68 ナマケモノ王
「私が、リアさんを止められませんでした」
支店へ戻ってから、聖華さんは同じ言葉を三度言った。
「違います。仕掛けたのはアベル王です」
誠司さんも、同じ返事を三度した。
伶亜さんは壁際に立ったまま、拳を握っている。
アベルの光を浴びて、何も起きなかったのは伶亜さんだけだ。
今、分かっているのはそれだけだった。
加藤君は黒い事務机にされた。
リアはオルゴールにされた。
二人とも、アベルへ逆らった直後だ。
ところが、シミターを抜いて斬りかかった伶亜さんには、何も起きなかった。
聖華さんが、伶亜さんのサングラスをまじまじと見つめた。
「分かりました! 伶亜さんは、王様の目を見なかったんです!」
自信満々だった。
メデューサかよ。
「なるほど、さすが聖華だぜ! だったら次は、光が来た瞬間に目を閉じればいい!」
「ありがとうございます、伶亜さん! 私も名探偵になれるかもしれません!」
そして心眼で倒すんだろ。
少年漫画でも使い古された攻略法だぞ。
「申し訳ありませんが、その可能性は低いと思われます」
胸を張っていた聖華さんを、リーズが静かに遮った。
「アベル王は、目元を覆っている伶亜さんへ、ためらわず光を放ちました。視線が発動条件なら、先に眼鏡を外させるか、少なくとも確認するはずです」
なるほどな。
俺は、そっちでは見ていなかった。
誠司さんが紙へ三人の名を書いた。
「行動の違いはどうでしょう。加藤君は意見を述べ、リアさんは魔法を使おうとした。伶亜さんはシミターを抜いた」
「どれも、アベルからすれば逆らったことになるんじゃねぇか」
「男と女の違いでもありませんね」
加藤君は男。
リアと伶亜さんは女。
性別は関係ない。
「感謝精度は?」
伶亜さんが聞いた。
会合でオウムが読み上げた数字を、誠司さんが書き加える。
加藤君、64。
リア、31。
伶亜さん、44。
「低い方が効かないなら、リアさんではなく伶亜さんだけ無事だった説明がつきません」
感謝精度でもない。
他にも違いはあるはずだ。
だが、当てずっぽうを増やしすぎれば、見えるものまで見えなくなる。
「いったん、ここまでにしよう」
俺は椅子から立った。
「どこへ行くのですか?」
聖華さんに聞かれ、俺は窓の外を見た。
「聖華さん。この国って、何歳だと思う?」
「え?」
「唐突ですね。建国からの年数を聞いているのですか?」
誠司さんも首を傾げた。
「違う。人間にたとえたら、だよ」
「どういう意味ですか?」
「アベルが改革をしたらしいが、その前はどうだったんだろうって思ってね」
「それと、国の年齢に何の関係が?」
「率直に言うと、この国は『ありがとう』って言葉で、全部の問題に蓋をしているように見えちまう」
「僕にも、そう見えます」
誠司さんが静かに同意した。
「けど、それが悪意で作られた国なのか、未完成なだけなのかは別の話だ。俺には、この国がまだ三歳にもならない幼子に見える。ようやく、自分の足で歩き始めたところだ」
「赤ん坊……ですか」
「転んだ理由も、腹が減った理由も分からない。けど、『ありがとう』と言えば立てると思っている」
俺は、感謝裁判でうなだれていた男を思い出した。
「ダリオさんは、本当に悪い人だと思うか?」
聖華さんは、首を横に振った。
「悪いことはしました。でも、ご家族のために、一生懸命働いてきた方だと思います」
「だろうな。あの太い腕を見れば、働いてこなかった人間じゃねぇことくらい分かる」
「それでも、暮らせなかった……」
「だから不正をした。俺たちが見落としちゃいけねぇのは、そこだ。ダリオさんが悪いかどうかだけじゃない。真面目に働いてきた人間が、不正をしなきゃ家族を養えなくなった。この国が、いつからそうなったのかだ」
新しいセレノアは、感謝を看板にしている。
だが、その下には、前王時代の水路が残っている。
「この国の歴史を見に行こう」
*
支店の裏手にある古い鉄扉の向こうは、真っ暗だった。
前に水路の支柱を直したとき、俺が出入りした扉だ。
聖華さんが杖を掲げると、淡い光球が生まれ、濡れた石壁を照らした。
通路は人ひとりが通れる幅しかなく、足元では黒い水が流れている。
「地下へ行けば行くほど、臭くなってませんか?」
俺が聞くと、伶亜さんが鼻を押さえた。
「聞くな。認識したら負けだ」
すでに負けてますよ。
俺も鼻をつまんだ。
リーズだけは顔色一つ変えない。
「前方、20メートル。水門が半開きです」
その言葉とほぼ同時に、腹へ響く音がした。
水門の鎖が切れた。
暗闇の奥から、水の壁が押し寄せてくる。
「戻って!」
聖華さんが杖を向け、半透明の壁を作った。
激流がぶつかる。光の壁がきしみ、彼女の靴が石床を滑った。
水圧に耐えきれず、壁を支える石組みまで崩れ始めている。
俺は、人に見られない角度から壁へ手を差し込み、外れかけた石を押さえた。
聖華さんの魔法が持ちこたえても、通路ごと崩れたら意味がない。
こういうときは、人を支えるより、石を支える方が気楽でいい。
「右上に点検路があります!」
誠司さんが叫んだ。
壁の右手、腰より少し高い位置に、錆びた格子がはまっている。
伶亜さんがシミターを抜き、格子を斬り飛ばした。
リーズが最初に飛び込み、奥の安全を確かめる。
伶亜さんが続いた。
「しげるさん、先に!」
俺は石組みから手を離し、点検口へ転がり込んだ。
続いて誠司さんが入り、内側から聖華さんへ手を伸ばす。
「聖華さん、少しずつこっちへ!」
聖華さんは光の壁を維持したまま、じりじりと点検口へ近づいた。
最後の一歩で床を蹴る。誠司さんがその腕をつかみ、点検路へ引き込んだ。
直後、光の壁が砕けた。
濁流が主水路を埋め、俺たちの足元より下を轟音とともに通り過ぎていった。
「しげるさん、大丈夫ですか?」
「余裕です。くっさいだけで」
俺たちは、地下をなめていた。
古い水路は迷路だった。
王宮の下を抜け、市場の井戸へ枝分かれしながら、農地の外れまで伸びている。
水路沿いには点検用の横道がいくつもあり、その多くが板で封鎖されていた。入口には錆びた工具が置き去りにされ、壁には古い点検表が掛かったままになっている。
壁に掛けられた点検表の最後には、見慣れない日付が記されていた。
『太陽の季節、虹の日』
「これは、ヴァレリア公国では旧暦として扱われている表記ですね」
誠司さんが、日付を指でなぞった。
「ただ、セレノアでは当時も普通に使われていたのでしょう。現在の暦に直すと、去年の夏です」
「わりと最近だな」
「アベル王が即位した時期と、ほぼ重なります」
「もしかして、あいつが王になった日から、点検が止まってんのか?」
さらに奥で、灯りが見えた。
そこだけ、水路とは思えないほど生活臭があった。
小さな炉。干した魚。積まれた本。古い王冠を鍋敷きにして、一人の老人が寝椅子で横になっている。
「待っておったぞ」
老人は、目を閉じたまま言った。
「俺たちが来ると知っていたんですか?」
「いや。客が来たら、一度言ってみたかっただけじゃ」
「誰が来ても?」
「誰が来てもじゃ。こう言えば、何やらすべてを見通した王らしかろう」
意味はねぇのかよ。
伶亜さんがシミターの柄へ手を置いた。
「あんた、誰だ」
「先王じゃ。名はオルフェン」
俺たちは、そろって言葉を失った。
先王が、すさまじい悪臭の地下水路で、王冠を鍋敷きにして昼寝している。
「民はわしを、ナマケモノ王と呼んでおったがな」
老人はようやく目を開けた。
「アベル王は、あなたがここにいることを?」
「知らん。退位した日に国外へ出たことになっておる。王座を譲り、表から消えた。昼寝は反逆にならんからの」
「なぜ、ナマケモノ王と呼ばれているんですか?」
「わしがナマケモノだからじゃろうな」
先王は炉の火を見た。
少し間を置いてから、ぽつりと付け加える。
「少なくとも、民にはそう見えておるんじゃろう」
「それでいいんですか?」
「よい。何も期待されん」
こちらが名乗ると、先王は火に薪を一本足した。
「ダリオ・バスクを知っていますか」
誠司さんが聞いた。
「知っておる。若いころから、水路の荷運びをしていた。字は下手じゃが、どの水門が何世帯を食わせるかは覚えておった」
「裁判では、感謝を偽造した詐欺師だと」
「それも本当じゃろう」
先王は魚を裏返した。
「人間は、一つ悪いことをすれば、それまで働いた20年が消えるのかの」
誰も答えなかった。
「アベルは、苦しんでいる者を救った。わしにはできんかったことを、ずいぶんやった。腹を減らした子へ、その日のパンを渡した。病人へ薬を届けた。だから民は、あやつを選んだ」
炉の火が、老人の頬を赤く照らす。
「だが、あんたは、そのパンと薬を作ることを怠らなかった」
「ほう。豚どの、どうしてそう思うのじゃ?」
また豚かよ。
「この水路だよ。点検は止まっているが、今も街へ水を流している。何もしなかった王の国に、こんなもんが残るかよ」
「これを作ったのは、わしだけではない。わしの祖父のころから――いや、そのずっと前からじゃ」
先王は、炉へ薪を一本くべた。
「この国は、二つの強国に挟まれておる。戦が起きるたびに通り道にされた。勝とうとすれば国が消える。どちらかにつけば、もう一方に焼かれる」
ただのナマケモノに、そんな国が治められるのだろうか。
もしかすると、何もしないように見せることが、この国を残す唯一の方法だったのかもしれない。
「アベルは、『ありがとう』という国債を発行して、あんたたちが蓄えてきたものを放出しているように見える」
「面白い表現じゃの。豚どの」
先王は、しばらく黙って炉の火を見つめた。
地下を流れる水の音だけが聞こえる。
「わしは明日の飯を守ろうとして、今日泣いている者を救いきれなんだ。あやつは今日泣いている者を救うために、明日の飯まで使うた」
先王は、足元を流れる水へ目を落とした。
「どちらが正しいのかは、わしにも分からん。ただ、この水路は感謝されなくても直さねばならん。礼を言われんでも、畑は耕さねばならん。国とは、そういう面倒なものじゃ」
聖華さんも、先王の視線を追った。
足元では、水がゆっくりと流れている。
「アベルさんは、どうして感謝を集めればパンを買える仕組みにしたのでしょう」
「感謝が人を働かせ、その働きが、また誰かの感謝を生む。そうして国が巡ると考えたのじゃろう」
感謝循環システムか。
着眼点は面白い。だが、実際に働いてみれば、穴だらけだった。
「でも、こんな無茶な仕組みに、なんでみんな従ったんだ? 反対したやつもいたんじゃねぇのか?」
「最初から、今の形だったわけではない」
先王は、炉の中の薪を動かした。
「始まりは、腹を減らした者へパンを配ることじゃった。次に、人を助けた者の感謝を記録した。それを食事や薬と交換できるようにした。民は喜んだ。変わるたびに、暮らしがよくなるように見えたからの」
いきなり国を作り替えたわけじゃない。
一つずつ、正しいことを積み重ねた。
気づいたときには、感謝なしでは暮らせない国が出来上がっていた。
「それでも、こんなルールには付き合いきれねぇって、俺なら国を離れるかもしれねぇ。誰も国を捨てなかったのか?」
「捨てた者もおる。じゃが、畑と家族と、先祖の墓を置いてどこへ行く。国を捨てるというのは、門を一つくぐるほど簡単ではない」
「国を出ようとした人を、アベルさんは止めなかったのですか?」
聖華さんが尋ねた。
「知らん。そもそも、逃げる必要があると民が思うておるかも分からん」
「飢えた日にパンをくれた王じゃ。多少腹が減ったくらいで、民はすぐに疑わん。明日のパンがなくなったと気づくころには、今日もらった恩の方が重くなっておる」
「では、あなたはどうしてここにいるのですか」
誠司さんが尋ねた。
「亡命するでもなく、アベル王へ逆らうでもなく。王座を譲ったあとも、この国へ残った理由です」
「民がアベルを選んだからじゃ」
先王は、あっさりと答えた。
「わしは王座を譲った。じゃが、譲ったからといって、何が起きても知らぬ顔をして逃げてよいことにはならん。あれを王に選んだ民と、王座を渡したわしには、最後まで見届ける責任がある」
「それは、本心からですか?」
「さてな。責任という言葉を使って、逃げる勇気がないだけかもしれん」
この爺さんは、何もしてこなかったんじゃない。
何もしないという選択を、続けてきた。
ナマケモノ王と揶揄されても、なお。
先王オルフェンの判断が正しかったのか、俺には分からない。
けど、少なくとも、自分が何を守れなかったのかは分かっている。
「もう一つ、聞きたいことがある」
「はて?」
先王が首を傾げ、続きを促した。
「外国の商会がセレノアに支店を出した場合、王の許可なしで閉じられるのか?」
誠司さんが、はっとしたように顔を上げた。
すぐに荷物から、支店契約書の写しを取り出す。
なるほど。
そいつを持参していたってことは、誠司さんも、俺が疑っている線に気づいていたらしい。
先王は契約書を受け取り、一度読んだだけで閉鎖条項を指した。
「閉じられる。おぬしらの組織なら、おぬしらの決裁でな。王の許しはいらん」
「アベル王になってからも?」
「この国の旧法でも、新しい登録書でも同じじゃ」
「始めるときには王国の承認が必要なのに、終わらせるときには必要ないのですか?」
聖華さんが聞いた。
「出ていくこともできぬ国へ、外国の商人が店を出すと思うか?」
先王は欠伸をした。
「国が商いを認める代わりに、商人は国の法へ従う。じゃが、撤退する権利まで王へ渡すわけではない。それが昔からの決まりじゃ」
「役所が、王の承認が必要だと言い出したら?」
「そのときは、この契約書を見せればよい。少なくとも契約を交わした時点では、王の許可など必要なかった。あとから法律を変えても、交わした契約までなかったことにはできん」
先王は、契約書を指で軽く叩いた。
「捨てるでないぞ。王が法律を自分の都合で変え始めたとき、紙一枚が剣より強くなることもある」
始めるには、王の承認がいる。
だが、終わらせるのは、こちらの決裁だけでいい。
俺は、その言葉を頭の中でもう一度転がした。
「しげるさん?」
「いや。まだ足りねぇ」
「何か分かったのですか?」
「分かりかけただけだ。決めつけるのは早い」
帰り際、先王が俺を呼び止めた。
「豚どの」
「なんですか」
「アベルを嫌うておるか」
少し考えた。
「嫌いになるほど、まだ分かってません。だから5です」
「なんじゃ、それは」
「こっちの話です」
*
地上へ戻ると、支店の扉に新しい封書が挟まっていた。
二度目の会合への招待状。
今回の参加対象者は、誠司さん、聖華さん、リーズ、俺。
前回は外されていたリーズと俺が入り、伶亜さんの名前だけが消えている。
シミターを抜いたから外された。普通なら、そう見えるだろう。
けど、おいおい。
招待状に答えまで書いちまったらダメだろう。
『ヴィスブリッジの正式な所属者に限る』
「ビンゴだな」
「もしかして、しげるさん。先ほどオルフェン前王へ質問していたのは……」
誠司さんの言葉に、俺は小さくうなずいた。
「しげるさん、何がビンゴなんですか? 皆さんは分かっているのですか? 私だけ分かっていません」
「あたいもさっぱりだ。もうちょい丁寧に説明してくれ」
「あ、すまねぇ」
俺は少し考えてから、聖華さんへ向き直った。
「聖華さん。知らねぇおっさんから、いきなり『ひざまずけ』って言われたら従う?」
「従いません」
「それは、そいつの命令に逆らったことになる?」
「え? いえ……。そもそも、従わなければならない理由がありません」
「このからくりは、つまりそういうことなんだよ」
命令は、口から出せば成立するものじゃない。
命令する側にその権限があり、相手がそれを聞く立場にいて、初めて「命令に逆らった」という関係が生まれる。
「少なくとも、アベルの能力ではそうなんだ。先に、あいつの命令を聞かなきゃならねぇ立場へ入っている必要がある」
俺は招待状を机へ置いた。
「加藤君とリアは、ヴィスブリッジの社員だ。セレノアに置いた支店を通して、アベルの管轄へ入っていた。だから、あいつの意思に反した瞬間、『逆らった』と判定された」
「でも、伶亜さんは……」
「そう。伶亜さんにはねぇんだよ。アベルとのつながりが。ここの正式な社員じゃねぇからな」
聖華さんが、はっとした顔で伶亜さんを見た。
「私が何度誘っても、断られました」
「寄り道しただけだからな」
伶亜さんは、いつもの言葉で答えた。
「社員じゃねぇ。支店にも所属していない。つまり、アベルは伶亜さんの王じゃなかったんだ」
だから、シミターを抜いて斬りかかっても、光は何も変えられなかった。
あれは反逆ではない。
ただの部外者からの攻撃だったのだ。
そして二度目の招待状には、わざわざ答えが書かれている。
『ヴィスブリッジの正式な所属者に限る』
誠司さんが、ゆっくりとうなずく。
リーズは静かに目を閉じた。
ヴィスブリッジは、セレノアへ正式に支店を置いた。
俺たちの名前も、王国の登録簿へ載っている。
「招待状と伶亜さんの一例だけでは、まだ証明できません」
「そのとおり。これは、まだ仮説だ」
特記事項は、無条件で一方的な力じゃない。
強い力ほど、発動するための条件がある。
以前の敵もそうだった。
力を吸い取るには、先に嘘を見破られる必要があった。
アベルも同じだとすれば、筋が通る。
『逆らった者』を『檻』へ入れる。
だが、誰でも檻へ入れられるわけじゃない。
最初から奴の管轄にいない者まで、『僕へ逆らった者』にはできない。
「支店をこの国へ置いたことで、俺たちは自分から、あいつの力が届く場所へ入っちまった」
始めるにはアベルの承認がいる。
終わらせる権利は、こちらにも残っている。
そうでなければ、こいつは契約にならない。
ただのハメ技だ。
それでも、まだ足りない。
支店を閉じれば、本当に光を防げるのか。
すでにオブジェにされた加藤君とリアまで戻るのか。
そこは、まったく分かっていない。
「どうやって確かめるのですか?」
聖華さんが聞いた。
「確かめにいく必要はねぇよ」
俺は、招待状に並んだ四人の名前を指で叩いた。
「あいつは次の会合で、正式な社員だけを呼んだ。光が効かなかった伶亜さんは外した。俺とリーズは嫌われているのに、社員だから呼ばれた」
「なら、次に何を要求してくるかを見れば……」
「奴自身が、勝手に答えを教えてくれる」
支店を閉じるというカードは、まだ切らない。
切れることすら、悟らせない。
アベル。
お前の鎧、ここからきっちり、一枚ずつ剥がさせてもらうぜ。




