アルフレッドとの再会と対談
「それでギルドマスターのデュークさんが俺にどんな用なんだ?」
「だからそう構えないでくれ、こちらに敵意はないさ。あるのは興味だけだ」
確かに敵意はないようだ、デュークからは微塵も敵意を感じられない。それが分かってしまえばこちらも警戒を解かなければ失礼だろう、下手したら敵対行動と見なされかねない
「リア下がってくれ、そうしないと話が出来ない」
「……分かりました。ですが油断はしないでください」
「分かってるさ」
リアを後ろに待機させデュークの向かい側のソファに腰掛ける。リアの忠告通り気は抜かない、デュークがどうやってこの部屋に入ってきたのか、その種が分からないためだ。転送も突然現れるといえば共通点があるがデュークのはそれとはまた違うものであるということが分かる。何故ならデュークは俺の気配察知の反応に引っかからないどころか話しかけられるまで反応しなかったのだ。デュークに話し掛けられた時の様子を見るに少し前から居たように考えられる、しかし隣に座ってるのに全く気づかなかったのが不自然だ
「それで話ってのはなんだ?」
「それは君についてだ。君の話をアルフレッドから多少聞いたが中々信じられるものではなくてね。魔物大量発生を1人で解決したなんてそんな実力を持った人物、ケータという名前に心当たりがない。いくら世情に疎い旅人だとしてもだ」
デュークは俺の素性と目的が知りたいのだろう。力を持った者、しかも全く情報の無い人物が自分、つまりこの国に敵対するのか、しないのか
「分かった、大まかにだが俺の事は話そう。その前に言っておくが俺はあんた達と敵対する気はない。それとだ、今から話すことは多言無用で頼む」
「では話が長くなりそうなので新しいお茶お持ちしますね」
そう言ってマリーさんは客室から出ていってしまった。デュークに視線を送ると肩を竦められる。マリーさんが帰ってきたら話を始めた方が良さそうだ
特に話すこともなく静寂の中でまち続けることになる。しばらくしてマリーさんが戻ってきた、その後ろにはアルフレッドもいた
「よう、待たせたなケータ。今戻ってきたぜ」
「待たせすぎだバーカ」
「なっ、再会した相手にそれはないだろ!?」
俺のさり気ない罵倒に反応してアルフレッドがツッコミを入れる。その間にもマリーさんは入れ直したハーブティーを人数分机に並べている。それを終えたのを確認し全員が席に座る
「それじゃあ話し合いをするか。そういえばこっちの自己紹介がまだだったな。俺はケータ・カガミ、こっちがリア・スプラウド、さっき登録したばっかのFランク冒険者だ」
「おいおい、ケータ達がFランクでいいのか?」
アルフレッドが俺達の立場を考えデュークに質問する。それに対しハーブティーを口に運び答える
「それもこの話し合いで決める。ケータ、こちらの自己紹介は必要か?」
「いや名前は全員分かってるから必要ない。それで何から話せばいい」
「そうだな、まずはこの国に来た目的、そして君の本当の素性を教えてもらいたい。もちろん今から聞いたことは多言無用にする、そこは信じてほしい」
1度話すことを頭の中で整理し深呼吸をしてから口を開く。そこから俺の目的、そして素性、俺が異世界から間違いで召喚されたということを嘘偽り無く話した
ーーー
「ふむ、異世界人か。なるほど、それならあのケータの強さも頷ける」
「それにテラークが勇者召喚か、まずいな」
「そうですね、テラークとは最近折り合いが悪いですからね。下手したら戦争が起きる可能性もありますね」
それぞれが俺の話を聞いて感想を述べる。その中でデュークとマリーさんの言葉に気になる点があった
「なぁ、テラークとラタルって友好的な関係だったんじゃなかったのか?」
「それはあくまで表面上での話ですよ」
「というと?」
俺の質問に一呼吸置いてマリーさんが説明を始める
「テラークとラタルは、ケータさんは異世界から来たためご存知ないかと思いますが、300年前に起きた国家間戦争を期に和平を結んだのです。しばらく何もなく双方平和な時が続いたのですがつい最近、10年前にテラークで新国王が即位してから互いに関係が悪化しているのです。締結した条約に反する行為を行い続けラタルはテラークとの条約を破棄しようという動きがありますの。ただし今はまだ、テラークの迷宮資源の供給が必要なためそこまでに至ってません、だから表面上はまだ友好的な関係ということなのです」
なるほどな、多少ザックリとした説明だったがこの世界の情勢の1部が聞けたことは収穫だ。やっぱりテラークから脱出して良かったぁ……
それにしても新国王か、あのうさんくさい爺さんが10年前に即位した国王なら今の関係にも合点が行く。だってあの爺さんのことだ、きっとどこかの国やら勢力やらに唆された、いや傀儡という可能性もあるか、とにかくそんなことだろう。欲に眩んで国家間との繋がりを断つとは愚かな国王もいたものだ
俺の中でテラークの国王の株は最低値まで下がった。そこでもう一つ上がった疑問点を聞いてみる
「俺が召喚された時、北の魔族領域に対抗する戦力が欲しいと説明されたな。そこの所はどうなんだ?」
「魔族に関しては隣接するテラーク、テルムルが抱える大きな問題の一つですのでそれに関しては本当でしょうね。ですがそれだけのために召喚したとは思えません。兄さんは最近テラークに依頼で向かったらしいですが実際どうです?」
「俺もマリーに同意見だな。俺がテラークに出向いた際にあの国で兵士徴収がされていたのが気になったな」
「魔族に対するためなのか、または戦争の準備なのか。確信は持てないがおそらく後者だろうな」
「一体何のために」
魔族との戦いもあるのに他国に攻め込むとか欲深すぎないか、流石に戦争するのは馬鹿ではないだろうか、しかし俺の予想が当たってるとしたらそこが問題ではない。注目する点はテラークの後ろに何かしらの勢力があるということ。それが何かはしらないが下手したら他国と同盟を結んでいる可能性もある、だが一つの国を手に入れるために戦争なんてするだろうか……
少しずつだがバックにいる勢力の目的が浮き出てきた気がする。俺の予想を当て嵌めていくと、不明な勢力は二つの国、テラークとどこかを手に入れようとしている。そう結論が出た、あくまで最初の予想が当たっていればだが
「注視するのはテラークではないということでしょうか」
「マリーも同じことを考えていたか。アルフレッドとケータはどうだ?」
「「同意見だ」」
はぁ、デュークが溜息を吐く、おぉ長い溜息だな、8秒だ。デュークはそのまま俺に視線を向ける。まるで何か察して返事しろと言ってるみたいだ。アルフレッドの方を向くと肩を竦めている、この野郎後で覚えていろよ。それじゃあマリーさんは、呑気にお茶飲んでるし……
俺も同じく長い溜息をする
「分かったよ、可能な限りあんたらの手伝いはしてやるよ」
「それは良かった、こちらもケータのようなこm……じゃなくて手伝いが出来るのは心強いよ」
「狸め……、ただしこちらも条件がある」
リアをなかなか会話に混ぜられないのが悩みどころです……
一応ヒロインなのに
これからもっと話すよう頑張ります




