フツフツ亭と久々の食事
諸事情で更新遅れました
申し訳ございません
「こちらが私達の利用している宿屋のフツフツ亭です」
アレックスに案内され着いた宿屋の入口の前で宿屋を眺める
まず第一に思った事は普通だ。別段他の建物と看板以外で違う点などが見当たらないのである
「なんというか……宿屋らしくはないな」
「はは、確かにそう思われるのは無理もありません。ですがフツフツ亭はちゃんとした宿屋ですよ」
もしかして普通だからフツフツ亭なのだろうか、いや流石にそこまで安直ではないと思いたい
アレックスに付いていきフツフツ亭の入口から店内に入る。ベルが鳴る音の後に従業員らしき女性が出迎えてくれた
「あ、アレックスくん。おかえりなさい、夕食の準備出来てますよ」
「ただいまです。シオンさん、夕ご飯の前に部屋を追加で借りれますか?」
シオンと呼ばれ、出迎えてくれた人は奥にあるカウンターに戻り何かの書面を見始める。
「少しお待ちしていただければ二部屋空きますね。ご利用なさるのはそちらのお方でしょうか?」
「あぁ、ケータ・カガミとリア・スプラウドだ。多少時間が掛かっても問題ないから二部屋で頼む」
「ケータ様とリア様ですね、かしこまりました。二部屋で登録しますね」
登録を頼むとすぐに準備に取り掛かってくれるらしく部屋の清掃に向かった
「あの……ご主人様、何か騒がしくないですか?」
「そうか?別段普通に見えるが……」
リアが耳をピコピコさせ周囲を探っている。なんか可愛い光景だな、モフモフしたい
「確かにいつもより人が多いですね。何かあったのでしょうか?」
「そうだね〜、私達が利用してる時でもこんなに混んでる時は無かったよね」
「あぁ、俺もこんなに混んでるのを見るのは初めてだ。しかも全室満室だったんだろう?」
「そうですね。言っては悪いですが、ここって満室になるほど繁盛してませんよね」
コツン
そこでちょうど清掃を終えたらしく戻ってきたシオンがアレックスの発言を聞き、頭を箒で叩いた
「繁盛してなくて悪かったですね、アレックスさん」
「あらら、聞かれちゃいましたか。それでなんでこんなに混んでるんですか?」
「さぁ?」
アレックスがこの状況の原因を質問するが本人も知らないようだ
「この際気にしても仕方ないでしょう。今日の夕食は何ですか?」
「チリチリ魚のステーキだよ。アレックスくんチリチリ魚好きでしょ?」
「大好物ですよ、それじゃあ早速頂けますか?」
それに了承しシオンが夕食の準備に取り掛かる。
アレックスはそれを見送った後こちらに振り返る
「とりあえず部屋も取れたのでご飯にしませんか?あちらが食堂スペースになりますので一緒に食べましょう」
「それじゃあ頂こうか、リアも一緒に食べに行くぞ」
「はい、ご主人様」
リアの了承も得たため食事の席に着く
ちょうど全員が座れる大きいテーブル席があったためそこを選んだ
「悪いな、何から何まで世話になって」
「いえいえ、顔合わせ多生の運命とも言いますし」
「なんだそれ、何かのことわざか?」
「ご存知無かったですか。これはどんな些細な出会いにも幾多の運命があるという意味です」
なるほど、袖振り合うも多生の縁みたいなやつか
この世界にも日本の諺みたいなのがある事に少し感動した
「そういえばアレックスに聞きたいことがあるんだ」
「なんでしょう?」
「お前達のその銀狼っていうのはパーティーのことだよな、そのパーティーを作るにはどうすればいいんだ」
「パーティー申請はギルドで手続きすれば出来ますよ。その様子だとギルドの説明もした方が良さそうですね」
「すまないな、生憎世情に疎くてな」
構いませんよ、と言いアレックスがギルドの説明を始める
ギルドとは国の軍とは管轄の違う民間の大企業らしい。名目上は国の所有物ではあるがギルドとは一種の国のようなものであり、もしも国がギルドに対して喧嘩を吹っかけてしまうと戦争になってしまう。そのためギルドはあまり国の干渉を受けない。だが国の所有物ではあるためギルドに所属する冒険者が戦争に駆り出されることもあるらしい
それで冒険者とはギルドに所属している職員以外を指す名称らしい。冒険者はギルドに届けられた国家依頼又は民間依頼のどちらかを受けることで生計を立ててるらしい
冒険者にはS〜Fまでのランクがあり、Sの中にはSSSとSSランクが存在している。実質的なランクはSSS〜Fとなるわけだ。そのランクに見合った依頼を受けることしか出来ない。当然実力が無いものが難易度の高い依頼を受け失敗する事を防止するためだ
しかしこれはギルド職員の判断次第で変わっていくため絶対では無く特例もあるということだ
「ちなみに冒険者ランクを上げるにはどうしたらいいんだ?」
「依頼にはそれぞれ達成ポイントというのがありましてそれが一定数に貯まれば昇格試験を受けられるのです。試験内容は様々ですがそれに合格すれば昇級します」
試験内容は決まってる訳では無いようだ。事前に対策されないようというのとその人物に適材のものを用意するためだろうな
「お待たせ、チリチリ魚のステーキだよ」
そこでシオンが夕食を人数分持ってきてテーブルの上に並べてくれる
チリチリ魚のステーキの見た目は日本の鯛をそのままステーキにしたみたいだ
アレックス達銀狼のメンバーは既に食べ始めている。それを見て自分も食べることにする
「いただきます」
「なんです?それ」
俺が食べる前にいただきますと挨拶した所全員に不思議な顔をされた。その中でアレックスが代表して質問してくる
それに対して故郷の挨拶だと説明し納得させる
この世界にはいただきますという挨拶がないのか……ということはごちそうさまも無さそうだ
とりあえず魚の身を箸でほぐしそれを口に運ぶ
「お、美味いな」
ステーキとして掛けられているタレと魚のジューシーさがなんとも言えないほどマッチしており絶妙な旨みを引き出しており、日本料理の魚のようなあっさりさ、淡白さが感じられない。まるで肉を食べてるようだ
今思えばこの世界に来てからマトモな食事をしたのは久しぶりだな。毒を盛られた料理、味の無い保存食ばかりしか食べてない食事とも認められない数日間が続く中、テラークの宿屋の料理がどれだけ素晴らしかったか身に染みて分かった
というより今までの俺の食生活は日本男児の高校生にとってあまりにも過酷すぎではないだろうか
そう考えると美味しいものばかり食べているだろう勇者達を恨めしく思うな
食の恨みは恐ろしいのだと思いつつ夕食を完食するのであった
9/15 リアのセリフを1部訂正
ケータの事をケータ様と呼んでいる箇所があったためご主人様に訂正しました
1/25 冒険者ランクの説明に不備があったため加筆修正しました




