第3回少年少女探偵会議
友達がストーカー被害に会っているらしいとの相談が・・・
【氷見君更生会】
「いい、氷見君。思ってることはちゃんと言わないと、
どんどん変な方向へ行っちゃうからね。
いけない事してるって思ったら、ちゃんと相手に言う。
秘密を知って脅そうだとか、絶対だめだから。」
「うん。ごめん。」
「ちゃんと反省したよね?」
「うん。」
「よしっ、じゃぁ、氷見君は更生したという事で、これ食べたらお開きにしますか。」
(私たち3人は氷見君のおごりでケーキセットを食べている。)
「あ、あのさ。なんで俺だって分かった?」
氷見君が上目遣いで聞いてくる。(笑)
「自分じゃ気づかなかったかもだけど、結構キョドってたよ?」
「そ、そんなだったのか・・・
鋭いんだな、八月朔日。
・・・そういえば!、向井が最近変なんだ!」
氷見君は、なんか逃げるように話題を変えた。
「変って?」
「なんかスゲーそわそわしてるし、
とにかく変なんだ。
八月朔日、感いいみたいだし、話聞いてもらえねぇ?」
彼はきっと、自分の話題から逃げたくてしょうがなくて、無理やり話題
を探したんだと思う。
でも、まぁいいよね。逃げても。
「私、もう八月朔日じゃなくて本間だよ。(笑)
向井君ね。連絡先ってわかるの?」
「あぁ。分かるよ。
今かけてもいいのか?」
私は二人に視線を送る。
(いいんじゃない?って顔だ。)
「うん。かけてみて。」
氷見君が電話をかけるとすぐ繋がり、彼はまだ学校だという。
それで、この喫茶店まで来てもらうことにした。
5分ほどすると向井君がやってきて氷見君の隣に座る。
ぱっと見、変わった様子は感じないけど・・・。
で・・・私が聞き取り役になってしまっているのはなぜ?
う~~ん・・・これは私の役目かなぁ・・・(苦笑)
「向井君、何か悩み事あるってきいたけど?」
「ん?いや別にねーぞ?悩みなんて。」
(ガクン・・・。悩み相談1秒にて終了・・・。)
「智広、学校で変だったじゃん、なんかそわそわしてたし。」
「ん?そーか?
・・・
あー、転校してきた安藤んちの親が警察官だって聞いて
俺の悪事がばれるんじゃねーかとひやひやした。
・・・なんちゃってな(笑)」
「 「 「 えっ? 」 」 」
「そんな捕まるようなことしたのかよ、お前」
「いやー、どうかな?
休みに学校忍び込んだのバレたらやばい?」
「お、お前、何さらっとスゲーこと暴露してんだよ!」
(向井君・・・それはきっと犯罪です。)
「てかなんで、ウチの学校の百合姫たちとお前がお茶してんの?」
(ん?百合姫?・・・なにそれ?)
「なんだ?その百合姫って」
「あ。やべ、俺が言ったの内緒な。
ほら、お前ら3人スゲー目立つじゃん。
学校でもずっと一緒にいるし。
んで、ついたあだ名が、『百合の3姫』」
「 「 「 ぷっ 」 」 」
「百合属性は、紗奏と梨桜の専売特許だろ、
なんでアタシが混ざるんだよ。」
「 「 まって!(笑) 」 」
「清楚、綺麗、冷血、イー組み合わせじゃね?」
(パコン!)
「ぃてっ!」
「なにさらっとアタシだけけなしてんだ。」
「いや、けなしてないし!」
「(笑)
私たちは、氷見君の相談にのってたんだよ。」
そういって、彼のほうに目をやると・・・
「う、・・・うん。そう。」
とってもばつが悪そうだ。(笑)
「えー、いいなー、俺の相談にものってよ。」
「いいよ、なに?」
「誰でもいいから俺と付きあっ・」
(バシッ!!)
「イテッ!まだ言いおわっ・」
(バシッ!!バシッ!!)
「ギ・・ギブ・・ギブ!」
(クラスの男子たちは大体こんな感じで、とってもお子様だ。)
「さ、二人とも向井君の心配は全くないみたいだし、
あたし達はそろそろ帰ろっか?」
そう紗奏が言ったのを良い区切りに、私たちは席を立つ。
「あ、ちょっ、まっ、
来た来た。せっかくだからあと5分だけ。」
お店に入ってきたのは、転校してきたばかりの安藤君だった。
話の流れから、向井君が呼んだのだろう。
「お待たせ。っていうか、今3人とも帰ろうとしてなかった?
いいの?」
(私たちはちょっと顔を見合わせる。)
そして、
「あとちょっとだけなら。」
と、少しだけ話を聞くことにした。
「安藤君と話すのは初めてだよね。
今日は向井君に呼ばれたの?」
「うん。ちょっとね。
転校して来たばかりなんだけど、相談したいことがあるっていうから。」
「そうそう、
1組の能代いるじゃん、従妹なんだけどさ、
最近ストーカーにあってるらしいから、安藤に相談しようと思ってさ。」
「ちょっと、それここで言うの?
あたし達もいるのに。」
「あのさ、確かに親父は警察官だけど、刑事じゃないし僕はただの中学生なんだけど。」
「でも、お前頭いいじゃん、話だけでも聞いてくれよ。
それに、女子の意見も聞きたいし。」
「うん。聞くだけならね。大して力になれないと思うけど。」
「まぁ、あたしたちが聞いていい話なら好きにして。」
「去年の11月ころからかな。
げた箱に悪さされるらしい。
最初はラブレターみたいのだったらしいんだけど、
最近は隠し撮りした写真が置いてあったりして、
かなり悩んでる。」
「それでソワソワしていたの?」
「んーー、どうだろう?、ソワソワしてるつもりはなかったんだけど。」
「そういうのは、ちゃんと警察に届けたほうがいいよ。
僕なんかに言うより。」
「いやだってさ、相手はたぶん同じ学校の奴だぞ?
変な事件にしたくねーじゃん。」
『ふう。』そんな風に息をつく安藤君。
「そういう事されるのは、げた箱だけ?机とかロッカーとかは?」
「げた箱だけみたいだな。机とか家とかも大丈夫らしい。」
「頻繁にあるのか?」
「それが、去年2回だけだったのが、今年に入ってからはもう3回も入
れられたって。」
「見つけるのはいつも、朝?」
「うん。月曜の朝ばかりだって話だ。」
「この学校って、休みの日も校門は開いてるんだっけ?」
「うん。事務の人と宿直の人がいるから。
それに先生もたまに来てる人もいるし。」
「それと、11月って言うと文化祭があるよね。
この学校って、一般の人は入れるんだっけ?」
「うん。それはもちろん。
バザーもあるし、父兄もいっぱい来るし、誰でも入れるよ。」
「可能性の話だけど、
学校以外の人が日曜にこっそり入って置いておくのかもしれないな。」
「えっ?」
「生徒以外の人。
2年のげた箱は真ん中へんで、事務の受付からはちょうど柱で陰にな
ってる。1組だったら入ってすぐだし、こっそり置くには置きやすい。
ていうか、うちの学校はそもそも、靴脱ぎを上がって正面が事務受付
だから、げた箱までなら案外分かりにくそうだ。
それに、毎回げた箱って言うのも気になる。
生徒なら、入れる場所をあちこち変えそうな気がする。
同じ場所だと待ち伏せされるかもしれないし。
11月から始まったって言うのは、文化祭の時に来た人が、
たまたまうちの生徒を見かけて・・・とか。
生徒だとすると、始まった時期が中途半端な感じがする。
全部推論だけど。」
「スゲーな、刑事の息子」
「刑事じゃないんだけどね。」
「あ。お父さんの転勤なんだよね、警察官の?」
「うん。去年までは金沢にいたんだ。」
「それじゃぁ、ここの警察署長さんとも知り合いだったり?」
「え?いや、その署長さんの後輩だって言ってた。」
「そうなんだ。うちのお父さんが、警察署長さんと幼馴染みたいなんだ。」
「そうなのか。まぁ、そう言う事もあるか。
キャリア組はあっちこっち行かされるから。」
「あ、ごめん話遮っちゃった。」
「あたしは、安藤君の推理、いいセン行ってるかなって思う。
ラブレターはともかく、隠し撮りの写真をげた箱に入れるの
はちょっと生徒っぽくない気がする。」
「だよね。好きな子の写真撮って、もし何か伝えたいなら、
机の中とかが自然かも。」
「とはいっても、生徒じゃなさそうな要素を上げてみただけだから、
やっぱり生徒の可能性も十分あるよ。」
「じゃぁ、これは女子に聞きてーんだけど、能代を好きそうなやつ
に心当たりとかはあったりする?」
「アタシ1年の時一緒のクラスだったな。
去年の梨桜みたくひっそり目立たない感じの子だから
告られたとかいう話は聞かない。」
「えっとそれは、美沙ちゃん、
今の私は目立つタイプになっちゃってるの?」
「ぷっ、自覚しろ、お前は十分目立ってる。
もうあれだろ、紗奏より人気だと思うぞ。アタシは。」
「う~~。
紗奏守って。」
「アハハっ、よしよし。」
「目の前でユリが咲いてる。すげぇ。」
(バシッ!!)
「って!、今のはたたかなくていいだろっ!」
「顔がイヤらしい。」
「アハハっ」
「えーと。盛り上がってるとこ悪いけど、話し戻そう。」
「おっ、クールだな安藤。いい感じだ。
アタシと付き合ってくれ。」
「 「 わーーーーー 」 」
「えーーっと。それはちょっと横に置かせてもらっていいかな。
女子は学校内の男子の目線をちょっと見てくれるかな?
男子が見るより気づくこともあるかもしれないし。
僕らは、通学路なんかで女子を見てる一般人の目線に注意する。
どうかな?」
「OK。男子はわりと自分の視線に気づいてないからな。
そういうヤツがいたら案外分かるかもしれん。」
「それから、長瀬さん。
さっき横に置いた話だけど、
僕でいいなら、宜しくお願いします。」
さらっとそう言って美沙を見つめる安藤君。
「 「 きゃーーー 」 」
私と紗奏は店内だという事を忘れて絶叫し、
美沙は鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をした。
今日は氷見君更生会のはずが、
いつの間にか一つのカップルを成立させ、
周りのお客さんからはちょっと白い目で見られ、
第3回目の少年少女探偵団会議となって終了したのでした。




