第40章
二週間という期限まで、あと数日だった。
その数字が、報告の中で現れる回数は増えていた。
数字だけが独り歩きしているのではない。その周囲へ、いくつもの線が集まりつつあった。聖騎士団、消息を絶った一行、沈黙する連絡員、小規模な裂け目を調べる可能性、神殿の魔法陣、国境の噂。そして、新王が権力を保ってはいるものの、父王をどれほど大声で悼み、その過ちをどれほど早く正すか決めなければならないエストレン。
二週間。
初めは、ずっと先の期限に聞こえた。
今は、もう目前まで迫っている。
朝は短い会議から始まった。
マルヴェインは地図の前に立ち、いつもの穏やかな顔で報告した。
「あの術師の見立てが正しければ、一行が帰還しなかったという最初の兆候は、すでに聖騎士団へ届いているでしょう」
「向こうは何をする?」
「まず裂け目を調べ、次に痕跡の復元を試みます。それから作戦が失敗したのか、一行が全滅したのか、捕虜になったのか、それとも逃亡したのかを巡って議論を始めるでしょう。最も厄介なのは、術師も知らない個人用の隠し印を、女祭司が持っていた場合です」
リラが付け加えた。
「儀式のあと、彼女の状態は変化しました。連絡用の印が刻まれていれば、その揺らぎを察知された可能性があります」
彼はリラへ目を向けた。
「もっと早く言えなかったか?」
「証拠がありませんでした。ですが、今は危険が増しています」
「俺が儀式を許したからか?」
「はい」
彼は笑みのない笑いを漏らした。
「慈悲が情報漏洩の経路になるか。素晴らしい」
卓の端で防護魔法についての覚書を広げていたシアナが、静かに言った。
「そうとは限りません。儀式は抑制下で行われました。印が受動型なら、何も伝わっていない可能性があります。感情に反応する型なら、強い感情が生じたという事実だけかもしれません」
「つまり聖騎士団は、彼女が生きていると知った可能性がある?」
「あります。ただし、居場所まではわかりません」
マルヴェインは指を組んだ。
「『生存』は、ときに『死亡』より都合が悪い。生きていれば、疑うことができますから」
彼は地図を見た。
「連中は彼女を疑うか?」
「帰還すれば、疑うでしょう。帰らなければ、推測を続けます」
「いずれにせよ、遅かれ早かれ彼女をどうするか決める必要がある」
「はい」
リラが答えた。
術師も、まだ問題として残っている。彼は書いていた。大量に。初めは事実について、次は一行について。そのうち、自分で板に記すのさえ恐れているような問いを、文章の中へ混ぜ始めた。記録はリラが別にして届けていた。マルヴェインは最初から全部読みたがったが、彼は禁じた。
今のところは。
術師は考えている。
女祭司は黙っている。
そして儀式のあとの沈黙は、それまでとは違っていた。
地図の端に立っていたアズガルが、東側の線を爪で示した。
「聖騎士団が小規模な裂け目を調べ始めれば、目を向けるのはここだけではない」
地図上で、古い国境砦を結ぶ線が暗く輝いた。
一部は安定して光っている。
一部は、かろうじて燻るだけ。
一か所だけは、線が目に見えて大きくたわんでいた。こちらの軍用地図を一目で読むことにまだ慣れていない彼にも、まずい状態なのがわかる。
「これは?」
アズガルは即答した。
「カルネス家の交易路に近い、東の突出部です。三年前、外郭砦を失いました。名目上は、守備兵の不足と補給難による一時放棄です」
マルヴェインが静かに言った。
「名目上は」
彼はそちらを見る。
「実際には?」
リラはすでに該当する板を開いていた。
「カルネス家は度重なる襲撃を理由に、交易路の警備を独自に再配置する権限を得ました。彼らが増強したのは、内側の関所、倉庫、橋の要衝、通行税の徴収所です。外郭砦については、『現状において保持する合理性がない』と判断されました」
「訳すと?」
アズガルが答えた。
「金にならない場所へ人員を割きたくないから、防衛線から歯を一本抜いた」
シアナが顔をしかめる。
「しかも、その後も国境防衛の負担金を受け取り続けています」
「当然でしょう」
マルヴェインが言う。
「負担は今も残っています。ただ、隣接領と地図の上へ移っただけで」
彼は地図へ近づいた。
砦は、赤い縁取りのある小さな暗色の印で示されている。
「今は誰が守っている?」
「常駐者はいません」
アズガルが答えた。
「山賊が居つくこともあれば、闇の獣が巣食うこともある。古い報告を信じるなら、光の斥候が使うこともあります。立地は不便ですが、そこを押さえれば交易街道へ至る二本の道と、古い裂け目の陣を一つ監視できます」
「古い裂け目の陣?」
リラが頷く。
「力を失い、死んだものと見なされていました」
「見なされていた?」
シアナが慎重に答えた。
「その種の陣が完全に死ぬことは、めったにありません。多くは、準備なしの転移には弱すぎるだけです。ですが、痕跡や標識を残す、あるいは一度きりの接続を作る程度なら使えるかもしれません」
彼は長いあいだ、たわんだ線を見つめていた。
やがて言った。
「つまり、監察室への参加という便宜を、たった今求めてきた家がある。その家の周辺では、ここ数年、国境の守りが弱まっている。交易路で稼ぎながら、外郭砦を捨てた家でもある。そこへ今、聖騎士団が小さな裂け目を探り始める危険が出てきた」
マルヴェインが、ほとんどわからないほど微笑んだ。
「ご自分で不愉快な結論へ辿り着いてくださるのは助かります。時間の節約になりますので」
「砦の名は?」
「ヴァルン=ケル」
アズガルが答えた。
シアナは顔を上げる。
「君主様。玉座の軍勢で砦を奪還なさるおつもりなら、カルネス家の管轄地域への直接的な軍事介入と受け取られます」
「そのつもりはない」
アズガルがわずかに首を傾けた。
「では、どうする?」
彼は地図を見たまま答えた。
「カルネス家に取り戻させる」
沈黙は短かったが、密度があった。
最初に口を開いたのはマルヴェインだ。
「お見事です」
ほぼ同時にシアナが言う。
「危険です」
アズガルも続けた。
「自分からは動かない。すでに不要と決めた砦だ」
「なら、その判断の値段を変えればいい」
リラがゆっくり頷く。
「監察室への参加と引き換えに?」
「引き換えではない。『自ら示した責任感に鑑みて』だ」
マルヴェインが小さく笑った。
「これはまた、容赦がない」
アズガルは彼を見た。
「説明しろ」
マルヴェインは地図へ寄り、指ではなく金属板の端で同じ地点を示した。
「カルネス家は、秩序を重んじる有力家門として見られたがった。君主様は、その機会を与えるのです。公に、名誉ある形で、しかも感謝まで添えて。ヴァルン=ケルの奪還を、処罰ではなく、新たな共同責任へ有力諸家が踏み出す最初の象徴的な一歩として」
リラが付け加える。
「拒めば、秩序への関心は、費用が発生するところまでしか続かないと示すことになります」
「事実だろう」
アズガルが言った。
「はい。ですが、私たちだけが知っているのと、すべての諸家が読める形になるのとでは違います」
シアナはまだ眉をひそめていた。
「玉座の軍勢を貸してほしいと求めるかもしれません」
「だろうな」
「そうなれば、兵を与えて彼らの力を信用していないと認めるか、拒んで不可能な要求を押しつけたと言う口実を与えるか、どちらかです」
「なら、援軍を求めることはできても、求めづらい文面にすればいい」
マルヴェインが指を一本立てた。
「『玉座は補助戦力の要請を検討する用意がある。ただし、カルネス家が自力で保持を回復するための計画、投入する自家の部隊、備蓄、期日、責任者の一覧を提出したのちとする』」
リラがすぐに書き留めた。
「玉座からの支援も、指揮権を伴わないものにします」
彼女は言った。
「彼らの命令下へ軍を置くのではなく、工兵、偵察情報、医療物資、内側の補給区間への一時的な護衛を出す。助けにはなっても、玉座が彼らに代わって砦を取ったとは言えない支援です」
アズガルが頷いた。
「軍から監視役を二名出せる。兵ではなく、報告権を持つ士官だ」
「誰に報告する?」
「俺に」
「いいだろう」
シアナも言った。
「治療師も必要です。本当に動けば、負傷者が出ます。出さなければ、あとで不満の材料にされます」
「治療師は出す。指揮権は渡さない」
マルヴェインの笑みは、ますます大きくなる。
「汚い手で片づける可能性があります」
「どのくらい汚い?」
「砦にいる者を毒殺する。地元の人間を買う。山賊に金を払って立ち退かせる。近くの倉庫に火を放つ。内輪揉めを仕組む。別の山賊を雇い、山賊を襲わせる。死体がまだ燻っているうちに、砦を奪還したと宣言する」
アズガルが冷淡に言った。
「朝までに影の旗が立ち、一週間後に守備隊が置かれているなら、今の住人をどう説得したかはどうでもいい」
シアナは鋭く彼を見る。
「私は気にします。水源に毒を入れられたら、そのあと人を置けません」
アズガルは肩をすくめた。
「なら、いい毒を使わせろ」
「アズガル」
「何だ?」
彼は手を上げた。
「水源への毒は禁止。砦の設備を壊すのも、周辺に村が残っているなら虐殺するのも、第三者へ砦を売り渡してから英雄的に買い戻すのも禁止だ」
マルヴェインは心底残念そうな目をした。
「政治から豊かさを奪っておられますね」
「報告書から頭痛の種を取り除いているんだ」
リラが淡々と言った。
「制限事項を明記します」
シアナが続ける。
「占領後の検査も必要です。軍事面だけでなく、魔法と運営の両面で。空っぽの殻を返されないために」
「そのとおりだ。ヴァルン=ケルは『象徴的に奪還』するのではなく、保持できる状態にしなければならない。最低限の守備隊、一か月分の備蓄、機能する城門と信号塔、地下の掃討、古い裂け目の陣の点検」
今度はシアナ自身が書き留めた。
「期限は?」
彼はアズガルを見る。
「現実的には?」
アズガルはしばらく地図を検討した。
「即応部隊があるなら、準備と移動に十日。激しい戦闘がなければ占領に三日。保持できる状態へ整えるのに一週間。だが、連中は引き延ばす」
「では、計画提出まで七日。旗を掲げるまで十二日。使用可能な状態についての一次報告まで二十日」
アズガルは頷いた。
「厳しいが、可能だ」
マルヴェインが言う。
「先方が求めた監察室への参加と結びつけたほうがよいでしょう。条件ではなく、話の流れとして。『カルネス家はいち早く透明性と秩序への配慮を示した。ゆえに玉座は、カルネス家の経験が特に生かされる東部地区から、新たな共同責任の実践を始めるのが適切と考える』」
「訳すと?」
リラが答えた。
「責任ある家に見られたいと、自ら申し出た。ですから、そのための舞台を用意する、ということです」
「よし」
シアナが小さく言った。
「憎まれますよ」
マルヴェインが穏やかに訂正した。
「すでに憎まれています。今後は、その憎しみが役に立つというだけです」
彼は笑った。
「役に立つ憎悪を国是に。前の言葉の隣に記録しておけ」
リラは目も上げなかった。
「もうしました」
彼は再び地図を見る。
ヴァルン=ケルは小さな点だった。
ごく小さな点。
だが、権力が口先だけではないと国に示すのは、往々にしてこういう点なのだろう。
「もう一つ」
彼は言った。
「勝利を命じる書状にはするな。大げさな賛辞も脅しも、『ただちに奪還せよ。さもなくば』も不要だ。礼儀正しい手紙にしろ」
マルヴェインが目を細める。
「どの程度、礼儀正しく?」
「拒絶すれば臆病に見え、同意すれば国へ自発的に奉仕したように見える程度だ」
マルヴェインは一瞬、言葉を失った。
それから一礼する。
「あなたは、ますます危険になられました」
「周りの影響が悪いんだ」
リラが書き終えた。
「文面はこうです。『玉座は、秩序の回復に共に尽力するカルネス家の意向を、感謝とともに受け入れる。領民が有力諸家へ寄せる信頼を深める最初の一歩として、東部交易路にあるヴァルン=ケルの保持を回復することを提案する。玉座は情報、医療、工兵による支援を提供する用意がある。一方、現地の道を守り、従来の権限から利益を得てきた家門として、カルネス家が最大の栄誉と最大の責任を担うことを期待する』」
マルヴェインが小さく呟いた。
「最大の栄誉」
「そして最大の責任です」
シアナが付け加えた。
アズガルも言った。
「いいだろう」
彼は順に全員を見た。
「今日中に送れ」
リラが頷く。
「はい、君主様」
マルヴェインはまだ地図を見ていた。
「自分たちが得たのは特典ではなく首輪だったと気づくころには、もう手遅れでしょう」
「いや。気づいたあとも、選ぶことはできる」
マルヴェインが顔を向けた。
「何をです?」
彼はヴァルン=ケルの小さな印に触れた。
「戦わずして砦を取り戻した家になるか。それとも、自分の国境で小さな一歩さえ踏み出せない理由を、国中へ真っ先に大声で説明する家になるかだ」
室内が静まった。
間を置いて、彼は言った。
「女祭司を連れてこい」
リラが顔を上げる。
「下の部屋へ?」
「ああ。マルヴェインは抜きで」
マルヴェインは胸へ手を当てた。
「私の評判が傷つきます」
「お前の評判は頑丈すぎる。平気だ。だが捕虜は、お前がいると平気ではいられない」
「お褒めの言葉として頂戴します」




