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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の5 中学3年生編 (日常2)
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白石紗奏の恋愛考察

紗奏は考える・・・

  【白石紗奏の恋愛考察】


 私が彼を男性として意識し始めたのは早かったと思う。

割と近所だったし、しょっちゅう行き来していたし、仲も良かったから。

ただ、今にして思うと、『親愛』であると思い込もうとしていたんだなと冷静に振り返ることができる。


 そういう割り切りに限界が来たのが、小学校6年の春だった。

 直樹が遊びに来るとよく私の部屋に泊まっていた。

少しずつ体つきも女らしくなり始めていた私は、その日初めて、恥ずかしいやら嬉しいやらで眠れなかったのを今でも覚えている。


 そして、彼の呼び方を変えた。



 この間の帰り道、あの二人の様子を見ていた私は、実は結構驚いていた。

 『なに?この距離感。』


それはもう、恋人同士の距離。

ゼロ距離。

違和感のない直接接触。


 ちょっと前、相談された恋愛についても、全然心配いらないじゃない、そんな風にちょっとニヤニヤしながら見ていると、今度は私に絡んでくる。それがあまりに可愛くて思わず抱きしめた。


 抱きしめておいて、一つのたくらみを思いつく。


 この子がこの距離を許しているのは、これまで私と美沙位のものだったのだけど、それにこの仏頂面の男が加わったのだろう。

 しかもこの男、梨桜が何をしようが全く無抵抗にされるがままだ。

頬を引っ張られても突っつかれても、

そして聞いたところによれば、そうとうに思わせぶりなことをされたとしても。


 たとえばこれで、『他に好きな男ができた』なんて言われたら、この男はどんな顔をするのだろう?

 それでも今のように仏頂面をして、『彼女が幸せならそれでいい』とでも思うのだろうか?


 あの時、明美が言っていたように女性には『勢い付き合ってしまう』なんてことが結構あってしまう。それも、全然好きでもない相手と、なんとなく付き合うことになってしまったりするのだ。

 それで、いざ付き合い始めると、嫌だ嫌だと言いながらそれでも周りの目が気になって案外別れられずにいたりする。


 梨桜は男子に対しては結構高い壁を作っているから、そういう事もなさそうには思うのだけど、意外とそういう壁をするりとすり抜けてくるやつもいるから、ちょっと心配ではある。


 それに、『そういう距離』がずっと続いてしまうと、『そういう仲』で収まってしまって『恋愛』に発展しにくい。いわゆる幼馴染がくっつきにくい一つの要因だと私は思う。例えば向井君。

 1学期、私たちに『幼馴染』について相談してきていた彼は、たぶんその子が好きなんだろう、と私は思った。男子は基本、好きな子の事じゃないと動かないから。


 だけど、美沙によるとその子にはすでに彼氏がいるのだそうで、それを聞いた時の向井君は、かなり苦い笑いを浮かべていたように見えた。

 もちろん、もともとその相手の能代さん自身が向井君をなんとも思っていなかったのかも知れない。

 でも、経験上、男子に優しくされたり、気の利いたことでも言ってもらったりすると一瞬心が動くことはあるはずなのだ。だけど、その瞬間に『一押し』がないと、気持ちは冷めて元に戻ってしまう。


 男子は女子に比べて、どうしても精神的にお子様だ。

だから、『好き』でも、そのことを隠そうとしたり、憎まれ口をたたいたりして、すっかり好きな子の気持ちを萎えさせてしまうのだ。


 彼を見る限りではそういう余計なことをしたり言ったりしそうには見えない。だけど、梨桜の気持ちが動いた時に彼が動かないようでは、ひょっとしたらこのままずるずるとそういう仲で終わってしまう恐れは十分ある。


 だから文化祭の時も、この男にそれを伝えはしたのだけど、どうにもダメダメだ。


 梨桜のことを考えてくれるのは嬉しい。


 だけど、彼自身怖くて一歩が踏み出せないのじゃないだろうか?


この間の帰り道、彼に気遣われて梨桜の気持ちは確かに動いていた。

だから、私がちょっとだけお膳立てをしてあげたというのに。

あの時、彼が反対側から梨桜をハグしてきても、おそらく梨桜は嫌がらなかったと思う。


ダメな理由に『中学生だから』なんてことを言っている時点で、『嫌』じゃないのは明らかなのに。


お立ち寄りいただき、ありがとうございます。



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