第62章
すべてが、どこか不謹慎なほど順調だった。
訓練を終えた夕方、東塔に座りながら、彼はそう感じている自分に気づいた。
国境は不穏だが燃えてはいない。聖騎士団の密偵は捕らえた。国庫は日に日に確かな回復の兆しを見せ、諸家は腹を立てながらも、以前より慎重に話すようになった。メラトは最初の台帳を提出し、橋の精神的存在についてはもう争っていない。エストレンの目は自国内に向いている。魔法は身につき、飛行は身体の一部になりつつある。リラが傍らにいる。シアナもいる。マルヴェインでさえ、危険であるより役に立つことのほうが増えた。
順調すぎる。
こういう時は、たいてい厄介事で終わる。
以前の人生なら、そんなことを考えたあと、電子郵便、銀行口座、健康、車、仕事、扉の錠を確認しただろう。こちらでは確認すべきものがもっと多い。国境、聖騎士団、諸家、国庫、玉座、捕虜、領界、魔法、自分の身体。
それでも機会がある間は、自分に楽しむことを許した。
完全に気を緩めるのではない。
楽しむのだ。
彼はついに、新しい身体へ根づいた。
他人の服のような身体へ慣れたのでも、人前でうまく着こなせるようになったのでもない。
本当に根づいた。
翼はもう独立した課題ではない。尾も余分な手足ではなくなった。爪は従順に引っ込み、書く邪魔をしない。力は使うたび恐ろしく感じるものではなくなった。今も加減は必要だが。魔法も決壊した堤から噴き出す水ではなく、ようやく最初の水門を得た大河のように流れていた。
身体は自分のものになった。
それは奇妙なほど素晴らしかった。
内側の人間だった部分が、時折それを疑い深く眺める。早すぎる。都合がよすぎる。心地よすぎる。それでももう、翼は他人のものだ、尾も、力も、この宮殿も他人のものだと、説得力をもって言うことはできなかった。
すべてが故郷になったわけではない。
だが、多くのものが彼のものになった。
その夜、彼はまた尾で杯を取った。
今度は、わざと見せつけたわけではない。
ただ、できるからだ。
卓につき、マルヴェインの新たな報告書を読みながら、尾を伸ばして杯を上げ、一口飲み、ほとんど文章から注意を逸らさず元へ戻した。
向かいに座るリラが言った。
「それをする回数が増えていますね」
「微細な協調運動の訓練だ」
板の置かれた棚の前にいたシアナが、即座に顔を上げた。
「はい。実際、それは……」
リラが彼女を見る。
シアナは黙った。
「続けろ」と彼。
シアナは恥ずかしそうにしながらも、口を開いた。
「本当に有益です。尾の運動能力は飛行時の均衡と、背中の魔力回路の一部に繋がっています。細かな動作は全体の精度を上げます」
彼は勝ち誇ってリラを見た。
「ほら」
「二人とも、見せつけたいだけの行為を科学で正当化しようとしているのが見えます」
「成功したか?」
「残念ながら」
尾は、最初に思っていたより遥かに興味深いものだった。
昼は均衡、武器、掴むこと、合図、追加の支点。物を拾い、扉を押さえ、落ちる本を受け止め、誰にも気づかれず椀を近くへ寄せる手段にもなる。
夜は、まったく別だった。
それは少しずつわかった。
初めからではない。最初は偶然だった。リラがシアナの両手を押さえている間に、尾が彼女の腿の間を滑った。シアナがあまりにも激しく身を震わせたので、彼は動きを止めた。彼女は赤くなり、顔を隠そうとした。もちろん、リラが許さなかった。
「どうした?」と彼が尋ねる。
シアナは黙っていた。
今度は意図して、尾でもう一度触れた。
小さく、途切れた声が漏れた。
リラが彼を見た。
次にシアナを、そして尾を見る。
微笑んだ。
「興味深いですね」
シアナは目を閉じた。
「そういう言い方をしないでください」
「なぜ?」
「二人とも興味を持つからです」
「もう持ちました」とリラ。
尾が持つのは、力と把握力だけではなかった。ひどく正確に動かせる。温かく、柔軟でもある。身体を押さえるには十分強く、傷つけないだけの慎重さも持つ。もともと制御されることに、痛いほど甘く反応するシアナにとって、それは驚きだった。
とても甘い驚きだ。
初め、彼女はそれを神経の感受性と、尾の動きが悪魔の支配知覚へ結びついていることから説明しようとした。だがリラが両手で彼女の手首を包み、彼が尾で腿の内側をなぞると、シアナは説明の途中で話を見失った。
「続けろ」と彼。
「私……何の話をしていたか、わかりません」
「神経の感受性だ」
尾がさらに上へ滑る。
そして、内側へ入り込んだ。
シアナが震えた。
「はい。それです」
リラが彼女の耳へ唇を寄せた。
「感受性は確認できたようですね」
シアナは、腹を立てたような呻き声を漏らした。
「二人ともひどいです」
「はい」リラは平然と答えた。「でも役に立ちます」
彼は笑った。
夜には、それが新しい遊びになった。
毎回ではない。
だが多くの夜に。
ことにシアナには。尾が手首や足首へ巻きつき、脚を必要な位置へ保ち、肌を滑り、内側へ入り、両手が塞がっている時でさえ支配されていると感じさせると、彼女は恥じらった。それは今も残る彼女の羞恥には、あまりにも露骨で、あまりにも悪魔的だった。
だからこそ気に入った。
認めるまでには時間がかかった。
当然ながら。
初めて本格的にそう過ごした夜のあと、シアナは二人の間でまだ震えながら言った。
「これは……珍しい感覚です」
リラが指で彼女の髪を梳いた。
「『珍しい』では、ずいぶん弱いですね」
「正確に言おうとしています」
「いいえ。気に入ったと言わずに済ませようとしているのです」
薄暗がりでもわかるほど、シアナは赤くなった。
彼は尾で彼女の足首を少しだけ締めた。
ごく軽く。
彼女が身を震わせる。
「気に入りました」囁くように言った。
「もっと大きな声で」とリラ。
シアナは睫毛を伏せた。
「気に入りました」
「よし」と彼。
尾は足首を解き、その一瞬後には柔らかく腿の上へ置かれた。
シアナは、それが約束であるかのように息を吐いた。
リラも尾を評価した。
ただし別の形で。
三人の遊びにどう使えるかを、彼女はすぐ理解した。シアナを押さえ、近くへ引き寄せ、隠れさせず、翼を固定し、姿勢を導く。時には自分で尾を手に取り、シアナの反応を見たい場所へ置いた。ひどく危ういほど自然だった。リラは彼の新しい能力を受け入れるだけではなく、自らの支配へ編み込んでいった。
だがリラ自身のこととなれば、好みは明らかだった。
ある時、もう答えを理解しながら、それでも彼は尋ねた。
「好きか?」
その時、尾は彼女の脚に巻きつき、大きく開いたまま保っていた。彼女は彼の下に横たわり、熱を帯び、暗い目で見上げている。
リラの顔に笑みが浮かんだ。
「はい」
「だが?」
「でも、内側に入るのは尾ではないほうが好きです」
隣に横たわるシアナが、笑いを押し殺したような音を漏らし、すぐ赤くなった。
彼はリラを見た。
「率直だな」
「率直にお尋ねになりましたから」
「何がいい?」
リラは欲望を隠さず、彼を見上げた。
「あなたです」
シアナは両手で顔を覆った。
リラは振り向きもせずに言った。
「手を下ろして」
シアナは手を下ろした。
彼は笑い、それからリラが望むものを与えた。
そんな夜の翌朝は、奇妙に始まった。
夜にシアナの両手を押さえていたリラが、朝には同じ手で宮殿衛兵の配置換えに関する命令書へ署名する。彼も、すべてを終えたあとでアズガルと向かい合い、攻撃を急回避する時に尾で均衡を取りながら、身体は本当に自分のものになったのだと考えることができた。
順調すぎる。
その考えが戻ってきた。
それでも、厄介事はまだ訪れなかった。
密偵は抵抗してほとんど話さなかったが、聖騎士団が大規模攻撃を準備しているのではなく、まだ国境を探っていると確かめるには十分だった。ベラルは騒いでいるが動いていない。アルヴェルは慎重だ。エストレンは新王のことで手いっぱいだった。
国庫が救われたわけではない。影の諸家は今も、計算もでき、殴ることもできる玉座とどう争えばいいのか探っている。
だが、もう奈落へ落ち続けてはいなかった。
ほとんど奇跡だった。
もちろんシアナは奇跡とは呼ばず、「高い危険を残したままの初期的な資金流動安定化」と呼んだ。
彼は「国庫が全身の穴から同時に血を流すのをやめた」と呼んだ。
リラは、彼の表現のほうが真実に近いが、命令書には使うべきではないと言った。
マルヴェインは、噂になら使えると言った。
そうした。
週末には、君主が「国庫の最初の傷を縫い合わせ」、今は誰が傷口を開いたままにしようとしたのか見ている、と宮殿中で囁かれていた。
「お前か?」と彼はマルヴェインに尋ねた。
「一部は」
「よい噂だ」
「励んでおります」
「詩的すぎる」
「宮殿は血と金と比喩を好みます」
「宮殿は狂っている」
「悪魔の宮殿ですから、君主様」
それが別のものなのか、彼にはもう自信がなかった。
ある晩、彼は一人で東塔へ上がった。
完全に一人ではない。リラは彼の居場所を把握しており、衛兵も下にいた。それでもシアナも、教官も、アズガルも、絶えず何かを評するマルヴェインもいなかった。
縁に立ち、下を見た。
以前ほど、縁に拒まれる感覚はなかった。
人間の記憶は今も知っている。高い。失敗は危険だ。落下は死を招く。
だが、その知識の隣には別のものがあった。
翼は空気を知っている。
完全にではない。
それでも恐怖だけで縁から退かずに済む程度には。
彼は飛び降りなかった。
怖かったからではない。
今日は、その必要がなかったからだ。
それもまた、新しい制御の形だった。
塔を降り、リラとシアナが待つ私室へ入った。
卓上には本、財務数字を記した板、葡萄酒の杯、小さな果物用の短刀が置かれていた。
彼は尾で短刀を取り上げ、暗い色の果実を丁寧に一切れ切り、口元へ運んで食べた。
リラがシアナを鋭く見た。
「これから毎回やりますよ」
少し間を置いて、シアナが言った。
「役に立ちます」
リラはため息をついた。
「あなたが甘やかしたのです」
「いいえ。もともとこういう方でした」
彼は尾で杯を持ち上げた。
「異論のある表現だな」
「見せたがり」とリラ。
「ああ」
彼は一口飲んだ。
そして初めて、内側の人間だった部分が同じことを言っても、反論しなかった。
どうやら、その部分も気に入ったらしい。




