浮かんだ疑問、凍る炎撃
「それにしても刀なんてッ!珍しいもの使ってるんだなッ!使ってるやつッ!見たのはケータも含めて……3人目だッ!」
「そうなの……かッ?これは故郷でッ!馴染みのあるッ!武器だったから……なッ!」
互いに剣を何度もぶつけては弾こうと試みるが俺は刀ゆえの攻撃の逸らし、アルフレッドは大剣の重さで弾きづらく状況は均衡したままである。1度距離を取り呼吸を整える
「それにしてもあっちはあっちで盛り上がってるな。お前の嬢ちゃんやるじゃないか、A級冒険者のアレックスと互角だなんてな」
「A級!?そんなに高いのか」
アルフレッドがSSだから二個下のランクだな、こう言うと大したことないように思うが冒険者のうち1割しかA級がいないとなれば分かるだろうか。A級は簡単に言えば1つの中隊分ぐらいの戦力として考えられる、中隊はC級冒険者ぐらいの実力を持った約70~100人から構成されるためもっとわかり易く説明すると1人のA級冒険者=C級冒険者100人分だ。そんな人物と互角ということはリアもA級冒険者ぐらいの力があるということだろうか
「しかし嬢ちゃんは何か違和感があるな、獣人としての機能はあってもそれを活かしきれてないように感じる」
「そりゃあつい先日まで奴隷で戦闘なんてもの縁遠い存在だったんだから仕方ないだろう」
「そうじゃない、むしろ逆だ。そんな戦闘経験のない娘にしてはアルフレッドと並んでるのが不可解だ。たまにいる天才というやつなら何故獣人の機能を活かせない?チグハグなんだよ、あの娘は」
確かにアルフレッドの言うことも一理ある気がする。前回の模擬戦の時も戦いは初めてと言っていたのに強かった、あの時は疑わなかったが改めて思い返すと不自然だ
「それもケータと比べたら大したことではないけどな、お前はSS級冒険者の俺と渡り合えてるんだ。SS級冒険者は国軍1つに相当してると言われてるんだぜ」
「ドヤ顔で自慢するな、それなら俺も国軍1つ分の戦力ってことか?馬鹿馬鹿しい、こんな平凡な見た目で平均よりそこそこ戦えるだけの俺のどこにそんな要素がある?」
そう言うとアルフレッドは呆れ顔でヤレヤレと顔を振っている、失礼な、こっちは真面目に話しているのに
「無駄話はやめだ、こっちから行かせてもらうぞ。推して参る」
刀を上段から斜め下に構え、縮地と瞬動で一気に詰め寄り切りかかる。流石に大剣では振り払えないのかアルフレッドは俺の手首に手を当て攻撃の軌道をずらすコトで避け続ける。なんて芸当だ、まるで格闘家の達人みたいな動き方だ
「なるほど、大剣と刀で打ち合っても力に関してはこちらに分がある。だから打ち合わず大剣を使わせないよう肉薄し攻めてきた訳か、なるほど悪くない考えだ」
「その割りには余裕綽々だなっ!」
手でさばき続けられている事に焦ったのもあるが最後の最後で大振りをしてしまった。アルフレッドもそれを見逃すことなく先程よりも強い力で地面に刀が刺さるように軌道をずらされる。そこへ大剣を振り下ろそうとしたが何かを察知したのかすぐさま後ろに跳ぶ
「ちっ、流石に引っ掛からないか……」
「冷気を感じたからな、何かあると思ったんだよ」
魔物戦で使用した氷魔法アイスミストを使いアルフレッドを凍らせようとしたが失敗した。流石SS級冒険者、安易な誘いには乗らず冷静に退く判断をする
刀を地面から抜いて再度構える。今度はアルフレッドから仕掛てくる
「炎よ纏え、フレイムブレイド」
アルフレッドが魔法を詠唱しその大剣に炎を纏わせた
あの剣を受け続けると刀がやられそうだな、どうしたものか
対処法を考えている間にも攻撃を仕掛てくる、考える暇を与えないのは当たり前か
ガキィィィンッ
振り下ろされた大剣を氷で作った盾、アイスシールドで防ぐ。即効性のものじゃ耐久性が無く受け止めてからシールドは割れてしまう。だが相手の攻撃を防げればそれでいい、後は攻撃を避けながら当たりそうな所で盾を使えばいい
問題はどこで仕掛けるかだ
「どうした?そんな守ってばっかじゃ勝てないぜ!」
これは誘いだ、こうして煽ることでこっちの思考を乱していく。戦いの基本戦術ではあると思うがあまり気分は良くないな
さてどうしたものか、切り込めるタイミングがない
「そろそろガードされるのも面倒だ、盾ごと吹き飛べフレアカノン!」
大剣の先に炎を収束させそれを相手の方向に突きのモーションをする。収束した先からレーザーのようなものが地面を抉りながら襲ってきた
これはアイスシールド1枚では防げないため何重にも展開したアイスシールドで威力を減衰させようと試みるが勢いは増す一方だ
「フレアカノンは障害物、つまり盾に触れるほど威力が上がる。硬い魔物、ゴーレムやドラゴンに有効な魔法だが防ぎきれるか?」
「そんな魔法を対人で使うなよっ!?」
フレアカノンの使い方に思わず抗議するが過ぎたことはしょうがない、今はどう対処するかが重要だ
説明を聞く限り障害物での威力減衰は望めないようだ
それならば凍らせるか……?
出来るか分からないが試してみる価値はありそうだ
片手でアイスシールドを展開したままでフレアカノンの足止めをする、もう片方の手に魔力を集中させる。MPという概念を知っている俺はそれを意識すれば収束させることも容易い、異世界人さまさまだ
「充填完了、凍えろコキュートス」
魔法のことはあまり知らないが使いたい時に自然と頭に魔法名が浮かびあがるため土壇場でこういったことも出来る
コキュートスと唱え、収束した魔力を解放する。周辺の気温が一気に下がりアイスシールドを突破したフレアカノンの熱すらも下げていく
段々と炎が弱くなり数秒後にはフレアカノンは消え去った
「炎を凍らせるなんて予想外だ、ケータは相変わらずの規格外さだな」
「褒めるなよ、俺もこんなことをしたのは初めてだ」
こんなことをする状況も初めてだが……そう思い内心苦笑する




