↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮マスター  作者: 藤井ことなり
第1部 女王の帰還
PR
18/42

覚醒その5

「アリントよ、痴れ者を連れてまいれ」


 復旧作業を止めたアリント達が、わらわらと辺りを動き回る。


 額から生えてる触覚がピクピク動くが、どうにも探しあぐねているようだった。


「やっぱり逃げたかな」


「ふむ、──いや、何処かにいるな。逃げることはないだろう」


「どうしてそう思うんです」


 なんか知らず知らず敬語使っちゃうな。


「あの者は私をアリントの子孫、なんと言ったかな──そうそう異能力者(ジーン・ホルダー)と勘違いしていたからな。私が生きていると知ったのなら手に入れようとするはずだ」


自分の考えに自信があるのか、アンもしくは女王はジョンからの返事を待つ。すると、


「はん、どうやら意味のない小芝居ではなく、本当に女王の人格が宿っているようだな」


 目の前にジョンが急に現れた。


「ふむ、どうやらずっと近くに居たようだな」


 驚くオレとは対照的に動じない女王、それを見て憎たらしい顔でニヤニヤするジョン──あれ? ジョンてこんな顔だっけ?


 たしか金髪の爽やかな好青年というイメージだったはず……。


「──ふむ、どうやら異能力は《《姿を隠すこと》》のようだな」


「まあな。で、決闘の話だがもちろん断る。理由はオレ様にメリットが無いからだ」


「では手ぶらで帰るか。そういう性格(タチ)でもなさそうだが」


「決闘などせず、小僧をシメて女王を拐うという手もあるが」


「それは悪手だな。アリントに囲まれている以上、それはできまい。自分は姿を隠せても従者や私は隠れぬぞ」


「やってみせようか」


「それも一興だな」


 互いに一歩も引かないまま、しばらく互いに睨み合う。


「はん、わかったよ。決闘を受けてやる。ただし条件を上乗せしてもらう。オレ様が勝ったら、あんたとお宝をもらおうか」


「ほほう、ずいぶんと上乗せしたな。あらためて言っておくが、私はアリントの子孫ではないぞ」


「それでもアリを操れるんだろ。話から察するにオレ様たちの子孫にも操るってこったな」


「絶対嫌っ!!」


 今のは間違いなくアンの言葉だな。


「サーチ、こいつ等の話に乗らないでよ。ジョンは間違いなく殺人未遂の現行犯なんだから。私への暴行未遂もあるしね、警察に突きだせばいいのよ」


「威勢がいいな。だがある意味密室状態のダンジョンでは、証拠がない限りそれは無理だぜ。ボゥロも言ってたろ、ダンジョンの中はある意味治外法権だ。そこにいるメンバーの意見で決まるんだぜ、ってな」


 その言葉を聞いてオレは、ずっともっていた違和感が形をなしていくのがわかった。


 アンとはずっと手を握っている。ジョンに分からないようにアンの手のひらに親指で丸を書く。


「ジョン、さっきから女王と話を進めているが、対戦者はオレなんだぜ。オレの意見もきけよ」


「必要あるか? オレ様に殺されて終わるだけだろうが。小僧の意見なんて意味ねぇよ」


「いいからきけよ。たしかにお前の異能力─メレオだったか? あれで暗闇でも見えるお前となら互角だ」


「バカか。同じ見える立場でもオレ様の方がはるかに強いんだよ」


「たしかにな。だからハンデをくれ。それなら決闘を受ける」


「ハンデだと」


「ああ。ひとりパートナーが欲しい。姿を隠せて土砂崩れからも逃れられる異能力を相手にするんだ、それくらいいいだろ」


 なるべく普通に話したつもりだったが、裏があると感づかれているようだ。


 ジョンは慎重に考えをめぐらせている。


「……いいだろう。ただしパートナーからアリと女王は除外だ。それなら受けてやる」


「そのふたりはダメなのか」


「当たり前だろ。さあどうする」


「ボゥロは怪我をしているから問題外、ディフィはアテになるが暗闇では見えない。オレとくっついて戦えば、かえって互いにジャマになるんだ。アリントか女王ではダメなのか」


「だからダメなんだよ。他のにしな」


「……わかった、その条件でいい」


 この会話の間、アンには時々丸を書いてサインを送っていた。伝わってくれよ。


「ならパートナーは──アンだ」


「女王はダメだって言ったろうが」


「だからアンだよ。一緒に戦うんじゃない、声援が、応援がほしいんだよ」


「はあ?! ……イヤだね。断わる。小娘の声を聞いて暴走されたくないんでな」


「そうか、アレが怖いんだな。それが訊きたかった」


「小僧」


「女王、聞いてのとおりだ。条件の上乗せ分、オレはパートナーとしてアンと戦う。ただし戦闘行為、声援、応援は無しだ」


「ふむ。私もそれが妥当だとおもう。ジョンとやらそれでいいな。でなければアリントとともに徹底的に戦うことになるが」


 たしかにそれがこちら側の勝利条件だろう。


 だがジョンは《《アリントにすら分からないように姿を消す》》。


 こちら、特にアンに被害が出る可能性が高い。だから位置を把握できる決闘を選んだのだろう。


 しかし今さっき降臨して状況を把握し、こちらに有利になるよう交渉するなんて、普通ムリだろ。


 何者なんだ、この女王様は。


 いつの間にかじょわじょわ言いながら囲んでいるアリントを見て、ジョンはしぶしぶ条件を受け入れた。

お読みいただきありがとうございます。


励みになりますので、ブックマークの追加


PRの下にある、いいねとスターポイントで応援


できれば感想もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。