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迷宮マスター  作者: 藤井ことなり
第2部 ロイヤルブルーの秘宝
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久しぶりの謁見 4

 中身が神話時代の女王だと知っているからいいんだが、はたから見ていると18歳の少女が大の大人に命令している風景なので、オレの感性だと奇妙に映る。


「さて、本題だ。財団の真の目的である[王国の至宝]を見つけだすことだが、今のところ有力な情報は無い。

 そこで従者サーチに取りに行かせたのがこの道具(アイテム)いや魔宝具(アーティファクト)だ。[解呪(ディスペル)]」


 シックスが持っている手のひらサイズの秘宝箱が開く。


 そして中からこぶし大の水晶玉を取りだす。


「ふむ、間違いなくあやつの魔宝具だな。従者サーチよくやった、誉めてつかわす」


「そりゃどうも。で、それはなんだい──ぐあぁぁ、……なんなんでしょうか」


「古(いにしえ)の大預言者グレーテ・テラリスの魔宝具で、現代風にいえば[覗き見道具]というところかな。

 グレーテ自身は今で言う超能力者でな、透視や遠視さらに予知能力があった。

 それをこの魔宝具で能力を最大限に使えるようになり[大預言者]の二つ名を持つようになったのだ」


「ということは、それを使えば何処にあるのか分かるということか」


「その予定だったのだが……」


 シックスが水晶玉をしげしげと眺め、ふうとため息をつく。


「むつかしいな。あやつの持ち物だけあってマナは大量に詰まっているのだが、現代は世の中に魔素が全然無い。いちど使い切ってしまえばそれっきりになるかもしれん」


「使い切ったらそれはどうなるんだ」


「従者サーチにぶつけるだけの、ただの水晶玉になる」


「ぶつけんな」


「さてどうしたものやら……、ん? ふふ、さすがはグレーテ、先読みができてるな」


「どうした急に」


 シックスがテーブルの上に置いた秘宝箱を指差す。


「この箱は魔素を吸収してマナにして溜めるための魔法具だ。水晶玉のマナを使い切ったらこれに入れればいいらしい」


「ふ~ん……で、魔素とかマナってな……何でございましょうか」


 さすがに連続で心臓を締めつけられたら多少は懲りる。


 ディフィとバトラスがにやにやしてるのはムカつくが、いたしかた無い。


「魔法を使うときに必要な魔力がマナで、動物植物鉱物に宿っている。

 そのマナは空気中に含まれている魔素が蓄積されてできるものだ。

 私の生きてた時代では当たり前のようにあったので魔法使いが普通にいたのだが、どういうわけか現代では殆ど無い」


「シックスのそれは魔法なのか」


「いちおうな。カタチを変えたがこのヘアバンドは、あのティアラよ。そしてこれもマナを蓄積する能力がある」


 言われてよく見ると、ヘアバンドの中央にはあの赤い宝石が付いていて光っていた。


「ふむ、となると……」


 シックスが水晶玉を顔の高さに持ってくると、ヘアバンドの宝石がチカチカと点滅しはじめる。そしてしばらくすると点滅が止まり、輝きつづける。


「よし、うまくいった。ティアラからもマナを送れるようになったぞ。セバス、バトラス、部屋を暗くせよ」


 理事長室窓側にかかっている分厚いカーテンをセバスが引き、薄く点いていた明かりをバトラスが切る。夕闇くらいの暗さになると、シックスが水晶玉を見つめながら唱える。


「……偉大なる大預言者グレーテ・テラリスが使いし魔宝具テレクリアン、我が名はシックス、我の呼びかけにこたえよ、これと対なる至宝の在り処をさがし示せ……」


 そのあと聞いたことない言葉をつぶやきつづけ、ヘアバンドと化したティアラの宝石から赤い光線が水晶玉に放たれ、水晶玉から一筋の白い光が放たれる。その光は壁に当たる。


「バトラス、印をつけよ」


「は」


 バトラスが印をつけたのを確認すると、水晶玉からの光は止まり、赤い光線も止まっていた。


「ふう、思ったよりマナを使わなかったのは幸いだな。バトラス、地図を持て。そしてここを起点に水晶玉と印を繋いだ方向に何があるのか調べよ」


「は」


  セバスさんがメジャーを使いテーブルから印までの角度を調べ、バトラスが緯度経度を検索してイーストリア大陸の地図に線を引きそれをプリントアウト。それをシックスの前に持ってくる。


「この線上にあるということだな。誰か心当たりはないか」


 全員が地図を覗きこみ、それぞれ意見をいうが、さすがにこれだけでは分からない。


「他にヒントはないのか」


「ヒントになるか分からぬが、水晶玉に青のイメージが浮かんだのと、かなり遠かったような気がする」


「となると……、この辺りかな」


 シックスの言葉にボゥロが指したのはイーストリア大陸の東端で[ソーゲン村]から北北東辺りにある小さな村だった。


「ここか」


「何がある」


「リゾート地だよ。[青の洞窟]といって目の覚めるような青い海が見える洞窟があって、観光やダイビングスポットとして有名だ。カーリン州のところだ。ただ遺跡だの伝承だのは無かったと思うが……」


「ふむ。まあとりあえず調べてみるか。バトラスは情報収集を。ボゥロとディフィは現地に行き調査をするように」


「あ、あたしもですか」


「カメレオン亜人の痴れ者の調査、あれの出来が良かったからな。期待している」


 アンから離れたくない、けど命令はきかなければ。悩んだ末、ディフィは調査に行くことにした。

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