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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の5 中学3年生編 (日常2)
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秘密基地にて。

お父さんに作ってもらった秘密基地で今日もお勉強。

美沙ちゃんと安藤君はちょっと外していて今日は3人。

  【梨桜】


「ん~~っ!」


勉強に一区切りをつけ、大きく伸びをする。

月末から期末テストだ。


私達の本分、頑張らないと。


 しかし、それにしても驚くのは横にいる縁君。

いったいどれだけ勉強しているのか、彼には分からないことがあるのかすら怪しい。

 質問の内容がかなり逸れていても、突っ込んだ質問でも、知らない、分からないと言ったことが全くないのだ。

 特に、歴史の勉強の時なんかは、深く突っ込んで行き過ぎて『それはその位にして、先すすもう』って紗奏に止められてしまった。


 小休止の間、紗奏お持たせのクッキーを口にしつつ、お向かいの杠さんのことについておしゃべりしていた。あれからお父さんへの妨害や嫌がらせはすぐ無くなったらしく、今も元いた会社に出向いてお手伝いをしているのだけど、お父さん曰く『アルバイトみたいなもんだよ。』だって。


とんだお人よしのお父さん。

でもそこが大好き。


・・・


「そういうのって、『ざまぁ展開』って言うんだっけ?

 でも、そんなことになってるなんて全然知らなかったよ。」


「僕もだ。単純に独立するものだとばっかり思ってた。」


 と、そう言った彼の口元には今食べたばかりのクッキーの破片がくっついている。

こんな達観したような彼にしては珍しいお子様ぶりに、私はちょっとだけイケなくなった。


 (そっと手を伸ばし、その破片をつまんで彼の口へ・・・)


  ◇ ◇ ◇ ◇


 その瞳が少し蠱惑的な色を湛えたかと思うと、スッと手が僕の方へ伸びてくる。


・・・そして口元に触れたかと思うと、そのまま何かをつまんで僕の口へ運んできた。


 必然的に指先が唇に触れる。


 鼓動が跳ね上がり指先までジンジンする。

 耳にはそれまで聞こえなかった掛け時計の音が響き、

 体は麻痺したように固まった。


 彼女の瞳はそのまま僕をとらえている。

 

 ・・・どう、したらいいんだ。



「どう?おいしい?(笑)」

そう言って、僕の麻痺を解いてくれたのは向かいに座る白石さんだった。


「あ、あぁ、ごちそうさま、結構なお手前でした。」


「ぷっ。 

 いっつも大人ぶってる縁君にしては珍しいお子様っぷり。」


そう言って、また頬を突っつこうとして手を伸ばしてくる。


(はむっ!)


「おっと!」(笑)


(はむっ! はむっ!)


「おっと!、おっと!」


 その指先を咥えてやろうとするのだけど、意外とすばしっこくかわされてしまった。


「もうー、どこのバカップルよ。」


「あははっ。この位で丁度良いと思うよ。縁君は。」


ん?この位が丁度いい?

この位くだけたほうが良い、という事だろうか?


そう思考する僕の頬をまたツンツンとつついてくる。


「迷子の迷子の縁君♪

 あなたの気持ちはどこですか?♪」


ん?ん?どういうことだ?

僕の気持ちが迷子?

告白しろって事か?

良いのか?このタイミングで?


そう逡巡する。


「私も去年まで似た様なものだったから、なんとなく分かるんだ。

 縁君と理由は違うけど。

 縁君は、お父さんが立派だから、自分にいっぱい枷をはめてるんだよね?

 でも、気が置けない相手にはもっと感情に素直になっていいと思うよ。」


 僕は・・・心配されてたのか・・・?


 そう言えば、本間さんにも似た様な事を言われた。

親にだってそんなことを言われたことはないのに。


僕はそれほど堅い殻に閉じこもっていたと言うのだろうか?

こんなに心配されるほどに。


 彼女の言葉は不思議と心の奥底まで染み入ってきて、僕の中の何かを割った。

同時に過去の自分の叫びが頭をもたげてくる。


 せっかく仲良くなった友達と離れるのは辛かった。

 GWや夏休み位はどこかへ連れて行って欲しかった。

 なにより、僕だってたまには甘えたかった。


 ・・・


「ありがとう。

 梨桜さんには助けられてばかりだな。」


「それ、そろそろやめない?」


「ん?」


「『さん』付けされると距離感じるよね。」

「うん。呼び捨てでいいよ。縁!(笑)」


ドキッとした。

『くん』が抜けただけでこうも違うものなのか。


「分かった。梨桜、と、白石。」


「ちょっと!あたしだけ名字?」


「あ、あぁ・・・悪い。紗奏。」


「うん。男子も半分くらいは名前呼びだからね、そのうち気にならなくなると思うよ。」


  ◇ ◇ ◇ ◇


 それにしても・・・と私は思う。

梨桜って私が思っていた以上に深かった。


彼に対して距離感が近かったり、時に思わせぶりだったりしたのは、全部その感情を引き出すためだったのか。


さっきまで仏頂面を通してきた彼が、ボッと顔全体を紅潮させるのを見るとこいつも人並みに中学生男子なんだな、と改めて実感する。


普段の会話じゃ『あんたどこのおっさんだよ!』と突っ込みたくなることばかりなのに。


 いや、それにしても、いくら何でも他人の口へ何かを入れるのはどうなの?漫画のデレシーンによくある、『あーん』とはレベルが違う。さらに言えば、『ご飯粒ついてたよ』って言って自分の口に運ぶのとも次元が違う。だって口元に着いたクッキーの欠片なんて3㎜位のもんでしょ?いや、仮に5㎜にしたって1㎝にしたってそれを相手の口にだよ!

当然唇に触れるし、それは平気なの?

 そう思って一瞬茶化そうかとも考えたけど、次の瞬間で立ち止まった。こんなところで水を差すような野暮になってはダメ。ただ、当の彼がフリーズしていたので、ちょっとだけ助け船を出しておいた。あとで倍返しにしてもらいましょう。


  ◇ ◇ ◇ ◇


「ホルッホー、ホルッホー。」


壁にいるフクロウがお昼を告げた。


勿論、生フクロウじゃなくて、壁掛け時計のフクロウだ。


多分日本製じゃない。

だって佇まいがチョットリアルで、ちょっと怖くて、

だけどかなり可愛い。

・・・怖可愛い、と言っていいのかしら?


日本の企業だったら、きっともっと、ただただ可愛く仕立ててアピールするはずだ。

《あざとい商業戦略》のわが国日本!


・・・なんて。(笑)


「それじゃ、コンビニ行ってこよっか?」

「あぁ。」


「今日は紗奏のサンドないのね。」

そう言って、ちょっとあざとく沈んで見せる私!

うん、私も立派な日本人ですね!


「よーし!、じゃ、ご要望にお応えして、

 サンドじゃーーー!」

と言って私に抱き着く紗奏。


えっ? えっ?


しかし・・・これは?


「わわわわわ~~~~」


「どうーー?、梨桜サンドのお味はーー?」

至近距離から紗奏にそう言われたんだけど、意識は背中にしかいかない!


「ちょ、ちょっ、え~~~~」


「梨桜サンドだ。」


  ◇ ◇ ◇ ◇


 うん、やっぱり思った通りだ。

梨桜に拒絶はない。


ただ、ちょっと意外だったのは、すんなりと彼が乗ってきたところだ。


  ◇ ◇ ◇ ◇


 3人で表に出て、近くのコンビニへ向かう。

顔の火照りは何とか静まった。


・・・たぶん。


ま、まぁ?

外国ではハグは挨拶ですし?

気にしない、気にしな~いっ!


私はオトナ、超!オトナ! ですもの。


・・・


 コンビニに入ると、正面の棚にアニメグッズが並んでいる。

あ、今人気のアニメとコラボしていたんだっけ?


 クリアケースと、マグカップと、・・・


「あれー、梨桜ちゃんだっ! それに紗奏ちゃんと土井君も!」


「あっ、美織ちゃんと茉莉華ちゃん、こんにちはっ!

 うち、この近くだったんだ~?」


「うん、ちょっと行ったとこだよ、梨桜ちゃんこそどしたの?

 こんなところで~?」


「ふふ~、秘密基地で遊んでいたのですよ~」


「ひっ! 秘密基地っ!

 行きたい、行きたーーい!」


 中間テストの勉強会の後も、たまに自習室で一緒に勉強していた私たちは結構仲良くなっていた。

趣味、好きな男子、好きな先生。

勉強の合間に、そんなことを話していて、趣味の漫画についても話してくれた。なんでも二人で描いてるとかで、年末にはイベントに出かけるらしい。

 漫画の題材は何だろう。

 深く考えなくても分かりそうだ。(笑)

 今日も二人一緒のところを見ると、頑張って描いていたのかな。


 さて、遊びに来たいと言う彼女たち、お父さんは学校の友達を呼ぶのにちょっと慎重だったけど・・・そう思い紗奏の方へ目をやる。


「じゃ、二人ともご招待しちゃおっか。」


「わーい!、やったー!」


 あっ、即決でOKしちゃった。(笑)


  ◇ ◇ ◇ ◇


 建物に着くまで、二人とは普通にしゃべっていた。

いえ、建物に着いてからも。


 カードキーで解錠する時になって、二人は『おやっ』という表情になり、3階のラウンジに着くと・・・


「うわぁーー、なにこれーー、すごーーい!!」


それでなくてもまあるくて可愛い目をさらに真ん丸にしてびっくりしていた。


 部屋の中をぐるぐる回って十分に探索した後、真ん中のテーブルに戻って私たちの『その』跡を発見する。


「えーー? 勉強していたのーー?」


「えへへ~~、こう見えて真面目なのですよ~~。」


「あれ?そういえば、美沙ちゃんと安藤君はいないの?」


「ふふっ。若い二人を邪魔しちゃいけませんことよ。」


「あら、たしかにそうですわね。おほほほほ。

 って、私は土井君と二人の絡みが欲しいのにーー。」

「こらっ、美織っ!」

「てへっ」

可愛らしく、チョンと舌を出す美織ちゃん。



「二人とも、もう全く隠さないのね。

 なんというか、いっそ清々しい。」

もうすっかり趣味全開でしゃべる二人に紗奏がそう言う。



「腐っててもここのみんなには嫌われないって分かったからね。

 あとね、私はこの子とはちょっと方向違くて。

 絵は二人で書いてるんだけど。」


そう言って、ちょっと私と紗奏を凝視する。


「そうなんだ。イベントで出品するんだよね?」


「うん。

 ・・・

    ・・・」


そこではたと止まり、見つめあう美織ちゃんと茉莉華ちゃん。


そして・・・


「ふたり、コスプレとかって興味ない?」


そう聞いてきたのでありました。


お仕事で出張しておりまして、少し間が空いてしまいました。


お立ち寄り頂きありがとうございます。

今後ともどうぞよしなに。m(__)m

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