第7話:氷の落ちこぼれヒロイン
ギルドの隅でクエスト掲示板を眺めていると、騒がしい声が響いた。
「おいおいシルフ! お前、またソロで討伐クエスト失敗したんだって?」
「いい加減諦めろよ! 氷魔法のくせに『発射速度が遅い』なんて、魔法使い失格だぜ!」
ガラの悪い大柄な男たちが、一人の少女を囲んで嘲笑っていた。
透きとおるような銀髪に、綺麗な青い瞳。
彼女の名はシルフ。
手には精巧な杖を握っているが、その表情は悔しさと恐怖で震えていた。
「く……っ! 私の魔法は……遅くなんて……!」
「遅ぇんだよ! 氷を形成して打ち出すまでに数秒もかかってたら、モンスターに近づかれて終わりだろうが! 無能が!」
男がシルフの肩を力任せに突く。
彼女は尻餅をつき、握っていた杖がガラガラと床を転がった。
周りの冒険者たちも、誰一人助けようとせず冷笑している。
(発射速度が遅い氷魔法……か)
僕は転がってきたシルフの杖を拾い上げ、彼女の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫か?」
「あ……ごめんなさい……ありがとうございます……」
シルフは青い目をうるませながら、申し訳なさそうに頭を下げた。
「おい新入り! お前みたいな『種火』の無能が、同じ無能を庇う気か?」
絡んできた男——Cランク冒険者のバルドが、僕を睨みつけながら胸ぐらに手を伸ばしてきた。




