第44章
昼食後、彼はまた中庭で訓練した。
国境からの知らせを聞いても、力は静まらなかった。
むしろ逆だ。
聖騎士団がどんな悪事を仕掛けてくるか考えるたび、回路の中を流れる影は勢いを増した。シアナは何度も訓練を止め、力を逃がし、初めからやり直し、呼吸を整え、胸の回路を開かないよう彼へ命じた。
「お怒りですね」
三度目の衝撃を失敗したあと、彼女が言った。
「驚きだな」
「怒りは一撃の威力を上げますが、狙いを定めるには邪魔です」
傍らで見ていたアズガルが言う。
「いつもとは限らない」
シアナが振り返る。
「訓練では、いつでもです」
アズガルはしばらく黙った。
「訓練では、そうだ」
彼は標的へ向き直った。
今度は、標的の一部が標的のまま残った。
シアナは成功として記録した。
「『一部は標的のまま』が、正式な結果なのか?」
「今週のあなたについては、はい」
壁際で最新の国境報告を読んでいたリラが、顔も上げずに言った。
「進歩です」
「今日は全員、ことさら優しいな」
シアナは彼を見上げた。
「爆発してほしくありませんから」
「感動的だ」
「実務上の判断です」
夕方までに、彼は魔法陣についてさらに二章を読んだ。
理解できたのは、およそ半分。
その半分のうち、三分の一は重要そうで、三分の一は当然の話、残り三分の一は未来の読者を心底軽蔑している者が書いたとしか思えなかった。
彼は余白へ書き込んだ。
リラが目にする。
「『著者は性悪』ですか?」
「学術的評価だ」
「シアナが喜びますね」
「分類表に加えさせろ」
夜は、ますます実験になっていった。
シアナはいまだに『実験』という言葉を、そう呼べば起きていることが多少は上品になるかのように口にした。リラはまったく恥じらわず同じ言葉を使い、それがシアナをさらに困らせた。
初めて三人で過ごした夜のあと、何も変わらなかったふりはしなかった。
変わったのだ。
リラ自身がシアナを連れてくる夜もあった。シアナが本当の診察に来て、それが少しずつ診察だけではなくなる夜もある。影の放出、手の位置、呼吸、制御の度合い、封印の安定性についての話から始まり、最後には、そのすべての言葉があまりにも文字どおりの意味を持つ夜もあった。
リラは、自分が抱かれることだけを好むのではないと、すぐに悟った。
支配することも好きだった。
特に、シアナを。
会議の席では、そんなことはできないからだ。
本人も望んでいながら、まだ羞恥の陰へ隠れようとする、その境目に留める。そして、もう一度そこへ逃げ戻ることを許さない。
シアナも、それが好きだった。
すぐには認めなかった。
初めは反応で示した。リラに手首を押さえられたときの震え。彼の目を見るよう命じられたとき、乱れる呼吸。何度か命令されたあとでなければ出てこない、小さな願い。
やがて、言葉でも。
あまりにも小さな声だった。
それでも、言葉にした。
「押さえてもらうと、楽なんです」
ある激しい夜のあと、二人の間に横たわりながら、シアナが言った。
「怖くなるのに、楽で」
リラが眉を上げた。
「矛盾しているわ」
「違います。正しい怖さなら、手をどこへ置くか、自分で決めなくてもいいから」
彼は笑った。
リラは、新しく便利な道具を手に入れたような目でシアナを見た。
「では次は、手の位置から始めましょう」
シアナが赤くなる。
「そういう意味ではありません」
「まさに、そういう意味よ」
そして翌晩、リラが正しかったことがわかった。
そのあとシアナは、これは服従ではなく、『感情的な負荷へ安全に耐えるための外部構造』と表現すべきだと、長々と説明しようとした。
彼がそれを聞くあいだ、リラは指の跡が薄く残る手首を、無言で撫でていた。
「つまり、押さえられるのが好きなんだな」
シアナは睫毛を伏せた。
「はい」
「なら、いい」
「ですが、学術的な記述まで否定されるものではありません」
「誰もお前から表を奪ったりしない」
「ありがとうございます」
リラが静かに付け足した。
「燃やしたほうがいい表もありそうだけれど」
「だめです」
シアナは即答した。
彼とリラは、同時に笑った。
そんな夜は、奇妙な均衡の上にあった。
昼は、国、国境、聖騎士団、国庫、諸家、諸領界の君主への書簡、魔法、書物。
夜は、身体、力、信頼、嫉妬、支配、羞恥、欲望。そして、まだ名を知らず、そもそも名づける必要があるのかもわからない、三人の間の新たな秩序。
リラは、最初の女であり続けた。
称号でも、公的な地位でもない。ただ、彼女がそこにいるという事実として。昼は彼の右に、夜は傍らにいる場所は、シアナが二人の間へ加わっても消えなかった。おそらく、だからこそ自分のものを差し出す恐れなしに、シアナを部屋へ連れてくることができたのだ。
シアナは、どこまでもシアナだった。
夜の翌朝、一言で赤くなっても、一時間後には、メラト家が死んだ橋を使って、倉庫三棟とまともな道一区間を造れる額を盗んだと容赦なく証明できる。夜はリラの視線に震え、昼はアズガルと議論した。
そうして、さらに数日が過ぎた。
国境では動きがある。
聖騎士団の沈黙は、あまりにも雄弁だった。
国庫は回復の最初の兆しを見せている。
諸家も、新たな玉座には古い権利ではなく、有用性を語らねばならないと学び始めた。
メラト家は、見せしめとして最初に締め上げられた家になった。滅ぼしたわけでも、引き裂いたわけでもない。締め上げたのだ。ほかの家々が理解するには、それで十分だった。シアナは数字を持ち、リラは法の形を見つけ、マルヴェインは噂を運び、君主は署名する。
疲弊した七つの地域から、徴収圧が下がったという最初の報告が届いた。うち二人の徴税官は、一部を隠そうとした。ほとんど即座に見つかった。一人は解任。もう一人は監査下へ置いたままにした。背後に地方の家門がいるため、誰が助けに走るか見届けるほうが有益だと、リラが判断したのだ。
彼も、そのやり方を理解し始めていた。
網が見えるなら、すぐに糸を切らない。
それでも、胸の内には不安が残っていた。
最初の成果は、まだ勝利ではない。
国庫は、立ち直る可能性をわずかに示しただけ。
国境は、新たな君主が現実の存在だと理解し始めたばかり。
聖騎士団は、最初の本当の一手を前に、息を吸い込んでいるだけだ。
ある夕方、地図の前で彼は言った。
「軍がいる場所には来ない。少なくとも最初からは。なら、こちらが弱く見えるところを叩く」
マルヴェインが頷く。
「はい」
「減税した貧困地か?」
「挑発はありえます」
リラが続けた。
「あるいは、あなたの慈悲が混乱を招いたと見せかける」
アズガルは言った。
「国境の砦だ」
シアナは静かに。
「補給です」
彼は四人全員を見た。
それぞれが、自分の知る痛点を挙げた。
そして全員が正しい。
「なら、全方面で備える」
彼が言うと、マルヴェインは満面の笑みを浮かべた。
「国家統治へようこそ」
「もう標的を壊す仕事へ戻りたい」
シアナが厳しく言う。
「監督下でのみです」
リラも付け足した。
「城壁は避けてください」
アズガルはベラルの地図を眺めながら、考え深げに言った。
「壊してもよい壁もある」
シアナが憤然と振り向く。
「始めないでください」
いつから扉のそばにいたのかわからないグロムが言った。
「俺は壁に賛成だ」
リラは片手で顔を覆った。
彼は笑った。
地図、噂、債務、国境、これから受けるであろう攻撃。そのすべてに囲まれながら、その瞬間、不意にはっきりとわかったからだ。
彼にはもう、玉座だけがあるのではない。
傍らにいる者たちがいる。
危険で、奇妙で、頭が切れすぎ、自分の欲望には正直すぎ、あまりにも悪魔らしい者たち。
彼の仲間だ。
聖騎士団が何か悪事を企むのなら、相手にするのは異世界から来た孤独な人間ではない。
新たな君主一人だけでもない。




