調査報告
娘の友達のお姉さんの調査を依頼し・・・
その途中経過を届けてくれると言う・・・
【G.W.も終わり。】
29日から二泊三日でキャンプを楽しんだ後、2日は家でゆっくりと過ごし、3日からの連休はディズニーランドへ連れていくことにしていた。白石さんはずっと忙しいとの事と、長瀬さんはGW中ずっと温泉に行っている、というので、またまた二人の娘も一緒に連れていくことになり・・・
(なんだか娘が3人になったような気分だ。)
・・・
想像に難くなく、どこのアトラクションも人であふれかえっていたが3人ともとても楽しめている様子だった。
そして、今日はこうして家の湯船に体を沈めている。
大学の飲み会でも、社会人になって古い同級生や会社の同僚と飲んだ折などにも、『女性友達の難しさ』についてはしみじみ聞かされることが少なくなかった。『女性の親友なんてありえない、すべて張りぼて』と、冷たく言い捨てる娘もいた。男女に本質的な違いがあるのかどうかは今になっても私にはよく解らないが、『男性の友達関係はうらやましい』とはよく言われた。
それに引きかえ、あの子たち3人の何とも無邪気で、気を置かずあっけらかんとして付き合う様子を見ていると、へたな男友達関係よりはるかに仲が良いと思う。
安心を通り越し、一周回って不安になってしまうのは、私が臆病だからなのだろうか?
誰か一人にでも何かあると、後の二人のダメージが大きすぎやしないか・・・と。
・・・
さて、頭を切り替えて例の素行調査について考える事にした。
ひょっとすると今日あたり、中間報告があるかもしれない。29日夜の時点で、既に写真が1枚と疑わしき他の女子高生がいたという話だ。GW、友達と健全に遊んでいたならともかく、アルバイトに精を出していたとしたら、とんでもない報告が上がってくるかもしれない。
そしてその流れが今度は中学生の娘たちに向かないとどうして言えよう。
そこであの地域課の巡査長である。
地域課のお巡りさんが、子供の学区のことまで気にするだろうか?
私はそれが引っかかってしょうがないし、土井も何らかの疑いを彼に向けているようだ。警察官が身内を疑うのはタブー視されるというから、よほどのものが無いと切り込めないのかもしれない。
巡回連絡で操作していたタブレット、アレも気になる。
それでなくても装備品の多い制服警官だ。
自転車で回っている彼らにあんなものは非常に邪魔になるはずだし、文字を打っているようにも見えなかった。
あれはアプリを操作していたのではないのか?
土井は女子高生がらみの犯罪を気にしていると言っていた。
だが、本県でそう言う事件は報道にはでていなかったと思う。
とすると、『県民からの情報』という形で警察に上げられ取り組んでいるはずだ。
ここでひとつ疑問になる。
一般の県民から情報が上がる程の件数があれば、それは必ず大小ともかくとして事件になる可能性が高い。
殆どが金銭トラブルに端を発するのだろうが。
それが無い。(あるいは報道はされていない)
また、今までのこういう案件には必ず調整役や斡旋役がいて、顧客管理を行い、そこから足がついて検挙に至る場合も多いはずだ。
管理する側がいないと『商売』になりにくいからだ。
それから、別の例を考えてみる。SNSだ。
SNSを利用して直接やり取りをする大人や子供も増えてきた。
したがって今、警察でも盛んにSNSを巡回して出会い系掲示板の監視を行い、ここから検挙に至る場合も多い。
だが、本県ではそれも表立っては見当たらない、という事だろう。
なんにせよ、今回の調査内容を土井に渡せばそのあたりを炙り出すはずだ。
・・・
久々に思考の海に潜ってしまい、長湯になってしまった。
・・・
「お父さん、お風呂長かったね~」
「あぁ。連休にいっぱい遊んだからな。(笑)」
「マッサージしてあげよっか?
GWありがとうキャンペーン。」
「おぉ。そんなキャンペーンがあったとは!
ありがとう。
じゃぁ、頼もうかな。」
「はーい」
・・・
・・・
・・・
『ブーン・ブーン・ブーン・・・・』
スマホのバイブで起こされる。
どうやらまた眠ってしまっていたらしい。
あの子は、どこかで習ったのかと思うほどイイ所を押してくるのだ。
『もしもし、加藤ですが、明日はお休みですかね?』
「ええ、休みを取って週末まで連休です。」
『では、信濃駅前のスカイ・カナリーに10時でどうでしょう?』
私は一泊考えて・・・
「隣の南信濃駅前の、ロイヤル・オーダーに、その時間ではどうでしょうか。」
『了解しました。では、明日。』
とりあえずひと月の契約だったが、情報が得られたとなるとさすがに連絡が早い。こういう時一般の調査会社であれば、よほどのことが無い限り期間満了を待っての報告になるはずだ。
【加藤元巡査部長の報告】
翌日。
「この連休中に分かったことをこの封筒に入れてありますんで。
それから、この期間中だけで対象が3人増えて4人になってます。ですから増員は計6名という事になります。」
「はい、承知しました。ご協力ありがとうございます。
それで口頭で何かお聞きできることは?」
「ええ、それなんですがね、かなり念入りに調べたんですが、一線は越えてないですな。飯か、買い物か、そんなとこで時間は毎回ピッタリ2時間でした。」
「なるほど、それもまた妙な話ではありますね。」
「ですなぁ。相手は確かにみんな壮年でしたが、それでもそういう事に興味がなくなるような年じゃぁないはずだ。
それからですね、相手の4人に面識はないですな。対象の方は同じ学校ですがね。どうも組織的なものじゃぁなさそうだ。」
「第三者との接触なんかも見当たらないんですね?」
「ええ、全く。」
「ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。」
「ええ、了解です。
ところで、その封筒の中身なんですがね、ほら、アタシら元社員だからひょっとしたらどこかで面が割れてるかもしれんので、どこにも出しとらんのですわ。催促はされましたがね。」
「そうですか、・・・そうですね。私の方から渡しておきます。」
「本間さんはあれですか、お友達のためにここまでなさってる?」
「いえいえ、そうではなくてですね、ウチには中学生の娘がいるんですが、こういう問題が波及してくるのが怖いので、徹底的にやろうと思いまして。」
「そうでしたか。いや、おかげで私らも現役のころを思い出しましてね、緊張感をもってやらせてもらってますよ。
それじゃぁ、今日はこの辺で、失礼します。」
「ええ、引き続きよろしくお願いします。」
・・・
加藤さんが引きあげた後、早速土井に電話を入れてみる。
欲しがっていたらしいからな。
『もしもし、俺だ。どうした?』
署長室は別室だから声は聞こえないはずだが、それでも警戒しているのがわかる。
「あぁ、久しぶりに飯でもどうかと思ってな。駅前のロイヤル・オーダーにいるんだがどうする?」
『そうだな、じゃぁ俺は11時半に出るから、35分には行ける。』
「了解。」
・・・あと1時間ほどある。
とりあえず、娘に電話しておくか。
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