↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したけど、低スキルでもやっていけますか?(弓道経験は有ります)  作者: sooomen


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/76

第63話:侵食の魔導と、多重歪曲障壁

「消え失せろ、橘ぁぁぁッ!!」


佐藤の絶叫とともに、黒銀鉱山の巨大な空洞全体が揺れ動いた。

彼の足元に描かれた複合魔導陣から、渦を巻く漆黒の炎と極冷の氷刃が、巨大な津波となって僕たちへ襲いかかる。


「シルフ、ウィネット! 散開!」


「はいっ!」

「任せて!」

二人が左右へ跳躍すると同時に、

僕は前線へと踏み込んだ。


(思考を研ぎ澄ませ……。

相手の弾道、質量、推進エネルギーを計算しろ)


迫り来る漆黒の炎と氷刃の群れ。

僕は走り込みながら、背の矢筒から『汎用超貫通鋼鏃』を番えた。

矢の筈と鏃の隙間に、

低スキル魔法『ボム・プチ』を速やかにセット。


一瞬の静寂。

(足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会……!)

『離れ』——!


バシィィィィィンッ!!!!

『カァンッ!』


爆縮推進音とともに放たれた一射が、音速を超えて空間を一直線に穿つ。

毎秒数千回転の超高速ドリル運動と、ボム・プチの指向性衝撃波を纏った汎用超貫通矢は、迫り来る黒炎と氷刃の津波の真っ芯を直撃した。


『ズガガガガガガガッ!!』


破砕音が空洞に響き渡る。

佐藤の放った広域複合魔導は、矢の圧倒的な物理運動エネルギーによって中心から真っ二つに引き裂かれ、

霧散するように霧消していった。


「なっ……魔導を力任せに穿ち砕いた、だと……!?」

佐藤の顔に、一瞬の動揺が走る。


「だが……甘いんだよっ!」

佐藤が首筋の『寄生核』に手を当てると、黒紫色の肉塊が脈打ち、彼の周囲の空間がぐにゃりと歪み始めた。


(空間歪曲障壁……!

高密度の魔力を周囲に張り巡らせている)


「僕のスキルと寄生核の出力を合わせれば、あらゆる物理攻撃の軌道を歪めて無力化できる!

お前のその自慢の矢も、僕には届かない!!」


「やってみなければ分からない!」

僕は間髪入れずに二射目を番えた。


『ボム・プチ』を極限まで圧縮。

狙うは、佐藤の右首筋——

あの不気味に蠢く寄生核の真芯!


(弓を深く引き絞る……『会』)

静寂のなか、ターゲットと矢のラインが重なる。


『離れ』!


バシィィィンッ!

『カァンッ!』

放たれた汎用超貫通矢は、真空の筋を描きながら、一直線に佐藤の首元へと肉薄する。


音速を超える一撃。

避ける余地など微塵もない絶対の射程。

——しかし。


『ジュワァァァァン……!』


佐藤の首元から数十センチ手前の空間で、光と空気が極端に屈折した。

まっすぐ突き刺さるはずだった矢の軌道が、目に見えない滑り台を滑るかのように、ぬるりと右側へ滑り落ちていく。


ズガァァァンッ!!


軌道を逸らされた矢は、佐藤の右肩の衣類をわずかに掠めただけで、背後の巨大な岩壁へと深々と突き刺さった。


「ハハハハッ! 見ただろう橘!これが僕の『多重歪曲障壁』だ!」


佐藤が肩の擦り傷をさすりながら、嘲笑うように不快な高笑いを上げる。

その直後、掠り傷から溢れた血は一瞬で凝固し、寄生核から伸びる黒いモヤが傷口を覆うと、瞬く間に元通りの皮膚へと再生してしまった。


「肉体再生まで備わっているの!?」

シルフが息を呑む。


「無駄だ無駄だ無駄なんだよ!

お前の矢がどれほど重く、どれほど速かろうが、僕の届かない『空間の歪み』を通過する限り、

絶対に直撃させることなんてできやしない!」

佐藤の右手に、再び不気味な暗黒魔導の光が宿る。


「今度は僕の番だ……!

お前のその賢しらな顔を、絶望で染めてやる!!」


空間を物理的に逸らす異次元の防壁と、傷を一瞬で塞ぐ即時再生。

絶大なチートの力を前にしながらも、僕の思考は冷酷なまでに静まり返っていた。


(逸らされた……。

だが、完全に不可逆な無効化じゃない)


矢が滑った瞬間の、空気の屈折と音の波形。

僕の眼は、佐藤の防壁の「僅かな違和感」を逃さず捉えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。