第55章
その夜、彼は暗い窓硝子に映る自分の翼を長く見つめていた。
見惚れていたのではない。
観察していた。
以前、翼は新しい身体の一部にすぎなかった。巨大で、不便で、強く、彼には馴染みのない意味で美しいもの。だが今は、別のものになっていた。
悪魔であることの象徴でも、扉を通る時の問題でもない。
可能性だ。
片翼を上げ、ゆっくり開く。付け根に残る疲労を感じた。身体は消耗しているが、壊れてはいない。魔力回路は低く震えていた。初めて訓練した頃のように、内側の魔力が外へ飛び出そうとはしない。魔力もまた新しい道を与えられ、その感触を確かめているようだった。
人間の部分は遠ざかっていた。
その考えがまた戻ってきた。
消えたわけではない。元の世界を今も覚えている。時には古い上着と携帯電話をしまった箱を開ける。濡れた舗道の匂いも、手に提げた袋の冷たさも、電池の切れかけた携帯電話への苛立ちも思い出せた。
だが、もうその記憶が中心ではなかった。
以前は、新たな世界が以前の人間へ侵入してきた。
今、その人間は新たな生き物の内側にある根になりつつある。
深く。
大切で。
それでも、もはや木のすべてではない。
それを悪いことだとは、正直に言えなかった。
扉が静かに叩かれた。
「入れ」
先にリラが入ってきた。
そのあとにシアナ。
彼は振り返った。
シアナはもう仕事用の測定板を持っていなかった。それだけで多くを物語っている。リラは暗い夜着をまとい、髪を下ろしていた。眼差しは穏やかで温かい。三人で初めて過ごした夜のぎこちなさは、もう二人の間になかった。もちろん、シアナは今も恥ずかしがる。おそらく世界が終わる日にも、誰かに真正面から見つめられれば赤くなるだろう。それでも今は、羞恥に足を止められることはなかった。
リラが扉を閉めた。
「今日は初めての降下に成功しましたね」
「公式の祝辞か?」
「いいえ」
シアナが小さな声で加えた。
「とても上手でした」
彼は彼女を見た。
シアナは三秒近く、その視線に耐えた。
それから赤くなって目を伏せた。
「もう少しで自信ありげに言えたな」
「練習中です」
リラが近づいた。
「今夜は本のことを考えなくてもいいのです」
「シアナも同意しているのか?」
シアナがわずかに頭を下げた。
「はい。データ処理は朝でもできます」
リラが片目をつぶった。
「自分から言いましたね」
「はい」
「進歩です」
シアナはさらに赤くなった。
彼は静かに笑った。
そして、二人とも欲しいのだと気づいた。
空から、高みから、人間の記憶が透き通っていく静かな歓喜から戻ったばかりだった。だから今は、二人を通して地面を感じたかった。
最初に理解したのはリラだった。
彼女は近づいて口づけると、すぐシアナへ場所を譲った。
シアナがためらったのは一瞬だけだった。
それから爪先立ちになって彼女も口づけた。リラより不器用で、柔らかく、今では彼女の味わいとなった内側の震えを伴って。
彼は二人を寝台へ連れていった。
夜はゆっくり始まった。
飛行のあとで身体は疲れていたが、欲望は疲労より深いところから湧いていた。リラは余計な力を使わせないよう助けた。寝台の中でさえ、彼女は助言者だった。シアナは初め慎重であろうとして、翼へ視線を走らせ、背中は痛まないかと何度も尋ねた。ついにリラがその両手首を押さえて言った。
「今は診察ではありません」
シアナは息を吐いた。
「はい」
「では、彼を見なさい」
シアナは彼を見た。
そのあとは、三人がすでに見つけた道を進んだ。
初め、リラは好みどおりに彼女を押さえた。両手首を掴み、ほとんど磔にするように。シアナは彼の視線の下で震えたが、以前のような恐慌はもうなかった。彼はリラにするより慎重に、ことに日中の疲労を考えながらシアナを抱いた。それでも十分深く、彼女の声が途切れ、満たされすぎた感覚に目が潤むほどに。
リラは見ていた。
やがて彼は、彼女も引き寄せた。
押さえるだけの役には残さなかった。
今夜は二人とも必要だった。
シアナが傍らでまだ激しく息をつく間、彼はリラを抱いた。さらに強く、慣れたやり方で、深く。リラは声も、独占欲も、喜びも隠さなかった。空から、塔から、シアナから戻った彼が、それでも誰よりよく知る力で自分のもとへ戻ってきたことへの喜びを。
そのあとは、決まった順序もなく三人が入り交じった。
シアナがあまりにも慎重に翼へ触れたため、それは不意に耐えがたいほどの感覚になった。彼はもう一度、今度はもっと大胆に触れさせた。リラは彼女の髪へ笑いかけながら、その手を導いた。シアナは赤くなったが、従った。
飛んだあとは、何もかもが鮮明だった。肌、呼吸、隣り合う二人の身体の重み、翼に残る柔らかな疲労、リラの髪の香り、シアナの熱い羞恥、暗い窓硝子。その向こうには塔と空がある。
やがて彼自身にも絶頂が訪れた時、それは空から身体へ戻るようだった。
重く。
生々しく。
そのあと、三人で横になった。
リラは左肩に。
シアナは右側の少し下に寄り、今も掌で翼の付け根に触れていた。
「痛みますか?」と小さく尋ねる。
「いや」
「もし痛くなったら……」
眠そうなリラが言った。
「シアナ」
「何です?」
「明日です」
シアナはしばらく黙った。
「はい」
彼は口元を緩めた。
「先延ばしを覚えたか?」
「いいえ。ただ、すぐ口にしないこともあると学んでいます」
「大きな一歩だ」
暗がりの中で、彼女は微笑んだ。
リラが彼の胸を掌で撫でた。
「今日は本当に飛びましたね」
彼は天井を見た。
「滑空した」
「いいえ」とリラは言った。「飛んだのです。まだ短い時間だけですが」
少し間を置いて、シアナも静かに言った。
「はい。飛びました」
彼は目を閉じた。
身体の内側には、まだ風があった。




