ギルドで冒険者登録
コンコン
「おはようございますケータさん、アレックスです。起きてますか?」
「おう、起きてるよ。入っていいぞ」
「では失礼します」
ガチャッと扉を開けアレックスが入室する。昨日と違い鎧を付けていないラフな格好をしており、見た目が小柄なので凄い子供っぽいのは余計か
「おはよう、アレックス。何か用か?」
「はい。ケータさんの今日のご予定をお聴きしたくて」
「今日はギルドに向かうつもりだが」
「それは良かったです。私たちは今日狩りの予定ですのでその前にギルドの場所を教えようと思ったんです」
アレックスの善意に心の中で感動した。昨日会ったばかりでここまで世話を焼いてくれるなんてアレックスも相当なお人好しだな
「ありがとう助かるよ」
お礼を言ってアレックスからギルドまでの道を教えてもらう。もう1度礼を言いアレックスは部屋から出ていった。入れ違いの形で着替えてきたリアが戻ってくる
「おぉ!凄い似合ってるよリア」
メイド服姿のリアはとても可愛かった。渡したメイド服はリアに着せるつもりだったため青色の髪に映えるように青と白を基調に作成した。それは予想以上にリアを可愛くさせ、メイド服の凄さを実感する
(でも贔屓目なしにリアはかなり可愛いからそれも相まってメイド服が似合うのだろうな)
しかしリアのメイド服姿はとても良いのだが一つだけ問題があった
「少し汚れが目立つな、体を拭いたりしないと駄目だな」
「えっと……その……それはご主人様がでしょうか?」
まずはリアに奴隷と主人との関係についての認識を改めなければならないと分かり溜息が出る。こればっかりは異世界者の俺には分からないことだらけだからな、俺の普通がこの世界の常識では異常ということも有り得る。そこらへんの情報も集め後日矯正したほうが良いだろう
「とりあえず朝食を取ろうか、確かアレックスが無料で朝食が出ると言ってたな」
リアと共に部屋を出て鍵を閉める。別段取られるものも何も無い(無限収納に入れてる)為に鍵を閉める必要が無いが閉めないのもそれはそれで落ち着かない。これも日本人であるが故だろうか
そんな事を考えながら階段を降りるとシオンが出迎えてくれた
「おはようございますケータ様、朝食の準備は出来ていますがどうしますか?」
「おはようシオン、遠慮なく頂くよ」
かしこました、と返事をするとすぐさま朝食の準備に取り掛かる。流石プロと言った所か、2分も経たずに準備を終えている
「あ、説明し忘れていましたが外出する際は鍵を預けてくださいね」
「なら朝食を食べたら直ぐに出るつもりだから今渡すよ」
ポケットに入れていた二部屋分の鍵を手渡す
「確かに預かりました。それでは」
シオンは他の客の接待に向かっていく。俺とリアは朝食の用意がされたテーブル席に腰掛け品物を見る
朝食のメニューはパンと果物という質素なものだった。俺は日本でも基本的に朝食を食べなかったため問題はないが
「リアはこれで足りるのか?」
「足りますよ。むしろこの量は極一般的なものだと思いますが、ご主人様は宿屋の朝食は初めてですか?」
「いや初めてではないな、テラークで1度食べた事があるがここまで質素では無かったな」
なんせ日本食だったし結構食べたから尚更そう思う。不本意ではあるがお腹が空いたらヌートリックを食べればいいだろう、不本意ではあるが
黙々と朝食を食べ進め、5分ぐらいで食べ終わる
「さて、それじゃあギルドに行こうか」
リアとともにフツフツ亭を出てアレックスに教えてもらった道を進み冒険者ギルドに辿り着いた
冒険者ギルドは木造の建物で入口の上に盾と剣と杖を一つにしたマーク、恐らくこれがギルドのシンボルなのだろう、それがあった
「ここがギルドか、ファンタジーでお約束なイベントがあっても面倒だし帯刀しとくか」
無限収納から刀を取り出し腰に付けギルドの入口を通る。ギルドの中は如何にもな感じで正面の奥に依頼書らしき紙が貼られた掲示板がありその右側に受付のカウンター、左には食堂だろうか、そんな構造だ
とりあえず目的の受付に向かうが何故か視線を感じる。まるで品定めするような、はっきり言って不快な視線だ、中には興味から来る好奇心な目線もあるがどちらかと言うと前者のほうが多い
今は気にせず受付に向かうべく歩を進めるが何も無く受付に着いた、受付にいる職員に用件を話す
「すいません、冒険者登録をしたいんですが」
「かしこまりました、2名でよろしかったですか?」
「それでお願いします」
受付の職員は後ろにある棚から紙を取り出し羽ペンと一緒に前に差し出される
「こちらの書類に必要事項をご記入ください、お連れの方の分もお願いします。文字が書けない場合代筆も可能ですがいかが致しましょう?」
「あ、そうか。よく考えたら俺字が書けないな……」
〈解 自動翻訳の効果で書けますよ〉
翻訳なのに字も書けるのっ!?
どれだけ便利なスキルなんだ……やはりイージーモードか
「代筆はいいです、俺が二人分書くので」
羽ペンを受け取り書類に必要事項を書き始める
名前 ケータ・カガミ
性 男
職種 剣士
備考 特になし
名前 リア・スプラウド
性 女
職種 剣士
備考 特になし
こんなものだろうか、職種に関しては適当に剣士にしておいた。
羽ペンを職員に返し一緒に書類も渡す
「ケータ様とリア様ですね。ではこちらのカードに血を垂らしてください。それで登録完了になります」
血を垂らす用の針が出されたのでそれを使いリアと共に血をカードに垂らすとカードが青く発光する。10秒ほどで光が収まるとそこには名前が刻まれたカードがあった
「そちらがギルドカードになります。身分証明書でもありますので紛失しないように注意してください。もし紛失した場合は別途料金で銀貨1枚掛かってしまいます」
「分かった、依頼受けるにはあそこの掲示板から選べばいいか?」
「はい、ただしケータ様はFランクですのでEランクの依頼までしか受けられません」
無謀な依頼での失敗を防ぐための処置か、懸命だな
受付の職員に礼を言い掲示板に貼ってある依頼を探す
すると突然後ろから声を掛けられる
「おいお前、新人冒険者の癖に奴隷なんか持ってるのか。ここはお坊ちゃんが遊びに来る場所じゃねぇんだよ」
振り返ると金髪をオールバックにした肌の焼けた筋骨隆々の男が気持ち悪い顔をして絡んできた。やはりこれはファンタジーのお約束なのだろうか、実際に体験するとめんどくさい事この上ないな
「おめぇみたいなヒョロヒョロしたやつにその奴隷は勿体ない、俺に寄越せよ」
「断る」
リアを寄越せという物のような発言に若干イラつきつつも断ると答える
すると男は激昂して背中に背負っていた大剣を構える。なんて短気なやつなんだろうか
それよりも周りのやつも見てるだけとは趣味が悪い、新人くらい助けてくれよ先輩方
「職員、冒険者通しの諍いについての決まりはあるか?」
「いいえ、こちらは基本的に干渉しません。当人達でどうにかしてください」
どうやらこんな事はよくあるようだ、職員達の態度に一切の揺らぎがない、あぁまたか、といった空気すら感じられる
一度溜息を吐き、男に向き直る
「それで、その大剣でどうすんの?今から引くなら何もしないが」
「余裕かましてんじゃねぇぇ!!」
男の対応に再度溜息を吐き、振り下ろされる大剣を見つめる
実は既に男に鑑定をしていてレベル差がありすぎるのが分かっているため焦りが微塵もない。
実際に振り下ろされる大剣も充分視認出来ていて反応も出来るため、こうやって人差し指と中指で白刃取りも出来ている
「ば、バカな!?こんなやつに俺の攻撃を受け止められるだと!」
「最後通告はしたからな、覚悟はいいか?」
受け止めた大剣を払い落とし抜刀する。男は無防備なため何も出来ずにいる。ゆっくりとそしてゆっくりと近づくと男は震えながら後退していく
そして壁に背が当たり後退することが出来なくなった男に鋭い目線で睨みつけると男は崩れ落ちた
「お、俺が、こんな、こんなやつにぃーーー!」
振りあげた刀を男の首目掛けて振り落とす
しかしそこに男の首が落ちることも血が流れることも無かった




