密談
調査結果を土井へ渡し・・・
後はまったりと過ごすことに。
【密談】
土井を呼び出し、駅前のファミレスで待っていると約束の時間ぴったりに表れる。
「悪いな、こっちまで来てもらって。」
「まぁこういう流れになるんじゃないかと思ったからな。」
「それで・・・」
土井は周りを見回す。広いホールの方はほぼ満席にもかかわらず、こちらの狭いホール(別にVIPルームというわけじゃないが)には俺たちしかいない。
「人払いか?これは?」
「逆に目立つかね?」
「まぁ、人に聞かれる心配がないからこの方がいいか。
それで、報告書の内容は後で見させてもらうとして、何か言ってなかったか?」
「あぁ、加藤さんの話だと、
〇アルバイトは一線を越えてないとみられる。
〇第三者との直接的な接触はない。
〇利用者はお互いに面識、接触はない。
〇バイトの子は同じ学校だが校外での接触はない。
〇GWの間だけで4人のバイトを確認。
約一週間見た限りではざっとこんなところだそうだ。」
土井は店内の監視カメラの位置を確認して、報告書を指す。
「それで、これがどう繋がると読んでる?」
「ま、俺が言う分には何も問題ないだろうし、お前が考えてることと大差ないとは思うが、
・社員による利用者リサーチ、
・アプリによる携帯への不正アクセスと情報の抜き取り、
・それによってバイトと利用者を結んでる。
それでだいたい説明がつくな。」
「問題はその社員に気取られずにバイトと利用者双方を落とさなきゃならんとこだな。まぁ、これだけ資料がありゃ行けると思うが、押さえるところは押さえておきたい。」
「難しそうか?」
「こういう時のために一人呼んでおいたんだ。そいつに人を用意させる。あいつは社内でも評判がいいからな。あいにく本社対応だ。」
「ただ、利用者でもせいぜい条例違反だろうし、口利きだけだと下手したら罪にも問えんかも知れん。端末は押さえたい所だな。」
「仮に、本人に気づかれて廃棄されたとしても、俺たちにゃ『口利きの事実』だけで十分だ。一般人とは違う。」
「さて、それじゃ飯にするか?」
「いや、悪いがお前ひとりで食ってくれ。俺はこれからすることがある。」
「あぁ、それじゃぁ事が済んだらゆっくり話すとしよう。」
・・・
さて、これでこの件も下駄を預けたし、後の休みはのんびりするか。
【千夜ちゃんのお姉ちゃんについて】
「ただいま。」
「おかえり~。」
「お昼は食べたか?」
「うん。一人さびしく~~。」
そう言って上目遣いで見つめると、頭を撫でられる。
お父さんはとことん私に甘いので、どんどんイケナイ子になりそう。
「それで、何か分かった?」
「えーっと、俺、お前に何の用で出かけるか言ったっけ?」
ぷっ、そんなの言わなくても分かりますよ!お父様。
よほどの用事が無い限り、お休みに私を一人になんてしませんものね。
「能代さんのお姉ちゃんの件だと思います!」
「正解!(ビシッ!)
いい報告ばかりじゃないけど、そんなに悪い報告でもなかったよ。
ほら、これ買ってきたから、お茶にしよう。」
そういって、小さな箱を私に差し出す。
・・・
「まず、
アルバイトの内容は、お前が思っている通りだったけど、救いなのはあくまでもご飯を食べたり、買い物をしたりとそれだけだったという事かな。」
「それで、千夜ちゃんのお姉さんは『後ろめたいことはしていない!』って言ったんだね。私たちにしてみると、どっちにしろショックなんだけど・・・。」
「こういうのは、大人の方のモラルの問題だね。
罰則も厳しいとは言えないから、後を絶たない。
それで、この話はもう少し黙っておいて欲しいんだけど、いい?」
「うん。でもきっと、警察とかが話を聞きに行くよね?」
「たぶんそれも上手にやるはずだから。」
「うん。わかったよ。そんなに長くはかからないよね?」
「長くて2週間くらいかな。」
「長いな~~・・・」
とはいえ、千夜ちゃんの話だともう半年はそのアルバイトを続けてるってことだから、しょうがないか・・・会った時には『心配ないからね』くらい、声を掛けておくことにしよう。
G.W.に入る前、私は千夜ちゃんと一緒に山野辺さん宅にお邪魔して、ちゃんとお詫びをしてもらっていた。それはもう、謝られているこちらが(私じゃないけど)申し訳ないくらいに頭を下げられて、千夜ちゃんも胸のつかえがとれたように見えた。
その時に、お父さんが調べてみてくれるって伝えていたのだ。
ケーキを食べ終え、後片付けをすると、
「さて、だんだん暑くなるからね、早めに夏物でも見に行くか?」
と、また私を甘やかしてくる。(笑)
そんなに甘やかしてばかりだと、私がダメになりますよ?
「去年買ってもらったばかりだよ。(笑)」
「そうか。」
・・・と、なんだかとても残念そうな顔をするお父さん。
「今日はゆっくり本でも読みましょ。
読んでたシリーズがちょうど終わったとこだから、お薦めして?
ん~~、たまには推理ものを読んでみたいな。」
「お、それなら・・・」
と、一冊の本を持ってきてくれた。
うん。お父さんこの作者とても大好きだよね。
ただ、いっぱいありすぎて(100冊くらいある)どれから読んだらいいのかわからなかったので、まだ手付かずだった。
ちょうどいい機会かな。
『容疑者xの献身』
私はワクワクしながらページをめくる。
お立ち寄り頂きありがとうございました。
警察ごたごた編は大体次辺りで〆ることになると思います。
そのあとは、またおたのしみいただけたら・・・と。




