第54章
数日後、彼はついにシアナを折れさせた。
力でも、命令でもない。
忍耐でだ。
ほとんど笑い話だった。影の君主、悪魔の身体、膨大な魔力、玉座、軍、諸家、国境。そのすべてを持ちながら、彼は数日かけて、恥ずかしがりながらも「駄目です」の一言でアズガルさえ黙らせる研究者一人を、慎重に説得し続けたのだ。
初日、彼女は言った。
「駄目です」
「東塔について聞いているだけだ」
「駄目です」
「もう城壁より高く飛んだ」
「練兵場で、です。防護陣の内側で、落ちても中へ戻れる状況でした。塔は別です」
「地平線まで飛ぶつもりはない。円を描いて滑空し、練兵場へ降りるだけだ」
「『だけ』という言葉のあとには、たいてい壁の修理が必要になります」
その時、リラが静かに言った。
「あるいは君主様の」
シアナは測定板で彼女を指した。
「そのとおりです」
二日目、彼は風の計算を持ってきた。
シアナは検算した。
三つの誤り、一つの不整合、それに彼女が「自信過剰な詩」と呼ぶ一項目を見つけた。
三日目、彼は計算書ではなくアズガルを連れてきた。
だが予想より効果はなかった。アズガルがこう言ったからだ。
「可能だ。ただし教官をつける」
シアナは、アズガル自らが彼女の正しさに署名したかのような勝ち誇った目で彼を見た。
「聞きましたね? 教官付きです」
「反対していない」
「怪しいです」
「学んでいるんだ」
隣に立つリラが淡々と付け加えた。
「ますます怪しいですね」
結局、すべての条件が決まった。
東塔。天候の確認。飛行経路上に三つの安全用の陣。練兵場に二つ。空中には軍の飛行教官二人。シアナは下で測定板を持ち、リラは塔に残り、アズガルは練兵場で待つ。グロムは見学を許されたが、着地まで発言禁止。
最後の条件は三度繰り返さなければならなかった。
教官の名はラハテンとメヴァルだった。
最初、彼は二人を兄弟だと思った。
実際、同じ暗い岩から切り出し、そのあと少しだけ違う形に磨いたような二人だった。長身で肩幅が広く、大きく力強い翼と長い尾を持つ。若い悪魔たちに、なぜ空は驕りを許さないのか説明し慣れた専門家の、落ち着いた顔をしていた。
ラハテンのほうがわずかに肩が広く、顎も重い。短い角はこめかみからほぼまっすぐ後方へ反っていた。メヴァルは少し細身で、縦に長く見える。角は細く、やや高い位置へ伸び、左右への開きも緩やかだった。違いは小さいが、並んでも完全に同じには見えない程度には明瞭だった。
体格はアズガルよりも彼に近い。あれほど密度のある身体ではなく、より細長いが、決して華奢ではない。地上での動きにさえ、飛ぶ者らしさがあった。体重を配分し、いつでも翼を開けるよう保つ習慣だ。
服装もほぼ同じだった。丈夫な暗色の脚衣、腿と脛の柔らかな防具、胸と腰を渡る幅広の帯。背中は翼のために開いている。帯には留め金、短い安全環、細い信号索、飾りのない短刀、印を打った平たい金属板がいくつか下がっていた。余分なものも、光るものもない。軍人らしい美しさを見せる服ではなく、高度と風と落下のための装備だった。
二人は、称号に必要なだけ深く頭を下げた。宮廷じみた甘さはない。
気に入った。
「君主様」ラハテンが言った。「今日するのは飛行ではありません」
「シアナから聞いた」
「なら、もう一度申し上げます。今日は滑空です。高度を上げない。城壁の外へ離れない。翼の限界を試さない。風を感じたいからと加速しない」
メヴァルも加えた。
「『もう少し』と思ったら、ただちに降下してください」
彼は眉をひそめようとした。
「練習したのか?」
「はい」とラハテン。
「シアナと?」
「はい」
隣に立つシアナは、まったく恥じ入らなかった。
「正しい指示です」
「陰謀のように聞こえる」
「陰謀です」とリラが言った。「限界を試したがるあなたへの陰謀です」
彼はリラへ視線を移した。
彼女は静かに見返した。
塔の風が髪を揺らし、暗い外套の布が身体に沿う。光に少し目を細めていた。止めようとはしなかった。もう、しなかった。ただ傍らに立ち、最初の一歩を見届けようとしている。
遥か下には練兵場があった。
遠すぎる。
初めて塔へ来て縁に立った時にも、そう感じた。
高さ。
本物の高さだ。
地面がまだ近く、安全用の刻印も足元に見える広い練兵場の城壁や、訓練で上がった程度の高さとは違う。塔は内側の裂け目と宮殿の屋根を見下ろして立ち、東側は外の斜面へ開けていた。眼下の練兵場は着地点ではなく、石に描いた図のように見えた。
悪魔の確信より先に、人間の記憶が叫んだ。
踏み出すな。
単純で、荒々しく、原始的な警告。
縁から足を出すな。
人間に翼はない。
人間にとって、落下は終わりだ。
彼は立ち尽くした。新たな背中は翼を、風を、空間を、身体の下へ敷かれようとしている魔法の支えを感じている。それでも古い人間の部分は踵を石へ食い込ませ、高すぎると訴えた。
すぐには決心できなかった。
ラハテンとメヴァルは黙っていた。それでいい。下にいるアズガルも、おそらく黙っている。シアナは測定板に跡がつくほど強く握りしめているだろう。
リラが近くへ寄った。
触れはしない。
ただ隣に立った。
「怖いですか?」と静かに尋ねた。
彼は口元を歪めた。
あまり愉快ではない笑いだった。
「人間の部分は、この考えを馬鹿げていると思っている」
「悪魔の部分は?」
彼は翼を広げた。
風が翼膜を渡り、身体は歓喜に近い反応を返した。
「立ち止まりすぎだと思っている」
リラは彼の肩を軽く撫でた。
「では、両方で話をつけてもらいましょう」
彼は下を見た。
練兵場。
陣。
着地点の端に立つ、小さなシアナの姿。
その隣のアズガル。
さらに離れた場所には、どう見てもアズガルの視線に発言を封じられているグロム。
二人の教官はすでに翼を開いていた。ラハテンが先に、落ち着いて、ほとんど気だるげに空へ踏み出す。メヴァルが続いた。二人は大きな弧を描いて降下し、それから少し横へ上がり、伴走する位置についた。
時間だ。
彼は息を吸った。
ただ一歩。
足元から世界が消えた。
一瞬、人間の記憶が絶叫した。
次の瞬間、翼が空気を捉えた。
魔法が身体の下へ敷かれ、落下が移動へ変わる。真下ではない。前へ、そして下へ。制御された動きだ。風が顔を打ち、外套が後方へ引きちぎられそうになり、翼が張りつめる。だが揺らがない。練兵場が巨大で緩やかな弧を描きながら近づいてきた。
彼は滑空していた。
それだけで、歓喜が静かに、ほとんど音もなく湧き上がった。
ついに、創られたとおりのことを成し遂げた身体の、静かな歓喜。
ラハテンが左斜め上を飛ぶ。
「左翼をまっすぐ!」
彼は修正した。
右のメヴァルが言う。
「補助を足さないでください。速度は適正です」
足したかった。
とても。
風が生きていたから。身体はもっとできると、すでに理解していたから。塔は背後へ去り、恐怖が空間への飢えに変わっていたから。
それでも足さなかった。
下では、シアナが陣の傍らに立っている。これほど高くからでも、彼女の緊張が見えるような気がした。
リラは塔に残っている。
なぜか、その視線を背中に感じた。
最初の大きな旋回は乱れなく終わった。
完璧ではない。旋回を抜ける時に少し流され、尾の動きが遅れ、左翼がまた角度を変えようとした。ラハテンが鋭く何かを叫び、メヴァルが流される先を塞ぐ。彼は姿勢を戻した。
二周目は、さらによかった。
練兵場が近づく。
恐怖は完全には消えなかった。
だが透明になった。
光へかざした古い布のように。
自分を外から見ているようだった。巨大な翼、暗い身体、角、尾、皮膚の下にある魔法の影。まだ完全には従わないが、すでに彼を認め始めた空気。そのすべての下には、店の袋を提げて濡れた舗道を歩き、残量九パーセントの携帯電話と、パンとチーズと卵を持っていた人間がいる。
今も内側にいる。
だが遠ざかっていた。
消えたわけではない。
さらに透明に。
さらに静かに。
彼の中の人間は、もう肩を掴んで縁から後ろへ引こうとはしなかった。少し離れた場所に立ち、人間にはできなかったことを彼が成し遂げるのを見ているようだった。
それを悪いことだとは思えなかった。
怖かった。
そうだ。
だが、悪くはない。
「着地!」とメヴァルが叫んだ。
彼は集中した。
翼を広く。速度を殺す。魔力を一度に切らない。脚を下へ。尾を後ろへ。角の生えた石弩のように石床へ突っ込まない。
練兵場が一気に迫った。
彼は重く、それでも両脚で着地した。
一歩。
二歩。
翼は開き、息は乱れ、足元の石は無傷だった。
倒れなかった。
翼も折らなかった。
安全用の陣は薄い輪郭を一度光らせただけで、消えた。
成功だ。
沈黙は一秒続いた。
そしてグロムが、ついに叫んだ。
「よし!」
アズガルは止めなかった。
真っ先に駆け寄ったのはシアナだった。
「翼は!」
「無傷だ」
「私が確認します」
「もちろん」
彼女はもう調べ始めていた。指が翼の付け根から背へ、魔力回路の線へ素早く走る。顔は青ざめ、目は燃えていた。
「痛みは?」
「ない」
「痙攣は?」
「ない」
「胸部回路の圧迫は?」
「中程度」
「『中程度』ではなく、尺度で答えてください」
彼は彼女を見た。
「シアナ」
彼女は息を吐いた。
そして突然、彼の胸へ額を押しつけた。
一秒だけ。
手順から完全に外れた行動だった。
すぐさま離れ、自分で自分の罪を取り押さえたかのように真っ赤になった。
その頃には、リラも内側の通路を使い、普通のやり方で塔から降りてきていた。足取りは速いが、走ってはいない。近づくと、彼を、翼を、シアナを、教官たちを見た。
「生きていますね」
「しかも無傷だ」
「そのほうがいいです」
ラハテンとメヴァルも隣へ着地した。
ラハテンが頭を下げた。
「初回の降下、成功です」
メヴァルが加えた。
「誤りはあります。ただ、初回としては非常によい出来でした」
彼は短く頷いた。
「ありがとう」
二人の教官は平静に受け止めた。
宮廷じみた甘さはない。
さらに気に入った。
最後にアズガルが近づいた。
「今後は反復が必要だ」
シアナが勢いよく振り向いた。
「今日はしません」
「今日はしない」とアズガルも認めた。
「明日の朝もです」
「夕方なら、あるいは」
「アズガル」
「あるいは、と言った」
グロムが満足げに言った。
「俺なら今すぐ、もう一度やる」
全員が彼を見た。
「黙る」
グロムは言ったが、もう遅かった。




