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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の1 中学3年生編 (ストーカー疑惑)
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第4回美少女+3捜査会議

能代さんに直接話を聞くことができ、

みんなで情報合わせをすることに・・・

  【能代千夜さんを追え!】


 月曜日から、私たち女性捜査員は学校内の男子の様子に注意するという目標を立てて、少しだけ早めに登校している。

通学路の様子は男性捜査員の役目だ。


私もストーカーについて調べてみたけど、どんどんエスカレートしていくみたいで、はじめの対応が肝心らしい。


 とは言っても、能代さんとはクラスも違うので目にする機会と言えばお昼休みか、放課後なんだけど、うちの学校は結構大きくてそれも少ない。

なので必然的に『彼女を見る男子の視線』もなかなか目にすることができない。


 月曜、火曜と、特にこれと言った発見もないまま、水曜日の今日も授業が終わる。


今日は放課後みんなで一旦集まることになっている。


本当は本人も一緒にいると何かといいのだけど、あいにく私たちはみんな3組だし、今まで交流もなかったから、1組の能代さんが混ざると、はた目から見てちょっと違和感がある。

ストーカーが学校内にいるとすると、目立つのは良くないかもしれないので、私たちは能代さんをここに呼ばないことにしていた。


 私たちが椅子から腰を上げた、ちょうどそのとき、能代さんがクラスの前を通っていくのが目に入る。


(ラッキー!)


私は二人に目配せして、能代さんの後を追うことにした。

3人で取り囲んでは怖がらせるだけなので、私一人で。


彼女は図書室へ入っていき、私もそれに続く。


能代さんは読みかけの本があったのか、迷わず一冊を取り出してきて椅子に腰かけた。今人気になっているラノベだ。私も読んでみようと思っているんだけど、まだ今読んでいるのが終わらない。(笑)

他の学校はどうか知らないけど、この学校にはいろんな本が置いてあり、ラノベも結構あるのだ。


邪魔かな・・・という気持ちもあったけど、それ以上に心配が勝り・・・


「あの。」

私はちょっとだけ勇気を出して声を掛けた。


「え?」


「能代さん、ちょっとだけ話、いいかな?」


「え? うん。

 八月朔日さん、だよね?」


ほとんど話したことが無かったのに、知っていてくれたんだ。

私はちょっと嬉しくなる。


「あ。私、名字変わったんだ、今本間なの。」


「え? あ、そうなんだ。」


「うん。去年お母さんが亡くなっちゃって、

 今お父さんと暮らしてるの。・・・だから。」


「え?・・・それはその・・・

 ご・・・ご愁傷さまでした。」


「ありがとう。

 ごめんね、いきなり。

 それでね、この間、能代さんが困ってること、向井君に相談されたんだ。

 私だけにじゃなくて、白石さんと、長瀬さんも一緒に。」


「え?・・・」


 能代さんは、美沙ちゃんの言った通り、とても控えめでおとなしそうな子だった。私はできるだけ柔らかく、言いたくなければ聞かないというニュアンスを混ぜながら、去年の暮れに私たちが遭った暴行未遂などについても話し、心配していることを伝えると、彼女は『ストーカー疑惑』について話してくれた。

といっても、ほとんど向井君から聞いた内容がすべてで、特に目新しい情報はなさそうだった。


「心当たりとか、ないよね?」

私はそう言ってそっと能代さんを見つめる。


「うん。・・・えっと・・・」

何か少し心当たりはありそうだけど、話すのに戸惑っている、そんな感じがした。


「あ。無理には聞かないから。

 いままで話したことなかったんだし、いきなりだよね?」

そういって、私は少し視線を落とす。


「心当たりっていうか・・・」

「うん・・・。」


「あのね、最初の手紙の内容が意味わからなくて、

 それでホント関係ないかもしれないんだけど、・・・


 文化祭の日に・・・告白された・・・の。」


(お父さん、推理ビンゴです。その可能性が高くなりました。)


「そなんだ。それと関係ありそう、ってことだよね?

 振っちゃったとか?」


「あ、ううん・・・」


「うん・・・。」

私はできるだけそっと彼女の口元辺りを見つめて言葉を待つ。


「付き合って・・・いるの。

 だから、彼じゃなくて・・・。」


「その人を好きな子のやきもちなのかも?」


「わかんない、・・・わかんないんだけど・・・

 ・・・それに付き合ってるって誰にも言ってないし。

 ただ、他に何も思いつかなくて。」


「今の感じだと、直接何かされている訳じゃない?

 ・・・よね?」


「うん。とくには。ただ口は聞いてくれなくなった・・・みたい。」


 という事は、その子には悟られているって事かな。


「そっか。

 その意味の解らない最初の手紙って、まだ持ってる?」


「ううん。ほんと気持ち悪くて家で燃やしたの。

 写真も全部。」


「ラブレターじゃないんだよね?」


「わかんない・・・

 最初はそうかなって言う気もしたんだけど、

 違うかなって言う気もしてきて・・・。

 なんか変な詩みたいな感じだったの。

 『私がきれい』なのか、

 『私をきれいに』するのか、

 『世界がおかしい』と言いたいのか、

 『私がおかしい』と言いたいのか

 『変える』とか『変えない』とかそんな部分もあったし

 訳わかんなくて。」


「怖かったね。」


「うん。気持ち悪くて。」


「写真は?どんな感じの?」


「あ、それは何か普通の、よく撮れてたんだけど、

 それでも気持ち悪くて。」


「学校の中?外?」


「外の写真、全部。

 駅と、公園が2枚と、映画館の前と・・・」


「映画館の写真は、能代さん一人?」


「ううん・・・。」


「そっか。」

それは怖い。おそらくデートしてるところを撮られたんだろう。


「うん。誰にも話してないのに。」


そう言って、こちらを見つめてくる。


「誰にも話してなかったのに、

 今日初めてお喋りした八月朔日さん、

 あっ、本間さんにはどうして話しちゃったんだろう?」


「ごめんね、話させちゃった感じかな?」


「ううん。そうじゃなくて、なんか話しちゃってた。(笑)

 不思議ね、本間さん。内緒にしてね。」


「うん。もちろん。

 ・・・誰にもって、向井君にも言ってないの?」


「いえないよ。だって・・・」


(え・・・?それって・・・?)


「あ、そっか、そうだったんだ。」


「う・・・うん。

 ・・・って、本間さんってよく今の流れだけで分かるね(笑)」


「あはは~、私、いろいろと悩むことがあったから、

 なんか、空気読むのだけはうまくなったというか、なんというか。」


「あっ、本間さんは、白石さんとお付き合いしてるって、ホント?」


「あっ!(笑)

 えっと、そうじゃなくて、

 (コホン)

 じゃぁ、私も秘密を一つ、これであいこだよね。


 別に私と紗奏はそういうんじゃなくて、でも否定はしてないの。

 二人ともまだ恋愛とかそういうのは早いかなって。

 だから、逆にそう思われていても困らないっていうか、

 むしろ好都合っていうか。(笑)」


「あ。そうなんだ。(笑)

 うちのクラスでも有名だから。」


「あ、それは私もついこの間きいた。(笑)」


 それからは、ごく普通の今読んでいる本の話をして別れることにした。

異世界物でとても面白いと言っていた。

異世界・・・そういえば最近多いな。


「それじゃあまた気づいた事があったら教えて。」


「うん。ありがとう。」


能代さんと別れて、私はみんなが待つ喫茶店に急いだ。



  【第4回美少女+3捜査会議】


「ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。」

「ううん、何か聞けた?」


得られた情報も少なくないのだけど、彼氏のこと付近は内緒にしなくちゃいけないから話し方が難しい。


「うん。えっとね、まず、二つのことがわかりました。

 『ラブレターらしきもの』については、なんだかよく

 わからない詩的な内容だったそうで、ラブレターなの

 か暗に脅す内容なのかちょっとわかりません。

 理解の難しい文章だったと言っていました。


 それから、写真については、結構よく撮れていて、

 5枚とも学校の外の写真だったという事です。

 大体そんなとこです。ごめん、収穫少なくて。」


「いや、本間さん、そういう詳しい情報はありがたい。

 僕たちの方は、登下校ルートに注意したんだけど、

 怪しそうな人はいませんでした。

 むしろ毎日父兄の誰かしらが要所要所に立っていてくれ

 て、ストーカーにとっては難しそうです。」


「あのボランティアの人たちもスゲーよな。

 交代で毎日だぜ。

 特にほとんど毎日いて、

 よく声もかけてくれてる山野辺さんなんてもう子供は

 成人してるのにな。」


「えーっとさ、

 これは本当は言わないほうがいいと、アタシは思うんだけど。

 でもなんかあってからじゃおせーしさ、

 ・・・能代はたぶん彼氏がいるって話だ。」


安藤君、向井君の後にそう言った美沙に私はちょっと驚いた。


女子の情報網はやっぱり侮れない。

こっそり付き合っていてもなぜか悟られて伝わっていたりするのだ。

・・・それから、向井君の目が大きく陰ったのが見ていてちょっと悲しくなった。


「それじゃぁ情報まとめようか。

 まず、

 〇能代さんは彼氏がいるらしい

 〇ラブレターらしき手紙は詩的な内容で理解不能

 〇写真は良く撮れていてすべて校外

 〇通学路にアヤシイ人影は見当たらず

 〇行内でも怪しい動きは今のところなし

 こんな感じかな。

 この中で何か思いつくことはある?」


「能代さんはいつ付き合い始めたんだろう。

 それが11月とかなら関連ありそうだけど。」


「残念だが、それは分らん。

 アタシもそれとなく仕入れた情報だから、

 そもそも確定ともいえないし。」


「誰かと別れて、能代さんにっていうんだと、

 嫉妬による嫌がれせとかが怪しくなるね。」


(紗奏と美沙がそう話す中、それを知っていても言えないのがもどかしい。)


「でもさ、写真が良く撮れているって言うのが

 ちょっと引っかかる。

 いい写真を撮るのって、被写体のことをよく見ないとだよね?

 脅すための写真って考えると、不自然かも。」


(相変わらず安藤君は鋭いポイントをついています。)

私も、うんうんと頷く。


「あと、全部校外だって言うのも一つのポイントだな。

 校内で隠し撮りした方がよっぽど脅しやすいのにな。」


(たしかに。美沙の言う通り、

 もし女子生徒が犯人だとしたら、

 脅すための写真なんて幾らでも撮れそう。)


「う~ん、理由としては、あえて全部校外にすることで、

 生徒じゃないって思わせたかったとか?」

私はとりあえず、ありきたりの小さい反論を提示してみる。


「ひょっとしたらそうなのかもしれないけど、生徒以外だと

 思わせたいなら、家のポストにでも入れればいいと思う。」


(うん、私もそう思います。同じ生徒同士なら家を聞くのなんて簡単だし。)


「それに、校内で撮った隠し撮り写真なんて、

 それこそ警察沙汰になるのが目に見えてるから、

 意識としてはやりにくいんじゃないかな。」


(おお、さすがは警察官のご子息、発想がいちいち鋭いです。)


「それより、外の写真を撮るってことは、つけてるってことだよな。

 ほんとにストーカーされてるとか、ガクブルすぎるわ。」


そして、安藤君が軽くまとめる。


「簡単にまとめると、

 男子生徒の可能性はだいぶ低くなったって考えていいと思う。

 女子生徒だった場合は、校内で隠し撮りをしてない事から大ごとにはしたくない、嫌がらせ程度って感じで。

 一般人だった場合はストーカー化していてとても危険だけど、ボランティアの人たちもいるし写真を学校のげた箱に入れること自体、現実的には難しそうだから、これからは僕たちも校内に注意を払おうかな。」


そうして私たちは、犯人が校内にいる可能性が若干高くなったかな、って話しながら引き続き能代さんへの嫌がらせに注意していくことにした。


帰りの道すがら、考え事をするとまた乗り過ごしてしまいかねないので(笑)、今日はしっかりと帰る。



  【梨桜は考える】


 今日みんなで話した内容を私なりに整理してみる。

能代さんに嫉妬する女子生徒だと仮定すると、引っかかるのは安藤君も言っていた『よく撮れた写真』だろう。でもたまたま良い写真が取れた可能性だってもちろんあるだろうし。


それと、(これは言えなかったけど)付き合い始めた時期は事件の始まりとぴったり一致するし、(これも言えなかったけど)『映画館までカップル』をストーキングできるっていうのも一般人に比べれば、同い年位の女子なら簡単な気がするから、みんなが思っている以上に女子生徒の可能性は高いのではないかと思う。


逆に、一般人って仮定すると、ストーキングしていることから可能性はともかく危険性はぐんと上がるのだけど、これは私のボディーガードさんが怪しい人を見つけてくれそうだから、とりあえずは置いておけそう。


という事で、私も能代さんの周囲に注意することにしよう。


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