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万能使いの巻き込まれ異世界冒険記  作者: シャミュナ
第2章 ラタル入国・冒険者活動編
26/91

決着

今回はアルフレッド視点です

「随分魔力があるんだな、さっきから俺の魔法全てを凍らせるなんて出鱈目にもほどがあるぞ!」


「そうは言っても出来るんだから仕方ないだろっ!」


 フレアカノンを防がれてから何十回と魔法を打ち込んでみたがそれら全てを凍らせて防がれている。炎を凍らせる魔法なんて聞いたことも無ければそれをやろうとも思ったことがない、こんなぶっ飛んだ思考に行き着き実行するケータは只の馬鹿なのか、それともこいつも天才なのか


「どっちにしろ、ケータには圧倒的に足りないものがある。それが足りなければ俺には勝てないな」


「俺に押され気味のやつが言うセリフとは思えないなっ!」


 力強く振り下ろされた刀を避け、大剣を振り払い牽制する。スキル発動のための詠唱を始める

 大剣を地面に刺し魔力を刀身に込める。赤色のオーラを纏い周辺の温度も上がり始める


「我暴君たる汝を解放する。万を喰らい糧にし全てを圧倒せん。吾この地に封を破き真名を解放する。喰らい尽くせゾークタイラント!」


 詠唱を終えた瞬間、大剣から黒い炎が溢れ出し、そこを中心に渦巻き始める。中心に炎が珠状に集まり徐々に大きさを増していく

 やがて3m程の大きさになった後、黒炎を纏った珠が割れて、中から暴食の龍 ゾークタイラントが姿を現した


 グギャァァアアアアアア!!


 咆哮を上げ、鋭い牙でケータに襲いかかる

 このゾークタイラントは召喚魔法というもので召喚するものと釣り合う媒体、今回は俺の大剣を代価にすることで召喚出来る魔法である。しかし代価と言っても召喚をしている間だけそれを使用することが出来ないという制限を受けるだけなので代価を使い捨てるということは無い、しかし俺のように武器を代価にするのは戦闘中では致命的な欠点になりかねないから使い所が非常に難しいのだが


「出し惜しみして勝てる相手じゃなさそうだからな」


 現にフレアカノンを防がれてるのがそれを表しているだろう、切り札級の魔法を簡単に対処されるのだからそれ以上の魔法を使わなければ攻撃は通らない

 だが別段それだけしか方法がない訳では無い、力や魔の他にも技がある。つまり搦手などを使えば通る可能性もあるということだ

 搦手で重要なのは相手との読み合いに勝つこと、相手の思考した先の更に先までを考えることだ。そうすることで相手の不意を突き、勝ち又はそれへの1歩となる

 これを上手くするためにはやはり経験を積むことが一番だ、だからそれが足りないケータは搦手に対処しづらいはず

 ケータはゾークタイラントの猛攻をギリギリで躱しながらこちらと距離を詰めて行く


「くっ、この龍予想以上に厄介だなっ!」


 ゾークタイラントの攻撃に悪態を吐きながらこちらをチラチラと見て機を伺っているのが分かる。仕掛けるとしたらそろそろか、それならこちらに誘導するのも良いかもしれない

 大剣の柄を掴んでゾークタイラントに攻撃の指令を送る、召喚したものにはこうやって指令を送ることも出来る。指令を受け取ったゾークタイラントは尻尾を振り、それを防御したケータをそのままこちらに吹き飛ばした


「この反動……でっ!!」


 吹き飛んだ反動を利用し繰り出した斬撃を左手に着けた篭手で防ぐ。大剣など一撃の重い攻撃は防げないが刀や双剣の攻撃ならばある程度防げる程の防御力はある

 篭手と刀がぶつかり合い、俺はそのまま弾き返しケータの体勢を崩す。そして横からゾークタイラントが刀を狙い襲いかかる

 ケータはよろけた状態で万全なガードは無理とすぐに判断し刀を手放しゾークタイラントの攻撃を避けた


「おいおい、咄嗟の判断でそこまで出来るやつなんてそうそういないぞ……」


 ピキパキパキピキ


 ケータは自身の武器が無くなるとすぐさま氷の剣を2本作り出した。双剣か、確か魔物戦で使っていたな

 俺は大剣を地面から抜かずにケータが距離を詰めてくるのを待つ


(ここで何の疑問に思わず攻撃を仕掛けきたら俺の勝ちなんだが……)


 果たしてそう上手くいくだろうか、そう思った時には既に眼前には攻撃モーションに入ったケータがいた

 本当に一瞬だった、おそらく瞬動のような何かだろうが瞬動では無かった。実は瞬動の特徴には使った時に周囲に風が発生するのだが、今ケータが動いた時に風は発生していなかった

 俺の知らないスキルだろうが予想外の出来事だ、ここで使用したのが縮地というスキルと知ったのは後の話だ


「流石SS級冒険者、これにも反応するのか」


「まぁ反射的に防御してしまうのは冒険者故の癖みたいなもんだ」


 会話の通り先程やったような篭手でケータの攻撃を防ぐというのをやった訳だがここからどうしたものか

 大剣を抜くことは距離的に叶わず、ゾークタイラントとは距離が離れており連携も出来そうにない

 ならば


「アルフレッドが動かないならこっちから行くぞ」


 結論が出た途端にケータが先に動き出し双剣で切りかかってくる。膝下や太もも、左脇腹や肩、どれも行動不能又は動きを鈍くする箇所を狙っての斬撃を後ろに下がりながら紙一重で避けていく。やがて背中が訓練場の壁に付き逃げ場が無いことを悟る

 ケータもこれで終わりにするためか今までの斬撃とは異なった突きを放ってくる、これを受けたら俺の負けは確定だ、絶対に戦闘不能になる

 しかしそれは当たったらの話だ。ケータも避けられることを想定して次手を用意してるだろう、だが俺はそれすら出させずに反撃に出る

 突き出した剣の柄をケータの握っていた手ごと掴み引っ張る、力を込めた突きに更に勢いを足したそれは背後の壁に突き刺さる。一時的に隙が出来たケータに足払いを掛け体を浮かせる。無防備になった背中に向け踵落としを決める。一秒に満たない間に一連の流れをした訳だがここで終わらせたりはしない

 腰に装備していたショートナイフを取り出しケータの首筋にそれを刺さらないように当てる


「これで俺の勝ちだな」


「あぁ、俺の負けだよ。参りました」


 ケータとアルフレッドの模擬戦闘はアルフレッドの勝利で決着がついた


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