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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の3 中学3年生編 (日常)
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2学期中間試験最終日・・・そして。

中間試験も無事終わり、新たなトラブルの発生に・・・

  【試験最終日】


 昨日の夜、あのことをお父さんに相談すると、

 『そう言う事はもっと早く言いなさい』

と注意されてしまった。


 確かに6月の時点で軽く考えずに相談していれば、何か対策を考えてくれたはず。


 反省、反省。

 何事も最初が肝心なのです。


 なんとなく肌にまとわりついてくる『気持ち悪さ』を振り払い、ちょっとだけ気合を入れなおす。


 今日は最後の『英語』だ!



  【紗奏】


 「はーい、そこまで。」


 今日の担当、岸本先生は私たちに試験終了の声を掛けた。


 三日間の中間試験も今日で終わり。


結構な時間二人で勉強したから、手ごたえは悪くなかった。

梨桜と一緒の勉強会は、一人の時とは充実感が違ったから、お互いに良い作用をしあえたのだと思う。


梨桜の方へ眼をやると彼女もとってもいい顔をしている。

手ごたえはあったみたいだ。


あの子は聡い。

やればちゃんと吸収出来る。

ただ、どうも一つ事にはまり込んでいくタイプのようで、効率の良い勉強が苦手なだけなのだと思う。


 彼女が帰り仕度を終えたのを見計らって私は声を掛ける。

 

「梨桜、今日も寄って行こっか?」

「うん。」


後は、いつもの3人だ。


軽くクラスを見回し、いつもの3人を誘う。

土井君はなぜか少し考える風だったけど、結局3人ともOKしてくれた。

明美に目をやると、彼女は軽く手を振っている。

『今日はいい』と言っているようだ。


・・・


 いつもの駅前のカフェ。


 今日は試験終了という事もあり、みんなで少し贅沢をした。

『秋限定のケーキセット』を手に、いつもの窓側の席に陣取る。


「テストお疲れさまー。」

「 「 お疲れ様。 」 」


 そして、試験の話はそこそこに、昨日の件について切り出す事にした。


「ちょっと梨桜のストーカーの件がヤバくなってきたから、みんなに相談。」


「何があったんだ?」


「昨日、自分の机にキスの跡があるのを梨桜が見つけてね、これはさすがに気持ち悪くて放っておけないし。」


「とすると、これまでのノートもそうだし、ひょっとしたら鞄なんかはもっと危ないな。」


そう指摘する安藤君。

確かに。

私のノートだってひょっとしたら梨桜のと間違われて、そう言う事をされているかもしれない。


「う~~・・・」


梨桜が自分の鞄を見つめて唸る。

そりゃ唸りたくもなるよね。


あたしのと交換してあげようかな・・・。

そんなことを考えながら話を続ける。


「中年のおっさんならともかく、同級生の『机』にまで粘着するって、かなりキてるよね?」


「梨桜のだと分かれば、ゴミとかでも持って行きそうだな。」


「ぷっ!」


「・・・ケホッ、ケホッ・・・」


「美沙っ!(笑)

 笑わせないでよ、もう!」


吹き出しちゃったじゃないの!



「この間後を付けてきた生徒と、教室での事が同一かどうかは分からないけど、そういう事なら方法がある。」


「 「 えっ? 」 」

そう、こともなげに言う土井君に私達3人はちょっとびっくりした。


「君たち3人は学校でも特に注目されている。その中の一人がそう言うストーカーのような被害にあっている、と知ったら男子生徒はどう思うだろう?」


「誰だそいつは?許せねぇ!ってなるねきっと?」


「そう。単純に『誰かそういう事をするヤツがいる。誰だそいつは?』って話が出るだけで、おそらくこういう事は消えると思う。少なくても学校では。

 ただ、犯人探しに熱が上がって、別の危険が出てくる可能性もあるから、僕らが梨桜さんと同じマンションに住んでいると言うのを隠すのはやめようかと思う。隠すためには離れて帰らなきゃならないし、そうなるといざという時出遅れる。」


「だよね。バレたらバレたで、そう大したことにはならないと思うし。

 でもいざという時は剣崎さんがいるから、そう心配しないで。」


「それから、梨桜さんが今使ってるノートは新しいものに変えたほうが気持ちがすっきりすると思うし、教科書の方は何なら僕のと交換すればいい。僕のはほとんど新品だから。」


「え~~っと、そこまでする必要あるかな?」


「今はまだ実感としてわかないと思うけど、これからふとした瞬間に、『本やノートに何かされたかも?』って思うかもしれない。そういうのは精神衛生上よくないと思う。まぁ、どうするかは梨桜さんが決めたらいい。」


梨桜は『どうしよう?』という風にこちらを見る。


「本やノートにチューされてるかもしれないんだよ?

 ずっと我慢できる?」


「・・・

 そうだよね・・・。」


「それじゃ、梨桜がそういう被害にあっているってのは、あたしと美沙で誰かに話してみる。それですぐ広まるはず。」


「オーケー。」


・・・しかしそれにしても意外だった。


誰がそんなことをやってるのか?

どうやってそいつを見つけようか?

犯人を見つけたら、ギッタギタにしてやる!


・・・私はそんなことをずっと考えていた。


まさか、男子生徒自身にお互いをけん制させあってやめさせる・・・とは。

警察官の息子だから、『絶対、犯人を捕まえてやる』と意気込み、そのための手段だとか、そう言う意見が出るかと思っていただけにびっくりした。


・・・さて、ちょっとシリアスな話になったことでもあるし・・・


「じゃ、話もまとまったことだし、何かして遊ぼうかー?」


「お~~!」


あれ?梨桜しか返事しない。(苦笑)


「ゴメン、アタシはさ、ちょっと道兼と・・・」


「ゴメン。」


「僕もゴメン、今日は帰ることにする。」


・・・むーー。


「じゃー、今日は二人っきりでどっか行こっかー?」


「うんっ!」


私はちょっとわざとらしく、梨桜をハグする。

(・・・おっ、ちゃんとここも成長しているぞ、梨桜)


「あ、梨桜さん、一つだけ聞いていい?

 このことは、お父さんにはもう話した?」


「うん。」

(しゃべると息が耳にかかってこそばゆい)


私はしょうが無く、梨桜をゆっくりと放した。


「そっか。本間さんとしては、梨桜さんの鞄に小型カメラを取り付けて相手を特定するとか言い出すかもしれないけど、それはやめたほうが良いって言っておいて。」


「小型カメラって! まさか~~(苦笑)」


「いや!、梨桜パパならやりかねない!

 むしろ、やるね!(笑)」


「映っているのが犯人だけならいいけど、見せられないようなものも映るだろうし、そうすると君の沽券にかかわる。」


「あーー! なるほど!

 ウチの学校、スカートは長めと言っても鞄の位置からじゃ、危ないもんね。(笑)」


「いや、みんな上にスパッツとか履いてるだろ?」


そう言って、スカートをぱさぱさする美沙。

あんた、彼氏にドン引きされるぞ!

そう思い、安藤君に目をやると、なんと軽く微笑んでる・・・。

こいつもこいつで、なんなんだか・・・。


「あたし履いてない日もあるよ。」


(あえて煽ってやるっ!)


「私も履いてないよ。」


(っ、あんたはガチでかい!(笑) )


「・・・いやだから、僕たちもいるから、そう言う話はちょっと・・・」


「 「 アハハっ 」 」


ほんとに、このメンバーは何でこんなに居心地がいいんだろう。



  【縁】


 中間試験も終わり、紗奏さんが話があると言うので行ってみると、梨桜さんのストーカー被害についてだった。


みんなでその相談に乗り、僕は一人、部屋に帰る。


道兼は彼女と、梨桜さんは紗奏さんと遊びに出かけた。

僕も誘われたのだが、今日は少し気分がざわついていたので断った。


 試験の緊張もあったのかもしれないし、

 件の女子が絡んでくるのが関係しているかもしれない。


 ・・・いつものように『彼女』の歌を聴くことにする。

 少しざわざわしていた頭の奥の方がすぐに静まってくる。


 あれからも、こうしてたまには『心のざわつき』があるものの、『あの時』のようなことはもうない。


 イヤホンを耳に挿したままクッションを枕にして横になる。


 週明けには試験結果も返されるはずだが、振り返ってみて不安なところはない。しかし、やはり前の学校よりも懐が深い・・・そう思わせる試験内容だった。


普通に授業を聞いていればちゃんと赤点だけは免れるよう丁寧にコントロールされていたように思う。


また、どの教科も『100点が欲しいならここまでやれ!』 

教師のその意気込みが伝わってくるだけの手ごたえもあった。

90点から先はかなり厳しい事になるだろう。


 前の学校は、明らかに進学率を意識した教育方針だった。高学歴は確かに就職に有利なのだろうが、それが果たして社会に出てから何の役に立つのか・・・そんな風に自問自答した時もあった。


 ・・・そうぼんやりと振り返っていると、

 ふいに、窓から入った秋の風が、頬を撫でる。

 静かに睡魔が降りてくると、僕はそのままそれに身を任せた。


おいでいただきありがとうございました。


小さいころから秋というのは物悲しくてあまり好きじゃありませんでしたが、

年を重ねると、この風情がなんとも好ましく感じてしまいます。

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