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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の5 中学3年生編 (日常2)
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文化祭(アフター・ファイナル)

少しだけ席を外すみんなと、

控室に残ることになった紗奏と縁。

ほんの少しだけ込み入った話に・・・

  【紗奏と縁】


 梨桜さんと都城さん、長瀬さんも相次いで手洗いに立った。

すると、タイミングを見計らったかのように、白石さんが話しかけてきた。


「梨桜、ちゃんと土井君に謝った?」

「あやまる?」

「気を持たせたこと。」


 気を持たせた・・・少しの間逡巡し、その事に思い当たった。

あの日、『キスされる』などと勘違いをした翌々日だ。

彼女はそれはもう率直に謝ってきた。

謝られる必要など全くないと思った僕は、素直にそう言っておいたのだが。


「あ、あぁ、確かに謝られたことはあるにはあるけど、

 そんな必要はないんだけどな。彼女にもそう言った。」


「そっか、ならそれは良いとして。

 木野下さんも言ってたけど、ちゃんと言葉で伝えたほうが良いよ。

 分かってはいても言葉で言われるのとそうでないのじゃ全然違うんだからね。」


「うん。それは分かってると思う。気を遣わせて済まない。

 ただ、彼女はまだ男子に抵抗があるようだからね、控えてる。」


「土井君と、安藤君には抵抗ないって言ってたよ?」

「ああ。それは僕達がちゃんと距離を考えてるからなんだろうな。

 彼女が安心していられる距離を取ってるから安心していられるんだ。でも、今気持ちを口になんてしたら、彼女の男子への抵抗はより大きくなるような気がしてね。」


「驚いた。結構考えてたんだ。

 小学校のころね、梨桜を好きな子がいたんだけど、その子がちょっかいばかりかけてたのよ。周りから見ると好きなことがバレバレだったんだけど、梨桜は虐められてるように感じたみたいね。それが1年くらい続いたからトラウマかも?って言ってた。」


「そんなことがあったのか。

 その生徒は今もいるのか?」

「こっちには来てないから、信濃中じゃないかな?

 戸田君って言うんだけど、知らない?」


「戸田?・・・そんな生徒はいなかったけどな。

 あっちは学年1クラスだし、覚えてないなんて事は無いんだけど。」


「あれ?変ね、どこか別の私立行ったのかな?」


 彼女が男子に対してちょっと距離を置きたがるのには、そんな理由があったのか。これはまだまだ時間がかかりそうだな。

 もっとも、この気持ちなど伝えられなければそれはそれでいい。


「あ、もう一つ聞いていい?

 梨桜が命の恩人って?」


「あぁ。あの時流されたから聞いてたのかと思った。

 梨桜さんがいなかったら、僕はいま生きてさえいなかったかもしれない。そう言う意味。ちょっと重い話だけど。」


「・・・。」


 彼女は次の言葉を待ってるようだ。

まいったな。


「去年、それくらい辛い時期があったんだ。精神的に。

 そんな時、たまたま彼女の動画を見かけたんだ。

 信じられないだろうけど、それで楽になった。」


「・・・。

 ごめん、聞いちゃいけない話だったかな。」


「いや、別にいいよ。

 それより、そんなに僕って分かり易いのか?

 まさか後輩にまであんなことを言われるとは思ってなかったんだけど。」


「あぁ、それは土井君が分かりやすいって訳じゃないよ。

 梨桜が一緒にいる男子が土井君しかいないってだけだから。

 男子も女子も興味津々なんだよ。(笑)

 ちなみに、あたしと梨桜の百合疑惑も揺らいじゃってさ、また最近微妙な視線を感じるんだよね~。(笑)」


「白石さんは好きな人とかいないのか?」

「いるよ~。大学生の従兄。」


「そっか。上手くいくことを祈ってる。」


僕らの年頃の、『恋愛』が心に占める割合は、多分大きく違う。

人によってはなにものにも代えがたいほど重く、

人によっては意識しない程度に軽いのだろう。


ほんの半年ほどで僕ですらそれを知ったのだから。

度々のお礼になりますが、

お越しいただき、とってもありがたくありがたく思っています。


年の瀬になりました。


今年は大変な年になりましたが、どうぞ皆さま良いお年をお迎えいただきますよう、

心よりお祈り申し上げます。


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