3話
どのくらいの時間が経ったのだろうか。
私は部屋をノックする音で目を覚ました。
―――――コンコン。
「ミラ様。お世話を仰せつかっております、侍女のサマンサと申します。入室してもよろしいでしょうか」
その声に、ぼうっとしていた頭を私は一気にたたき起こすと起き上がり、慌てて身だしなみを整えるとソファに座り直し返事をした。
「どうぞ」
澄ました顔でそう告げたものの、髪の毛ぼさぼさになっていないだろうかと気が気ではない。
「失礼いたします」
部屋に入ってきたのは、そばかすが可愛らしい一人の女性であり部屋に入ると私の横に着て一礼をする。
「侍女のサマンサと申します。何かあれば、いつでもお声掛けいただけたらと思います」
「ありがとう。私の名前はミラよ。どうぞよろしくね」
「よろしくお願いいたします。さっそくですが、王妃殿下より、ミラ様の支度を整えるようにと仰せつかっておりますので、支度にとりかかってもよろしいでしょうか」
「え? そうなの?」
「はい。王子殿下には内緒でと王妃殿下のご指示です」
私はその言葉に、ドキッとしながらもうなずく。
「わかったわ。では支度をお願いするわ」
「かしこまりました」
サマンサはうなずくと、パンパンと手を叩く。
すると、部屋の中に衣装や装飾品類が次々と運び込まれ始めた。
「これは?」
「王女殿下より、こちらを身に着けてほしいとのことでございます」
「えっと、サイズは……?」
「こちら、リボンとボタンなどによりサイズ調整可能なものとなっております」
「そうなの。ではよろしくお願い」
「では湯あみへと移りたいと思います。ミラ様、どうぞこちらへ」
「えぇ」
あれよあれよという間に私はサマンサに促され、まずは入浴、それからの化粧、衣装へと着替えていく。
衣装と装飾品はどちらも可愛らしい花のデザインであった。
これまで私は着てきたドレスは、美しいデザインが多かったので可愛らしいデザインは新鮮である。
しかも、顔の火傷はサマンサの化粧によってだいぶ分かりにくくなっている。
「すごい……」
「とてもおきれいでございます」
「ありがとう」
私の言葉にサマンサは優しく微笑みを浮かべて一礼をする。
「それでは、王妃殿下の元へとご案内いたします」
「えぇ。わかったわ」
私はサマンサに案内をされて廊下を歩いていく。
こんなに早く王妃殿下に謁見することになるとは思ってもみなかった。
もしかしたら、レイス様から手を引くように言われるのかもしれない。それを覚悟しながら私が歩いていくと、先ほどご令嬢達とすれ違った渡り廊下へと差しかかった。
そこには、未だに先ほどのご令嬢がおり他のご令嬢方と話を繰り広げている。
「先ほどの、汚い女は誰なの」
「本当に……レイス様のあんな表情みたことございませんわ」
「まさか、親密な関係なのでは!?」
「そ、そんなの許しませんわ! 私、ずっとレイス様のことをお慕いしておりましたのよ!」
「私だって! レイス様のお相手がこの中の誰かならばまだ諦めは尽きますわ! でもそうでないならば、私、絶対に諦められませんわ!」
「「わかります!」」
私の話をしているようだと分かって、何ともいたたまれない。
早く横を通り過ぎてしまおうと思いながら歩いて行こうとした時、ご令嬢方がこちらを見て目を丸くして動きを止めた。
「……どなた?」
「知らないわ」
「……美しいご令嬢ね」
どうやら、先ほどレイス様と一緒にいたのが私だとは気づかれていない様子だ。
このまま気づかれませんようんと願っていると、一人のご令嬢がハッとしたように口を開く。
「あの顔の傷! さっきレイス様と一緒にいた女性にもありましたわ」
「え!? じゃ、じゃあ先ほどの……」
「……聞いてみましょう!」
まさにすれ違うという時に、一人のご令嬢が私の前に立ったのであった。
3月25日 オーバーラップf様より書籍1巻発売でございます!
これを書いている今、まさに心臓が爆発しそうです。
とりあえず、今回の発売記念のお祝いは、肉を食べようと思います。
コラボカフェにも参加予定です!コラボカフェなんて一生のうちに体験できるなんて思ってもみなかったです。私も行くぞ! 全部頼めるかな、とそわそわしています。






