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第2話:忘れられた「物理」と「和弓」
辺境の街『ガルガノス』。
ここは魔獣の脅威に常に晒される最前線でありながら、本国からは「捨て駒」として扱われる吹き溜まりの街だった。
「おいおい、本国から回されてきたのが、そんな木切れを持った子供だと?」
警備隊の男たちが、僕の担ぐ和弓を見て鼻で笑う。
「この世界じゃあな、弓なんてのは魔力を込められない貧乏人が使う弱小武器なんだよ。魔法の弾道に比べりゃ遅いし、威力もねぇ」
僕は何も言い返さず、街の訓練場で一人、静かに和弓の手入れを始めた。
(この世界の弓と、日本の『和弓』は全く別物だ)
こちらの弓は、弦を引くだけの単純な構造。
対して和弓は、弓幹の上下で握る位置が異なり、放たれた矢にはある決定的な現象が起きる。
矢は、羽根の傾きと離れのひねりによって、自ら強烈に軸回転しながら飛んでいく。
僕は矢筒から一本の矢を引き抜き、先端の鏃と矢羽を吟味する。
(矢の回転運動。そして、僕が使える唯一の魔法『ボム・プチ』)
指先から矢先に小さな種火を移す。
ただの種火。火傷すらさせられない程度の弱小魔法。
だが、これを「回転する矢身」にまとわせたらどうなるか?
(いける……! これなら、魔法使いどもの常識を根底から覆せる!)




