縁
女子高生がらみの問題も一段落し、
土井署長一家とご飯を食べることになったようです。
息子さんは梨桜ちゃんと同い年なのだとか・・・
【会食の予定】
土井に資料を渡して2週間が経った。
あれから何の連絡もなくて、ちょっと心配になっていたところにちょうど電話が来る。
『おー、遅くなって悪かったな。やっとだいたい片付いたから、今度飯でもどうだ?』
「おう、お疲れさん。ずいぶん掛かったようだが、結果オーライと思っていいのか?」
『あぁ。お前のおかげだ。それでまぁ、飯の時にでも言おうと思ってたんだがな、異動になる。』
「やっぱりな。この4月から来た安藤って人も異動か?」
『ん?、あぁ。そうかあいつの息子はお前んとこの学校だったか。
そうだな。時期はずらすだろうがあいつも異動だな。』
「息子はこっちに残りたいって言ってたから、アドバイスできるならしておいてくれ。」
『・・・まぁ、声掛けくらいならな。
俺たちの子供なら引越しは慣れてるはずなんだが・・・
彼女でもできたのか?』
「娘の友達だそうだ。GWには一緒にキャンプに行った。」
『なるほどな。』
「そういえば、お前んとこの子供はもう高校生くらいだっけ?」
『あぁ、縁か。そう言えば梨桜ちゃんと一緒の年だな。隣の中学の3年だ。』
「なんだ、そうだったのか。それはそれは。
息子も引っ越すんだろうな?」
『そうなるな。
・・・そうだ、飯に嫁と息子もつれていこうかな。
お前も梨桜ちゃん連れて来いよ。』
「お前な。お見合いでもさせる気か?」
『俺が言うのもなんだが、あれは優良物件だぞ。』
「親バカめ。(笑)」
『お前に言われたくはない。』
「お互い様か。
そうだな。それじゃぁ家族ぐるみで飯でも食うか。」
『あれはいつもポーカーフェイスだからな。
梨桜ちゃんを見た時の反応が楽しみだ。』
「娘はやらんよ。」
『ぷっはっ(笑)
それじゃそう言う事で、週末の土曜日でどうだ?』
「OK。予定が変わったらまた連絡くれ。」
『あぁ。それじゃな。』
土井の息子を見たのはかなり前だ。まさか梨桜と同級生だったとは。たしか南署の近くに私立の中学があったはずだから、そこに通っていたのか。・・・越してきて1年だからな。気づかないのも無理はない。
【縁】
今日は父さんに食事に行こうと誘われてる。
こんな事はそうめったにはない。
日曜の夜、久しぶりに早く帰ってきた父さんは、『おそらくまた引っ越すことになる』と僕に言った。
今回は1年ちょっと居られたから、それはまず普通だけど、普通と違ったのは、『お前は残ってみるか』と言ったことだ。
今年は受験もあるから父さんも気を遣ったのかもしれないけど、正直1年居てみても今の学校にそれほど愛着は湧いていないので、僕はどっちでもいいと言った。
(一人暮らしに興味が無いわけじゃないけど。)
それにしても、父さんに仕事以外の友達がいたんだなと、ちょっと感心してしまった。
僕は父さんをものすごく尊敬しているし、実際に凄いと思う。
僕が物心ついてからこれまで、父さんが配属になっている県を離れたことはただの一度もない。だから僕も旅行なんかに連れて行ってもらったことも、もちろんないのだけど、それは望んじゃダメなことだってしっかり分かってる。
よく、仕事を最優先にして崩壊していく家庭が描かれるドラマがあるけど、あんなのは相手の気持ちを汲むことができない作者が作った作り話の部分が殆どだと思う。
『仕事と私とどっちが大事なの!』
・・・こんなことを言う女性が本当にいるとは思えない。
実際にもし家庭が崩壊していくとしたら、それは『仕事を最優先にしているから』じゃなく、他に理由があるのだろう。
母さんも元は女警だったからだけじゃなく、相手のことを尊重できる人だから、父さんがこれだけ留守がちでも、不満を口にしたりしないし、むしろそんな父さんをとても気遣っている。
だから、うちの家庭はたぶん警察官の家庭としては模範的じゃないかと、胸を張って言えるくらいだ。
久しぶりに外食に誘われたからか、そんなことを考えながら、身支度を整える。よそ様と一緒するのだから、それなりに身ぎれいに・・・。
そして、僕は今日もPCで聞いていた音楽のウィンドウを閉じた。
おいでいただきありがとうございます。
どうぞ温かい目で見守ってくださるよう・・・




