第3話:魔法が効かない脅威
その日は唐突にやってきた。
大地を揺らす地響きとともに、警報の鐘が鳴り響く。
「襲撃だーっ! 『対魔の重甲獣』の群れが出現!!」
ガルガノスの外壁前に姿を現したのは、家ほどもある巨躯を誇る黒い甲殻の魔獣だった。
その表面には、複雑な魔法陣の紋様が浮かび上がっている。
「ハハッ! 落ちこぼれ共、すっこんでな!」
先頭に立っていたのは、視察という名目で高みの見物を決め込んでいた佐藤と、王立魔導師団の面々だった。
「見せてやるよ、本物の魔法ってやつを! 【爆炎過熱波】!!」
佐藤が放った超ド級の極大魔法が、重甲獣に直撃する。
激しい爆発と炎が巻き起こり、佐藤は「見たか!」と勝ち誇った笑みを浮かべた。
しかし——
「な……に……!?」
炎が晴れたあと、重甲獣は傷一つ負っていなかった。
重甲獣の甲殻は、あらゆる魔法攻撃を100%吸収・無効化する『対魔障壁』を展開していたのだ。
「そんな……俺の最大魔法が効かないだと!?」
「ひ、ヒィっ! 魔法が通用しないぞ! 逃げろーッ!」
魔法に依存しきり、物理的な腕力も戦術も持たないエリート魔法使い達は、パニックに陥って蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
重甲獣が大きな足を踏み下ろし、逃げ遅れた佐藤へと迫る。
「う、嘘だろ……助けてくれ! 誰か!!」
絶望の悲鳴が戦場に響き渡る中、僕は静かに前へと踏み出した。




