第10話:極超音速の『凍結穿ち』
翌日。
ガルガノス近郊の渓谷で、Bランクの大型モンスター『岩石竜』が出現したとの報が入った。
通常、全身が頑丈な鉱石でできたゴーレムを倒すには、何人もの上級魔法使いによる集中砲火が必要とされる。
案の定、現場ではギルドの大型パーティが苦戦し、全滅寸前に追い込まれていた。
「だ、ダメだ! 物理攻撃も中級魔法も弾かれる!」
「岩の隙間を狙おうにも、表皮が硬すぎて傷一つ付かねえ!」
倒れ込む冒険者たちへ、巨岩の拳が振り下ろされようとしたその瞬間——
「シルフ、用意はいいか?」
「はい……! 蓮さん!」
僕の隣で、シルフが杖を掲げる。
瞬時に形成されたのは、超高密度の小ぶりな『氷の鏃』。僕の矢の先端に完璧に噛み合わさる。
僕は和弓を限界まで引き絞った。
足踏み、胴造り、弓構え、打起こし、引分け、会。
矢先に灯すのは『ボム・プチ』。
だが今回は、シルフの氷(極低温)と、僕の種火(高温)による『急激な熱膨張差』が加わる。
(空気抵抗ゼロ+熱推進+温度差による爆発的推進力……!)
「離れ——っ!!」
―――ズドオオオオンッ!!!!
音速を超えた前回を遥かに上回る、極超音速の衝撃波が渓谷を揺らした。
放たれた一矢は、もはや光の線と化していた。
音すら置き去りにした氷の矢は、岩石竜の最も頑丈な胸部の装甲を紙くずのように貫通。
直後、内部に侵入した熱と氷が激しい水蒸気爆発を引き起こした。
——ドガァアアンッ!!
「グガアッ……!?」
巨躯を誇る岩石竜が、内側から粉々に破砕され、岩の雨となって崩れ去った。
「な……ッ!?」
「Bランクの岩石竜を一撃……!? 矢一本で粉砕しただと!?」
呆然と立ち尽くす冒険者たち。
シルフは自分の手と、吹き飛んだゴーレムの残骸を交互に見つめ、感極まったように目を見開いた。
「すごい……! 私の氷魔法が……こんなに……!」
「君の氷が凄まじい密度だったからできたことだ。ありがとう、シルフ」
僕が微笑むと、シルフは顔を真っ赤にしながら、キュッと僕の服の袖を掴んだ。
「私……蓮さんのパートナーになりたいです! 一緒に行かせてください!」
こうして、魔法使いから「無能」と切り捨てられた二人による、異世界の常識を破壊する快進撃が本格的に始まったのだった。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
おかげさまで、無事に第10話を迎えることができました!
和弓の理論×初級魔法の「音速の矢」。
魔法至上主義の異世界で、ただの弓道経験者だと思われていた蓮が常識をぶち破っていく姿を楽しんでいただけていれば幸いです。
物語はいよいよここからさらに加速し、新たな試練や敵、そして和弓の理屈を応用した「さらなる新技」も登場していきます!
次回、第11話もどうぞお楽しみに!
第10話までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!
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今後とも『異世界転移したけど、低スキルでもやっていけますか?(弓道経験は有ります。)』をよろしくお願いいたします!




