発掘!?
数時間後。
株式会社Dの事務所のドアが開いた。
「お疲れ様です。Dさん」
ある青年がアフロ頭の男に向かってそう言った。
青年は年齢は十八歳ほど。綺麗な銀髪をしておりパーマをかけて毛先を遊ばせ、前髪はかき上げるように立たせている。そして、三白眼に右目の目元にほくろが二つ。さらに、特徴的なのは黒いコンフォートマスクをしている。スタイルが良く、着ている服もモデルのようでおしゃれなイケメンの青年だった。
Dと呼ばれたアフロ頭の男は相変わらず、ソファにどっかりと座ってワインを飲んでいる。そして、事務所へ入ってきた青年に向けて先ほど交わした契約書を見せた。
「おはよう。翼君。新しい案件が入ってるよ」
「案件? なんすか?」
Dに翼と呼ばれた青年は書類を受け取り今回の案件の詳細を確認した。
「Dさん! これ二人用の案件じゃないですか! 無茶苦茶ですよ!」
Dはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「い、い、の、か、な?」
Dは顔の前で手を組み、そこに顎を乗せてじっとりとした視線で翼を見た。そして、何か思いを馳せるようにして、上を向いて言った。
「あれは雨の降りしきる夜の日だった。子犬のように毛布にうずくまっていく宛のない翼君を助け…」
Dが途中まで言いかけると、翼が割って入った。
「ああ! もういいです。やります! やればいいんでしょ」
そして、翼は契約書を机の上に叩きつけた。
「キャー! 翼君頑張って!」
どさくさに紛れてそう叫んでいるのは事務員の佐藤さんである。ちなみに、佐藤さんは推し活にハマっており、今は同じ会社で働くイケメンの烏丸翼を推している。
「じゃあ、翼君。日時は明日だから頑張ってネ!」
「待ってください。俺が働いてる間、Dさんは何してるんですか?」
「僕は僕で夜を楽しむだけさ」
「またクラブ遊びですよね!」
「ノンノンノン! 仕事のために英気を養っているのさ」
「このブラック企業が!」
次の日。
東京都のとある場所にて。
そこは山の中で見渡す限り青々とした森、森、森が広がっている。東京にあるはずなのに建物一つ見えない違う世界に迷い込んだような空間だった。そして、烏丸が今いる場所はその森の中でも地震の影響で地層が隆起した場所で、地層がそのまま姿を見せている。地面は砂地でゴツゴツとした石が落ちており、すでに何か発掘できそうな雰囲気のある場所である。
ここにはすでに数十名の遺跡発掘隊が地層や地面をスコップなどで掘り起こしたり、掘り起こした砂を見ては偉そうな学者が「あーでもない、こーでもない」とすでに調査が開始されている場所であった。
「東京にこんな場所あったのかよ…」
烏丸はその青々と広がる景色を見てポツリとつぶやいた。
「おい、新人。この作業着に着替えてお前も地層の調査から頼む」
遺跡発掘隊の誰かがそう言って、烏丸は渋々作業着を受け取って着替えた。
「Dさんこれから作業開始します」
烏丸は耳につけたマイク搭載のBluetoothイヤホンでDへ連絡を取った。
「よろ〜」
呑気な回答が返っていた。Dはこの頃クーラーの効いた部屋でワインを飲んでいた。
すると、遺跡発掘隊の一人が烏丸の元へやってきた。
「あなたが今日派遣された新人さん?」
「はい」
「なんか二人分働いてくれるっていうけど、あなた何かの能力者?」
「いえ、無能力者です」
「え! それで二人分働くの? 大丈夫かよ。あんた細いし、役に立つのかい?」
遺跡発掘隊の人はがっくりとしたような様子だった。
「まあ、頑張ります」
「ってかあんた暑くないの? マスクなんか付けて、熱中症になっちゃうよ」
「これは、まあ、ちょっと事情があってつけてるだけっす。はい」
烏丸は適当にその場をかわしてスコップでガシガシと地層を掘り進めては遺跡らしきものが見つかっては遺跡発掘隊のリーダーのものとへ持っていったり、さらには偉そうな学者に見てもらい「あーでもない、こーでもない」とやっていた。
烏丸は隆起した地層に背中を預けて座り込んだ。
「あちー、やってらんねぇよ」
烏丸は立ち上がり日陰になっている森の中へ入っていった。すると、森の中にまるで隠すように木々に覆われた祠があった。
烏丸は祠のすぐそこまで歩を進めた。そして、ふと思った。
「地層なんか掘るより祠の下を掘った方が何かいいもの見つかるんじゃね?」
烏丸は作業着の上着を脱いで、腰に回した。そして、ガシガシとスコップで地面を掘り進めていく。すると、
ガチン!
スコップが何か硬いものに当たった。烏丸は続けて掘り進めてみると物体の一部が顔を覗かせた。それは、四角形の石でできた物体のようだった。
さらに烏丸は掘り進めていくと物体の全体像が明らかになった。
「…棺?」




