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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の5 中学3年生編 (日常2)
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文化祭(後編)

お昼時の学校のバザー、

なんだかとても混んでいるようです。


そしていよいよ、学芸会の出し物が披露されて。

  【バザー会場は大人気】


 12時少し前、芹野が連れてきた意外な人物と再会した。


「お久しぶりです、本間さん。その節はありがとうございました。」


「お久しぶり、朱音さんに沙由里さん。本当によく来てくれたね。

 さっ、食べに行こう。」


 3人をバザー会場へ案内していると、土井さん母子が階段を下りてくる。

 上の階は何も催しはなかったはずだが・・・


 会場に着くと10人くらいの列ができており、生徒が番号札を配っているのが見えた。出されている看板には、


『ただいま20分待ちとなっています。

 (頭を下げている可愛いイラスト)』


となっていた。

 すぐに、生徒の一人がやってきて番号札を渡してくれる。


「すみません、混んじゃってて。

 はい、お客様は30番になります。大体20分位でお席が空くと思います。」

 そう言って、バインダーに30番、5名と記入していた。


「お昼時だからな、混んでるのも当たり前か。」

そう言って、引き返す。


「チラッとのぞいたら、梨桜ちゃんコスプレしてましたよ。」

「コスプレ?制服だって言ってたんだけどな。」

「サプライズでしょうか?可愛かったですよ~。」


あの子がそんなサプライズをするとも思えないのだが・・・

無理に着させられているのじゃないだろうな?

そんな不安が頭をかすめた。


「半分以上が生徒だったね。もう少し来場者への気遣いが欲しかったな。」

「生徒だって腹はすくだろう。それで怒る親たちもいないさ。」


「いや、多分前半はそんなに混んでなかったと思う。

 ちょっとのぞいた時は席半分も埋まってなかったから。

 そう言う時間帯に、済ませられる生徒はさっさと済ませるべきなんだけど。」


相変わらず、この子は辛口だな。

全てにおいて容赦がない辺りは、一明に似てる。


「学校の給食は12時半ころからだろう?

 そう言う癖がついてるんじゃないか?」

「たぶんそうじゃなくて・・・」


「可愛いウェイトレスさん目当てなのね。生徒たちも。」


そう言って麗子さんは笑う。

それで私もはたと思い当たる。

3組の担当は、あの三人娘だ。なるほどな。


 仕方がないので一旦3組に戻って作品を見ながら雑談することにした。

縁君は転校したてという事もあり、習字作品が一枚飾られているだけだった。だが、周りとは全く趣が違う。


 『あふことの たえてしなくば なかなかに

         人をも身をも 恨みざらまし』


 書道の腕前は分からないが、紙も大きく堂々としたものだ。

これの意味するところはあまりに明らかで、彼の思いが伝わってくる。

『人をも身をも~』のくだりは何かがとりついたかのような勢いで書いてある。同学年の生徒は気づかないだろうが、父兄の多くは気づいただろう。もちろん、傍にいた母親も。


 そんな私とは違い女性グループは女子生徒の作品の前で盛り上がっている。家庭科の作品は『毛糸のぼうし』だった。

 梨桜のものはおそらく杠さんへのものだろう。紗奏ちゃんと美沙ちゃんは彼あてに編んだのだろうと思われた。


 やがて20分ほど経ち、バザー会場へ移動する。


「いらっしゃいませ!」

とろけそうな笑顔で、娘が迎えてくれた。


「随分可愛い格好だな。」

「美園先生からもらったの。どう?」


「あぁ、とっても可愛い。」

「えへへ。

 ご注文は何になさいますか?」


「カレーを5つお願い。」

「はい!かしこまりました!」


そういって、タタタっと戻っていく。

アップにした髪には縁君からもらった誕生日プレゼントが刺さっていた。



  【突然のお願い】


「おわった~~!」

「お疲れ~~!」


「みんな、お疲れ様、午前より午後の方がずっと混んでたわね。」


「しょうがないよ~、午前じゃおなかすかないもん。」


 まるで戦場のようだったバザーも、やっと終わりを迎えた。

係は一部屋3人だけだけど、出すものは作り置きしてあるカレーとサンドイッチと、後は持ち帰り用のものだけだし、下げてもらうのもセルフだしなんとか乗り切れた。いや、番号札を配ってくれた後輩がいなきゃ回らなかったかな。


「お手伝いありがとう。助かっちゃった。」

手伝ってくれた後輩たちにお礼を言う。


「いえいえいえいえ、とんでもないです!

 お力に慣れて嬉しいです!」


なんだかちょっと興奮している後輩ちゃん。

かわいい。


「それで、あの~~、一つお願いがありまして・・・」


「うん。なに?」


「今日の学芸会、クラスの出し物が皆短くて、時間余っちゃいそうなんです。それで・・・」


「うん・・・・」


「おねがいします! 歌ってください!」

そう言ってガバっと頭を下げられた。



  【歌ってほしい先輩投票がされていた件】


 紗奏と美沙に目をやると、『まいったな~』って顔だ。

前もって言ってくれたら・・・そう思っているのかもしれない。


でも、今日は手伝ってもらっちゃったし、文化祭だし!


「うん。いいよ。なんでもいいの?」


「えっとですね・・・こんなものを取っていて・・・」


そう言って差し出してきたのは、

『歌ってほしい先輩投票結果』、

『歌ってほしい曲投票結果』、

という4人の名前と4つの楽曲名が書かれたバインダーノートだった。


3人でそのノートを見る。


「この3人と、1組の鶴ヶ峰さんね。」

「曲は・・・全部アニソン。」

しかも3曲は同じアニメの一期から三期のオープニングだった。(笑)


ラノベからアニメ化されて、最近人気だから私は知っている。

二人はどうだろう?

顔を上げて二人を見つめる。


「しかたない、可愛い後輩のために一肌脱いじゃおうかな。曲も知ってるよ。」


「そうだね。突然でびっくりしたけど、梨桜が良いって言うならやらないとね~(笑)」


えっと、根拠が私?(笑)


「ありがとう、じゃぁ張り切ってやっちゃいましょう!

 順番は自由でいいの?」


「はいっ!、歌っていただけるなら!」

もう飛び上がらんばかりに喜んでいる。


可愛いな~~。


「二人が良ければ、アタシが最初に行くよ。」

「えっ?いいの?」

「なんて、(苦笑)

 ぶっちゃけ言うとさ、梨桜と紗奏の後でなんて歌えないわ。」


「紗奏、最後で平気?

 私もトリはちょっと自信ない。」


「いいよ!曲目は、あたし二期目の方でいい?」

「うん。美沙ちゃんは?」

「アタシ、三期目のが好きだな。」


「じゃ、都城みやこのじょうさんそれでお願いね。

 あっ!

 鶴ヶ峰さんの方は良いのかな?

 私達曲決めちゃったけど。」


「はいっ!鶴ヶ峰先輩は、多分軽音のグループで歌ってくれると思います。ひょっとしたら自作曲で出てくれるかも、です!」


「お~~!、じゃ、そっちがトリね!(笑)」


「はいっ!」



  【学校文芸会】


 生徒たちが略して『学芸会』と呼ぶこの会も、以前はその名の通り文芸中心の催しを出すのが一般的だった。しかし、世代も変わり今では演芸寄りの催しが殆どになっていた。


 生徒会長、3年の各クラス委員長が、手短にお礼の言葉を述べて開演する。


   ◇ ◇ ◇ ◇


( ( パチパチパチパチ・・・・ ) )


「子供の歌声はいいものですね。」

「ええ。しっかり練習もしてたみたいで。」


 曲の合間合間には、わが子の晴れ舞台を喜ぶ声があちこちから聞こえて来た。


 各クラス10人ほどずつがステージに上がり、今はやりの歌などを披露していく。中にはピアノの伴奏を入れるクラス、リコーダーの伴奏を入れるクラスなどもあり、4クラス12組の合唱が終わると、1時間余りが経過していた。


 そこで一旦休憩時間がとられることとなった。


   ◇ ◇ ◇ ◇


「ねぇ、私達先にやらせてもらっていいかな?」

「えっ?せっかくだから、トリで盛り上げてもらいたかったんだけど、

 なにかまずかった?」


ステージ横の袖兼控室で鶴ヶ峰さんが私たちに申し出てきた。


「まずくはないけど、2年生の合唱も割と静かに聞かせてたじゃん。

 あたし達バンド形式だからさ、掴みで盛り上げようかなって。

 ダメかな?」


「うん、鶴ヶ峰さん達がいいなら、あたし達はいいよ。

 じゃ、美沙が2番手、梨桜が次で、あたしがトリでいい?」


「ありがと。最初に頑張って盛り上げるからさ。」


そんな風に、大トリを任せようと思っていた軽音部の鶴ヶ峰さん達が、最初に出て場を盛り上げることになった。


   ◇ ◇ ◇ ◇

 (ほんの数分前の出来事)


「頼まれたのって、あたし達と3組の例の3人組だって。」

「うん。聞いた~。あたし達がトリでいいんだって。」

「いいのそれで?」

「えっ?なんかまずい?」

「彼女たちの後で歌える?どう考えても歌いにくいと思うけど。」

「そうかな~~?」

「あたしも何となくそれ分かる。

 多分、異様に盛り上がると思うよ、あのルックスだしさ。」

「歌も、めっちゃ上手いって聞いたよ、私。

 一緒にカラオケ行った友達から。」

「一人に何物与えるねん、神様!」


( ( 笑 ) )


「だからさ、前座でチャチャと済ませちゃおう。

 去年も結構盛り上がってくれたし、ね。」


「 「 はーい。了ー解 」 」


軽音部の少女たちの間では、そんなやり取りがなされていたのだった。


お越しいただきありがとうございます。


少し時期が遅れてしまいました。

これから取り戻します。


・・・なんて。

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