16/77
第16話:拒絶の果てに
『煉獄の魔神』を射ち倒してから数日。
僕とシルフは王都の喧騒を離れ、再びガルガノスの街へと戻っていた。
「蓮さん、王都からの文がまた届いていますよ?」
ギルドのカウンターで、シルフが苦笑いを浮かべながら羊皮紙を見せてくる。
差出人は王立魔導師団、そして王国上層部。
内容はいずれも「橘蓮殿を宮廷最高顧問・宮廷魔導師長として迎える」「過去の非無礼を謝罪し、破格の領地と爵位を授与する」という身勝手な手紙ばかりだ。
かつて僕を「無能」「ゴミ」と嘲笑い、最前線へ追い出した連中が、今さら僕の『和弓の理』にすがろうと必死になっている。
「全部破いて捨てていいよ」
僕は一瞥もせずに答えた。
「え、よろしいのですか? 王国最高峰の栄誉ですよ?」
「権力や地位に興味はないし、自分たちの都合で手のひらを返すような奴らと組むつもりはないからね。僕の弓は、大切な仲間とこの街を守るためにある」
僕がシルフの目をまっすぐ見つめると、彼女は頬をぽっと赤らめて嬉しそうに頷いた。
しかし、僕たちが平和を噛みしめていたのも束の間、ギルドの重々しい扉が勢いよく開かれた。




