第41章
半刻ほどして、女祭司が連れてこられた。
もう背中を押されることはなく、自分の足で歩いていた。簡素な灰色の服をまとい、髪をまとめ、顔色は青白い。だが、死者のように強ばってはいない。儀式のあと、確かに彼女の中で何かが変わっていた。
ほんのわずかに。
信仰ではない。それは消えていない。憎しみでもない。そちらも健在だ。
変わったのは、眼差しの向かう先だった。
以前は、自分が正しいことの証明を見るように、彼を見ていた。今は、気に入らない問いを見る目をしている。
彼女の前へ、水が置かれた。
すぐには座らなかった。
彼も急かさない。
「座れ、エリアナ」
彼女は動きを止めた。
名は術師から聞いた。光の女祭司、エリアナ・レヴェ。『女祭司』でも、『囚人』でも、『殺しに来た女』でもない。名前だ。
予想していなかったらしい。
その動揺は、彼が思った以上にはっきり見えた。肩がわずかに震え、視線を覆っていた鎧が、一瞬だけ外れる。
「なぜ、私の名を知っているの?」
「術師が話した」
「話すべきではなかった」
「あいつがすべきでなかったことは多い。たとえば、俺の世界へ来ることだ」
彼女は座った。
「わざと名前で呼んだのね」
「そうだ」
「なぜ?」
「聖職の下に、まだ名前が残っているか確かめるためだ」
エリアナの指に力が入った。
「捕虜になっても、聖職を剥がされることはないわ」
「それなら結構。聖職の下には、名を持つ捕虜がいるわけだ」
彼女は一瞬、顔を背けた。
「何が望み?」
「聖騎士団が定めた期限まで、あと数日だ」
目が上がる。
「知っているのね」
「多くのことが耳に入る。権力の厄介なところだ」
「聖騎士団は来るわ」
「かもしれない」
「私を助けに」
「かもしれないな」
「術師を助けに」
「かもしれない」
「あなたを殺しに」
彼はわずかに頷いた。
「それはほぼ確実だ」
彼女は嘲りを待っていた。
彼は与えなかった。
「聖騎士団が来ても」
彼は続けた。
「何もない場所へ踏み込むわけではない。国境では備えが進み、裂け目は点検されている。お前たちの術師は、覚えていることをすべて書いている。お前の儀式は妨げられずに終わった。遺灰の瓶は手元にあるか?」
彼女は警戒を深めた。
「ええ」
「なら、いい」
エリアナは、以前と変わらない不愉快なほど入り混じった憎しみと困惑を向けてくる。
「なぜ聞くの?」
「置いておけと命じたからだ」
「命令が変わったかもしれない」
「変えることはできた。だが、変えていない」
彼女は黙った。
またしても、その頭では整理がつかないのだろう。絶対悪とやらも、戯れに儀式を許すことはあるかもしれない。嘲るために遺灰を残すことも。だが、下の者が命令を勝手に曲げていないか、わざわざ確認まではしない。
「公正な者に見せようとしているのね」
やがて彼女が言った。
「違う。俺は一貫していようとしているだけだ。『公正』は高価すぎる言葉で、簡単に盗まれる」
「光は――」
「光はもう盗んでいる」
彼女は勢いよく背筋を伸ばした。
「侮辱しないで」
「するとも。喜んでな。お前たちの光は『未来』という言葉を奪い、刃に変えた。『慈悲』という言葉を奪い、自分たちがふさわしいと認めた者にしか使わない。『純潔』という言葉を奪い、汚れ仕事を覆い隠した。俺の信仰を踏むなと言いたいのか? 遅い。お前の信仰のほうが先に、槍を持って踏み込んできた」
「また、その話」
「もちろんだ。俺たちの素晴らしい友情は、そこから始まったからな」
「友達ではないわ」
「ほら、意見が一致することもある」
エリアナは怒りを込めて見ていたが、以前のような一枚岩の壁ではなかった。儀式のあと、その気配には折れかけたものがある。ただし、折れてはいない。亀裂は彼女を弱くしたのではなく、生きた人間にした。
「あの二人を弔わせた」
彼女は静かに言った。
「ああ」
「本当は、なぜ?」
「もう答えた」
「もう一度、答えて」
彼は椅子の背へ身体を預けた。
「生前に愚かだったからといって、死者を屑のように扱うべきではないからだ。お前に儀式が必要だったから。敵の一人ひとりを、お前たちの説教を裏づける証拠に変えてやるのは得策ではないから。それと、もう人間ではないと決めつけられた者たちの中で、人間として生きるのがどういうことか、覚えているからだ」
エリアナの顔から血の気が引いた。
最後の言葉は、深く届いた。
「今のあなたは、人間ではない」
「そうだ。おかげで皆にとって都合がいい。お前たちは悪魔を憎める。悪魔たちは俺に悪魔らしい判断を期待できる。諸家は、人間だった部分がどこで終わり、どこから君主が始まるかを推し量れる。一方の俺は、国境の砦へ送る穀物の量を考え、なぜ貧しい土地が富裕な家より重い税を払うのか調べ、魔法で自分の城壁を壊さずに済む方法を学んでいる」
彼女は瞬いた。
「城壁?」
「訓練中だ。壁は傷ついたが、生き延びた。政治上の幻想には、生き延びられなかったものもあるがな」
彼女は笑いたくなかった。
実際、笑わなかった。
だが一瞬だけ、人間らしい反応が内側で起きかけ、それを押し殺したように顔が変わった。
彼は気づいた。
そして追いつめなかった。
「国を気にかけているのね」
問いではなかった。
前にも見せた、同じ驚きの口調。ただし今度は、もっと静かで、深い。
「ああ」
「なぜ?」
「今は俺が責任を負っているからだ」
「悪魔は――」
「また始めるのか?」
彼女は唇を引き結んだ。
「光の敵よ」
「そうだ。それから納税者で、兵士で、書記で、鍛冶師で、子供で、老人だ。家があり、都市がある。卑劣な者もいれば、誠実な者もいる。愛せとは言わない。角の生えた恐怖そのものだと思うのをやめれば、それで十分だ」
「私に、光を裏切れと言うのね」
「違う」
それは予想外だったらしい。
「違う?」
「裏切りから、まともな思考が生まれることは少ない。たいていは、盲信を一つ捨てて別の盲信へ移り、その速さを自慢するだけだ。俺はお前に考えてほしい。本当に考えた末、なお光の側に残るなら――少なくとも、それはお前自身の選択だ。神殿の美辞麗句で編まれた首輪ではない」
エリアナは長く黙った。
やがて尋ねる。
「それでも私が光を選んだら、どうするの?」
「わからない」
「都合のいい答えね」
「だが正直だ。前にも言った。殺すこともできる。閉じ込めておくことも、交換することもできる。解放もできるが、それはおそらく最も愚かな選択だ。利用することもできるが、どう使うかはまだ決めていない。それに、いずれお前が単なる捕虜ではなく、都合よく切り捨てられない証人になるという、厄介な可能性もある」
「何の証人?」
「世界は、お前たちの説教より複雑だということの」
彼女は彼を見た。
あまりにも長く。
「それでも、あなたは悪よ」
ようやく言った。
「かもしれないな」
「でも……」
そこで言葉を止めた。
彼は待った。
「でも、私たちが教えられたような悪ではない」
その一言を口にした自分自身を憎むかのようだった。
彼はゆっくり頷いた。
「まずは、そこからだ」
「何も変わらないわ」
「それは嘘だ」
彼女は顔を背けた。
「房へ戻りたい」
彼は立ち上がった。
「エリアナ」
また名前で呼ばれ、彼女は身を震わせた。だが、前ほどではない。
「遺灰の瓶は、そのまま持っていろ。俺の命令なしに誰かが触れたら、知らせろ」
「誰に?」
「衛兵に。リラに。届くなら俺に」
「あなたに守ってほしいと、私が頼むと思う?」
「いや。守りは、約束された場所とは別のところから来ることもある。それを認めるのは不愉快だろうと思っただけだ」
彼女は何も答えなかった。
「知っているか。俺のいた世界にも、神殿や騎士団に似たものはある」
「それが何?」
「よく似ているからこそ、『自己成就する予言』が何かも知っている」
彼女は瞬いた。
「じこ……何?」
「知らないのか?」
返事はない。
彼は鼻を鳴らし、少し黙った。それから片手を上げ、爪を伸ばす。
「ここに予言がある。暗黒の君主は一振りの爪で女祭司の首を刎ね、女祭司は死ぬ。完全に正確で、詳しく、俺の行為とお前の結末を明瞭に言い表している。一言も嘘はない」
エリアナは青ざめたが、目を逸らさなかった。
「さあ、房へ戻れ。そしてその頭で考えろ。俺がこの予言を実行しないと決めたなら、この予言にどれほどの価値が残るのかを」
彼女が連れ出されたあとも、彼は数分、その部屋に残った。
やがて外へ出る。
リラが壁際で待っていた。
「変わりましたか?」
「ああ」
「どの程度?」
「敵でなくなるには足りない。人間になるには十分だ」
リラは、かすかに頷いた。
「そのほうが難しいですね」
「わかってる」




