀身の延長!?そんな芸当も出来るなんて器用ですねっ……」


(武器だけを狙ってくる……やはり目的は無力化ですか)


 別段双剣が無くなっても多少武術も出来るから問題はないのだが分は悪くなるだろう。そのため双剣を壊されるのは避けたいのだが


(アレックスさんの攻撃が激しくて切り返しの暇すらない)


 どれか一太刀でも受けたら致命傷、ではどのように反撃をするかだが……

 まぁ、何とかなるでしょう。1発ぐらい貰っても大丈夫だと開き直り反撃のタイミングを伺うリア


「まだ耐えますか……流石と言ったところでしょうか、ではこれでならどうですっ!フィー!フュン!」


 アレックスが最後に残った光の玉2つを両方の刃に吸収させる、次はどんな芸を見せてくれるのかと思ったが見た目に変化がない

 だがそれで油断するほどリアも甘くなかった。またしても一瞬で間合いを詰めたアレックスの攻撃に防戦一方になる。攻撃を防いで先程と何が違うのか、感覚的に気づくことが出来た


「僅かながら空気に乱れというか違和感がありますね。最後の光の玉の能力ですか?」


「ご名答です、気付いたのは獣人の第六感のおかげでしょうか?あまり初見でネタに感づく人はいないんですが獣人が相手ならそれも有り得るのですかね」


 アレックスの言う通りリアが気付いたのは獣人の能力のおかげだ。獣人は人間と比べて様々な能力で秀でている、例えば視力 聴力などがそう言える。獣人の視力の良さで僅かな空気の乱れを感じ、聴力で違和感に気づく。獣人には人間と同じような耳があるがその他に種族特有の耳があったりする(リアでいう猫耳)。これだけでも単純に人間の二倍はあるのだが実際はそれ以上だ

 そしてそれによって、双剣の刀身に5回もの刃がぶつかる音が聞こえたのだ

 これらから推測できるのは……


(一呼吸で5回もの攻撃をしているのか)


 種は速さか、はたまた別なものなのか。そこまでは分かってはいないがこれを利用しない手はないだろう。そして反撃に使うのは知覚加速と感覚封印だ

 この二つならアレックスの攻撃から一瞬で抜けて反撃が出来る

 しかしこれにも問題があり、一瞬で抜けるとあってもアレックスの攻撃は一撃は絶対に貰ってしまう点だ

 アレックスの攻撃には隙間が全くない、例え一瞬そこから抜け出せてもそれすらも予期した対策があるだろう

 さて、どう攻めようかなっと


「防御ばかりでは僕には勝てませんよ、お気づきでしょうが僕はあなたの武器破壊を狙っている。このまま受け続けても負けるだけですよ」


 これは誘いだ、こうやって会話でこちらの思考を邪魔をし更に焦らせる。これに乗ってしまったらまず負けるのは確定だろう

 だからわたしは焦らない、冷静にアレックスの隙を伺う


「動じませんか。でもこのままこの状況が続いてもあなたの不利になることには変わりありません。武器が無くて戦えたとしても僕には勝てないでしょう」


「そう言うなら少しぐらい隙を見せてくださいよ……っと隙は先程からちょくちょく見せてますよね、誘いの隙を。全く戦い方が嫌らしいですよ」


「よく言われます」


 そう、先程から隙は見えてるのだ。しかしそこを付いてしまったら蛇が出るのは確実だ。ここまで来てアレックスさんがそう簡単に隙を見せるはずがない

 だがこのままではジリ貧なのは事実。誘いなのを分かった上で攻めるのも手かもしれない

 いや、それしかないんだ。なら、やるしかない

 アレックスのわざと見せた隙を狙い、相手の剣を弾き間合いを詰める


「へぇ、仕掛けてきますか!でも判断を誤りましたね、僕の勝ちです」


「そんなこ……とっ……!?」


 ここで知覚加速を使ったのは直感からかもしれない。間合いを詰めた後知覚加速で私はアレックスさんの対策、光の玉がこちらに槍状に形を変え飛んでくるのを確認した

 なぜ光の玉が!?

 数は5個だったはず……そしてそれも全部使っていたはずだ

 いや、分かってしまった。これは騙されたんだ。最後の光の玉の二つを剣に吸収させ5連撃のタネかと思っていたがそこが間違いだった

 5連撃のタネが光の玉2つでは無かった、そう1つだったのだ。今まで何かしらの方法で5つ目の玉を隠して、連撃を抜け出せた相手への対策にしてたのだろう

 まずいな、これはしてやられてしまった。ここまで来てしまえば負けは確定だ………

 ここはもう成すすべもなく諦めてしまったほうが楽だろう

 私は知覚加速を解除し、迫り来る槍の衝撃に備えた


 ザシュッッ


 槍は知覚加速を解除した瞬間に刺さり、そこから血が流れている。槍が出血の勢いをせき止めているため大して血は流れていないのだが


「もう終わりです、その槍が消滅したらあなたは大量出血で倒れるでしょう。槍が消える前に降参してください、治癒魔法で治せたとしても苦しむ必要はないでしょう」


 私はそれに首を振り否定の意を示す


「そうですか、でも僕の勝ちは確定です。治癒魔法はちゃんとかけるので安心してください」


 最後の一手、それを仕掛けるのはここだ!

 槍が消えると同時に感覚封印を使用し出血による痛みなどを全て遮断する。血を流しながらも勝ったと慢心して無防備なその腹に思いっきりストレートをかます。流石に仕掛けてくるとは思っていなかったのか驚愕の表情を浮かべている。間髪入れずアレックスを地面に叩きつけ背中に馬乗りになり、首に剣の刃を当てる


「はい、そこまでです。こちらの模擬戦、勝者はリアさんです」


 審判であるマリーから模擬戦の終了を告げられる


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