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有能力者

 烏丸とナシは現場に到着した。一方、Dはタクシーで渋谷のナイトクラブへ向かった。


 二人が到着したのは普通の住宅街だった。細い道がありその両脇には家々が立ち並び、高層マンションなども屹立する場所であった。


 二人は老人が言っていた住所の近くをくまなく探した。草むらの中、川沿い、近くの住宅や近所の人に聞き込みを行うなどしたが、

「いねぇ!」


 二人は一生懸命捜索して泥だらけになっている。


「どうしましょう」

 ナシがそう呟くと、


 カラン。


 鈴の音が聞こえた。

 ナシは鈴のなる方へ向いてみると首輪にポチと書かれた芝犬を発見した。


「いたぞ!」


 二人はポチの方へ走っていく。すると、それに気がついたポチは二人から逃げるようにして走り出した。

「クソ! 追いつけねぇ!」


 烏丸もナシも必死に走るが犬の素早さには敵わなかった。そして、ポチの進行方向には車通りが激しい大通りがある。


「あ! 轢かれちゃう!」


 ナシが叫んだ。そして、ナシは再びポチの元へ走り出した。

 ポチは歩道から車道へ出た。尚も、ナシはポチを追いかけている。


「おい待て! そのままじゃ轢かれるぞ!」


 烏丸が止めに入ろうと走り出すが、ナシははるか向こう。ポチを追いかけていた。

 ポチが車道へ出た。そして、ナシはポチを捉えるために歩道から車道へ飛び出す。


 車道にはダンプカーが走っていた。ダンプカーの運転手は急に目の前に現れた人物に驚いてハンドルを切ったが時すでに遅かった。


 鈍い音を立ててダンプカーはナシを轢いた。ナシはポチを抱き抱えたまま道路に倒れて動かない。

 急いで烏丸が現場に駆けつける。ガードレール越しに烏丸は声を出した。


「ナシ! ナシ! 大丈夫か」


 ナシの体の損壊は酷かった。飛ばされた時に地面に体を擦り付けたことによって頬から脇腹のあたりまで大きく傷があり、腕が逆方向へ曲がっている。けれど、ナシはポチを片手で抱き抱えたまま車道に横たわっている。


 しかし、次の瞬間、烏丸は目を疑った。


 ナシの体の流血している傷の部分が修復を始めていたのだ。逆方向へ曲がった腕も自然と元あった正しい方向へ向きへ骨が形を変えた。


 ナシは何事もなかったかのようにポチを抱え車道から歩道へ移動した。そして、烏丸もナシがいる向かい側の歩道へ車道を渡って向かった。


「烏丸さんポチ捕まえました!」


 満面の笑みでナシはポチを烏丸に差し出した。烏丸はポチを受け取る。


「ナシお前…有能力者…だったのか」

「ユウノウリョクシャ?」


 ナシは首を傾げる。

「いや、細かいことはいい。とにかく任務完了したことをDさんに伝えよう」

 烏丸は耳に装着しているBluetoothのマイク付きイヤホンでDに連絡を取った。


「やぴー、どうしたのー?」

「Dさん。任務完了しました。あと…」

「おつかれー! 君たちならやってくれると僕は信じてたよ。で、あとの次はなんだい?」

「ナシは有能力者でした。なんの能力かはわかりませんがとにかくそれははっきりしてます」

「それは誠かい? 翼君。ジョークじゃないよね?」

「本当ですよ」

「いえーい、有能力者ゲッツ! うち無能力者しかいないからラッキーじゃん! 詳しくは後で聞かせて。ちょっと僕は忙しいから後でね」


 そう言って、Dからの連絡が途絶えた。

「もうDさんったら! 有能力者って大事な話だろ。それより大事な用事ってなんだよ!」




 一方、東京都渋谷区ナイトクラブが密集するある場所にDはいた。とあるナイトクラブの前にてDはタクシーを降りた。


 ナイトクラブの入り口にいる荷物チェックやVIP確認を行う警備員たちがいた。Dはサングラスを少しずらし、顔パスでとあるナイトクラブに入る。


「Dさん、今日は私と踊って」


 胸元が大胆に開いたドレスを着た金髪のセクシーな美女がDに話しかける。


「もちろんさ。一緒に踊ろう」

「Dさん今日はシャンパン入れて」


 バニーガールのコスプレをしたこれまたセクシーな美女がDに話しかけた。


「似合ってるよ。当然今日もシャンパンを入れよう」


「D様、VIPルームでございます」

 屈強な肉体を持つボディガードのような男が手を差し伸べて椅子が一脚置かれた部屋を案内した。そこは、二階になっており上から一階にあるダンスフロアが見える。

奥にはDJブースがありヘッドホンをした人物が何かスクラッチするような動作をしている。ダンスフロアでは、特に若い男女がDJが奏でるノリノリのミュージックに合わせて身を委ねるようにして踊っている。


 ボディガードのような男がマイクを持った。

「D様の登場です」


 すると、薄暗いフロアの中にDがいる二階には明かりが灯った。

「へーい! みんな楽しんでる?」

「「イエーイ!」」

 場内は盛り上がりパーティー状態。大勢からDに向けて返事が返ってくる。


「いいネ! みんなダンシングナイト!」

 Dは両手を振り、腰を振り踊るような動作をする。


 Dは烏丸やナシ、事務員の佐藤さんが必死で夜働いている間、このようにクラブ遊びをしている。遊びどころかDは自分でクラブを買い取ってオーナーになっていた。そのため、顔パスでクラブに入り、皆、オーナーのDを敬愛している。


 Dはこの日も夜を楽しんだ。セクシーな美女と踊り、豪快にシャンパンを入れ、あんなことやそんなことまでしている。


 これがDの夜の姿である。つまり、パリピ。

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