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■2026年4月5日
「自分だけ帰るなんてズルしやがって」
俺だけパーティーを抜けて、迷宮から帰っていたのがバレた。だが、どうしても抜け道の情報は独り占めしたい。
「悪かったよ、ほら食べ物を買ってきたんだ。みんな食ってくれ」
と媚びて論点をずらす。
「そういや、どうやって帰ったんだ?」
その話に帰るな!
お題・帰還ズル
■2026年4月5日
部活の天体観測。望遠鏡を覗き込むと、無数の星々。見るたびに考える。何万年かしたら、星座もいつかは変わってしまう。僕らはその未来も見ないで寿命が来るだろう。きっと古代の牧童も夜空を眺めながら、同じ事を想っていたはず。せめて手の届く範囲くらいはと、僕は進路希望に書くことを決めた。
お題・天体観測
■2026年4月5日
雨の確率は五十パーセント。いつ降ってもおかしくないような、重苦しい雲が朝から立ちこめる。今日は入試だ。第一希望、判定は低め。博打みたいな受け方。
やるだけやった。きっと誰にも未来は分からない。私は傘なんて持たないまま、えいやっと家を出た。きっと天気予報の未来が全てじゃない。
お題・運を天に任せる
■2026年4月5日
君の墓の前で手を合わせる。運命って分からないものだね。そういえば聞いたよ。君ってば私のことが好きだったんだって? なのに告白する勇気が持てなくて墓の中とか。君らしい、っちゃ君らしいか。まあ実は私もそうだったなんて秘密、墓まで持って行くことにするよ。君とまた天国で再会するまでね。
お題・天国でまた
■2026年4月6日
その無人島には自転車が山積みになっていた。違法業者が捨てに来るからだ。今日も不要になった自転車を積んだ船がやってくる。リーダーらしき男は部下に命令した。
「よーし今日も、バイシクルを廃棄する!」
お題・無人島の自転車
■2026年4月6日
オカルトマニアの友人は語る。
「UFOとはそもそも未確認飛行物体、つまり正体不明の物が飛んでいるということであって、宇宙船とは限らないんだ」
「なるほど。ならばパンイチのおっさんが尻向けて飛んでたら、それはUFOと言えるかな」
「何をバカなこと……うわーっ、パンイチのおっさんが飛んでる」
お題・未確認飛行物体
■2026年4月6日
うちで飼っているオウムは口が悪い。
「クソヤロウ、クソヤロウ」
聞くだけで心底からウンザリする。誰だ、こんな汚い言葉を教えたのは。俺はイライラして、思わず怒鳴った。
「うるせえぞ、このクソ野郎!」
「クソヤロウ、クソヤロウ!」
お題・オウム返し
■2026年4月6日
私は剣聖になってから国のため働いてきた。剣聖は強力なジョブだ。敵国に魔物と、私の尽力がなければ母国は救えなかったという自負がある。
そして今や私も虫の息。身の回りの者たちが泣いている。
「剣聖がいないと」
だが悲しみで泣く者はいない。こんなジョブなくなっちまえ。今際の際に呟いた。
お題・天職葬
■2026年4月7日
健康ドリンク「楽園」。こいつを飲めば疲労回復、脳内ハッピー、多幸感が溢れてくる。副作用や中毒性はないと発表もされている。
つらい仕事の前に飲みたいが常に品薄。こんな地方まで滅多に回ってこない。だが噂で聞いた。都会なら自販機で売っているそうだ。
「都会、まさしく楽園じゃん」
お題・楽園自動販売機
■2026年4月7日
心霊スポットで有名な場所に、我々テレビスタッフはカメラを仕掛けた。ここには髪の長い女の幽霊が出るという。
「結果どうだった?」
「失敗です。番組の使い物になりません。見てくださいよ」
「どれ」
「映るのは女の霊ではなく、落ち武者の霊ばかりです」
「恐い恐い恐い」
お題・心霊取材




