3001~3010
■2026年4月12日
ある時、神からの天啓かなど聞こえてきた。
「あなたがドン底に落ちたら助けてあげましょう」
だったら、もう失敗を恐れることはない。神がたすけてくれるのだから。以来私はチャレンジを続けてきた。今では成功者と称えられている。
……一度くらいは試しにドン底へ落ちてみたかったな。
お題・ドン底奇跡
■2026年4月12日
僕は本気でムキムキになりたい。それでジム通いを始める。やるからには、大金をかけて有名なトレーナーまで雇う。おかげですっかり逞しくなった。
「じゃあ今でもジム通いは続けてるの?」
「近頃は他の場所に行ってるんだ」
「次はどこ?」
「お金がなくなったから、税理士さんの事務所通い」
お題・ジム
■2026年4月12日
「いつか大旦那になったら、お前を身受けするからな」
と言ってた彼が米相場で大当たり。一介の番頭から出世して店を構えるまでになった。これでいつでも私を迎えに来てくれるわ。
「で、あの女は身受けしないんですかい?」
「いやこうも大金があると、私にあの女では相場が安いような気がしてな」
お題・相場の身受け
■2026年4月12日
坊主なんて経を読むだけで金を貰いやがって。同じ金なら、長く経を上げた方が有難い。そうして読経はどんどん長くなっていった。
ところがある者は「金が少ししかありません」という。だったら短い経で構わないな。
と、さっと終わらせた。すると参列した者は、早く終わった、と有り難がった。
お題・有難いお経
■2026年4月13日
人間と透明人間とは戦争をしていた。だが停戦条件を締結。今は互いに攻撃をしてはいけないことになっている。だが人間の国で相次ぐ謎のテロ。これは透明人間の仕業だと噂された。もちろん透明人間側としてはこれを否定。
元から透明な透明人間が、事件の透明性を確保するのに追われている。
お題・透明戦争
■2026年4月13日
親友に呼び出された。私が彼女の彼氏を好きなことがバレてしまったのだ。
「ごめんね」
「誰を好きになるか、なんて自由だものね」
と晴れて無罪釈放を得た。
本当にごめんね。実はもう彼に唇を奪われてる。けど、誰が誰を好きになるかなんて自由だからさ。きっとこれも無罪にさせてくれるよね。
お題・無罪の恋
■2026年4月13日
仕事中に幼稚園から電話がかかってきた。息子が熱を出したらしい。申し訳ないけど、帰らせてもらう。
仕事が捗っていたのにという気持ち半分、息子への心配半分。どちらも本心。できたらこの身が分裂できたら良いのに。
そして二人になった私たちで、どちらへ行こうかきっと悩むのだろう。
お題・心が二つある
■2026年4月13日
父王は英雄と呼ばれているが、戦費で国は傾きかけた。それを我が代でどうにか立て直す。ならばと老朽化した城を建て直そうという話になった。すると無駄遣いがと非難囂々。
なんで無駄な戦争をした父が英雄と称えられ、私が暗愚呼ばわりされるのだ。
砦だった名残で薄暗い城の中、私はため息をつく。
お題・賢王の城
■2026年4月14日
「やっぱり、それなりのバリューを出せてないのは社会人としては無駄だよね。その点、私なんか転職のたびキャリアアップしてて~」
「へえ、どんな感じですか?」
「パパのコネで入社して、以後何度も天下り。ああ、これから重役出勤しないと」
「なるほど、確かにバリューを出せない奴は社会の無駄」
お題・無駄社会人
■2026年4月14日
火星の裏から、人類最大宗教のシンボルに似た物が出てきた。これはと喜ぶ宗教関係者。
しかし調べると作られたのは数億年。表面の文字を解読すると、現代にも伝わる聖典と同じ言葉が刻まれている。
聖性は人の物であってはならない。だが人とかけ離れると気味が悪くなる。
それは結局闇へ葬られた。
お題・モノリス




